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結論:弁論主義の証拠原則(職権証拠調べの禁止)に対する例外の1つとして、『当事者尋問手続き』があるからです。
   『証拠資料(証拠調べによって得た訴訟資料』と『主張資料(当事者の主張によって得た訴訟資料)』の峻別しています。
参考Ⅰ.条文から(当事者本人の尋問)
民事訴訟法
第二百七条 裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
2 証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をする。ただし、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる。
 
Ⅱ.弁論主義:意義:裁判の基礎となる『事実』と『証拠』の収集を『当事者』の『権能』かつ『責任』とする原則をいう。 当事者の権能(当事者による自治)>裁判所による職権に優先する場面です。
1)第1のテーゼ:裁判所は、当事者が、主張していない事実を判決の基礎とすることはできない。
2)第1のテーゼが適用されるのは、『主要事実』に限る。*法律効果の『判断』に直接必要な事実。
  では、『間接事実』は、当事者の主張がなくても、裁判所は、その事実を判決の基礎とすることができる。
*間接事実:主要事実の存否の存在に役立つ事実。
3)『証拠調べ』の結果から得られた事実を判決の基礎とすることができない。『当事者尋問』中の当事者の発言は、当事者の発言ではなく、判決の基礎とすることができない。   
4)どちらの当事者の主張であっても、『判決の基礎』とすることができる。最判昭28・5・14
5)過失相殺は、当事者の主張がなくても、裁判所が、『職権』ですることができる。最判昭43・12・24
6)民法90条:公序良俗違反:当事者が、該当する事実を陳述していれば、無効の主張をしなくても、裁判所は、公序良俗違反、無効と判断できる。最判昭36・4・27
7)同時履行の抗弁権・留置権の抗弁権は、当事者の主張及び権利行使する旨の意思表示がない場合には、判決の基礎とすることができない。最判昭27・11・27

参考になった:1

hinotori 2023-02-28 11:03:03

hinotoriさん、ご回答有難う御座います。
申し訳ありません、私の理解力不足で難しいです...
証拠調べも口頭弁論の中で行われているという箇所は辛うじて理解できたので、そこから再度お聞きさせていただきます。
証拠調べも口頭弁論の中の過程の1つであるならば、当事者尋問は証拠調べであるから「口頭弁論において主張したものとはみなされない」という規定が理解し難いです。
当事者尋問(証拠調べ)も口頭弁論に含まれるにもかかわらず口頭弁論においての主張とはみなされない理由は何かあるのでしょうか?

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yui0421  2023-02-28 11:45:58

前提Q:証拠調べも口頭弁論の中の過程の1つであるならば、当事者尋問は証拠調べであるから「口頭弁論において主張したものとはみなされない」という規定が理解し難いです?

前提として、『私的自治』の原則が、民事訴訟法の根底にあります。*訴訟提起しなければ、裁判所(国)は、事件を解決してくれない。(警察の民事不介入の原則と同じ)
A:イメージがわきやすいように
ケース:レアものクラッシックカーで人気の自動車(未登録)を、販売したが、代金を回収できないので、東京地裁へ、Aが、提訴した。
請求の趣旨:被告Bは、原告Aにたいして、自動車販売代金300万円を払え、との判決を求める。請求原因:略
当事者:A(当該自動車のオーナ:物はたくさんだが、お金ないタイプ・最近、住居の水道管の破裂修理で、200万円ほどかかる見込み) B(自動車大好き・お金持ち・だけどケチなタイプ)
契約関係:書面によらず、口頭にてAとBは、上記自動車の販売(販売金額 300万円)した。代金受領まえに、B宅へ運んだ。3か月、たっても払ってもらえない。
訴訟の審理があり、口頭弁論(対審構造)があった。被告Bは、『当該自動車は、Aが置き場に困って贈与されたもの』と抗弁した。裁判官は、契約書及び領収書などの文書ないので、『当事者尋問(民訴207条)』:当事者本人を証拠方法とする。職権だけでなく、『当事者』の請求もできる。)を行った。
では、口頭弁論があるのに、『当事者尋問』があるのはなぜか?裁判官は、法廷の2段ほど高位置に鎮座して(黒い法衣:どの色にも染まらない。中立性の象徴ですね。純白のウエディングドレスとは、違います)、当事者に、問いただされたら、たぶん、嘘いえません。当事者尋問する意義ありますね。パターナリズムの精神。
*証拠の意義:証拠とは、要するに、裁判所による事実認定のための材料のことであるが、次のような多様な意味で用いられる。
1)証拠方法:裁判官が、五感で取り調べうる有形物であり、証拠調べの対象である、証人・鑑定人・当事者本人などの人証と、文書・検証物などの物証がある。
2)証拠資料:上記の証拠方法を取り調べた結果得られた、証言・鑑定意見・当事者の供述・文書等の内容・検証結果などをいう。
3)証拠原因:事実の存否につき、裁判官に確信をしょうじさせる、原因となった、証拠資料及び弁論の全趣旨(民訴247条:自由心証主義)をいう。
 
上記ケース:『当事者尋問』で、原告Aが、『住宅の水道管破損修理をして、怖い工務店から、修理代金の請求を受けた』ことから、裁判所が、Aさんがお金に困っていることが判明した。これは、証拠資料です。訴訟資料足りえず、それに基づいて裁判をすることができない。(攻撃防御方法の機械損失による不意打ち防止。弁論主義の機能が果たせない。そこで、裁判所は、釈明兼を行使して、『訴訟資料』として、提出させて、攻撃防御をつくさせなければならない。)
 結果:『証拠資料』:当事者尋問での『当事』双方の発言と『訴訟資料』:口頭弁論での『当事者』の発言:『主要事実』による攻撃防御での発言は、異なります。
参考として、
1.民事訴訟手続きの必要性
民事訴訟は、私的紛争を公権的・強制的に解決する手段であり、民事訴訟法はその内容を定める。
2.民事訴訟法の目的
 1)紛争解決 2)私法秩序維持の要請 3)権利保護の要請
3.民事訴訟法の解釈原理
1)国家側からの要請として ①訴訟経済の要請 ②手続き安定の要請 ③手続きの明確・画一的処理の要請 ③一挙抜本的解決の要請
2)国民側からの要請として、①裁判を受ける権利の平等な保障の要請 ②実体的地位の手続き保障の要請 ③訴訟の公開の要請
3)信義則の原理
 1)矛盾挙動禁止の原則(訴訟上の禁反言) 2)権利失効の原則 3)訴訟状態の不当排除 4)訴訟上の権能の濫用禁止

4.民事訴訟の特質(非訟との対比で)
1)性質:司法手続き 2)手続き原則:当事者主義(処分権主義・弁論主義)<私的自治の原則が根底にある。 3)必要的口頭弁論(基本構造:①公開主義 ②双方審尋主義 ③口頭主義 ⓸直接主義 ) 4)裁判:判決(拘束力あり) 5)不服の申し立て(控訴・上告)

*回答に際し、民事訴訟法・第5版・上田徹一郎先生著 法学書院刊・択一六法 民事訴訟法 LEC東京リーガルマインドを参考にしました。
当事者など環境が同じなので、証拠ほか民事訴訟法は、難しいですね。

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hinotori  2023-03-01 12:13:51

すごく単純な切り口ですが、
①主張=自分の言いたいことを言う事
②尋問=聞かれたことに答えているだけで言いたいこと(主張)ではない
第1テーゼとして裁判所は当事者が「主張していない」事実を裁判の基礎とできないとされています。
証拠調べから得た事実(当事者尋問中の当事者の発言)は当事者の主張ではないため、裁判の基礎とできません。
口頭弁論で当事者が発言したことでも、自分の言いたい事を言っているのか、聞かれたことに答えただけなのかで違っている、という事だと思います。

この先で第2(自白拘束力)、第3のテーゼ(職権証拠調べ禁止)とつながっていきますが、入口のところで詰まってしまっているようですので、一旦その詰まりを取るためにこのような単純な理解で進めてみてはいかがでしょうか。
自白が成立しない点も第2テーゼの中で出てくる論点だと思いますので、まずは第1テーゼがおおむね理解できた(読めば意味は分かる程度の)状態で改めて見てみるとすんなり理解できている事もあるかと思います。

参考になった:5

muneshin 2023-02-28 21:46:15

muneshinさん、ご回答有難う御座います!
十分に理解できました。
分かり易い解説有難う御座います!

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yui0421  2023-03-01 11:01:06



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