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pocyun167さん、こんばんは。

債権者と物上保証人との間で担保保存義務免除特約がなされている場合に、その物上保証人からの第三取得者もこの特約に拘束され、免責の効果を主張できないとする判例(最判平7.6.23)の事案は、担保保存義務違反行為(担保権の放棄等)がなされた後に抵当不動産が第三取得者に譲渡されたというものです。

これに対して、抵当不動産が第三取得者に譲渡された後に担保保存義務違反行為がなされた場合については、争いがあり、当該第三取得者は当該財産をもってする「責任」を負担するが、担保保存義務免除特約を結んだ者としての「地位」(特約当事者としての地位)を承継する者ではないとして、当該第三取得者は、法定代位者として、504条1項に基づく責任の減免の効果を受けることができるという見解があります(プラクティス民法・債権総論第5版・潮見P403参照)。

したがって、物上保証人からの第三取得者が常に当該特約に拘束され、免責の効果を主張できないというわけではありません。

なお、債権者と物上保証人との間で担保保存義務免除特約がなされても、当該特約は登記事項となっておらず、何ら公示されていません。
当該特約の存在自体については、第三取得者は、当該物上保証人から抵当不動産を譲り受ける際に確認するしかなく、このような特約に第三取得者が拘束されるのは不当だという見解も存在します。

ただ、担保保存義務免除特約がなされており、担保権の放棄がなされた後に抵当不動産が第三取得者に譲渡された場合において、仮にその放棄と譲渡の間に時間的間隔が存在するのであれば、その担保権の放棄がなされた時点で、当該担保権の抹消登記がなされているのが通常であり、第三取得者は譲渡を受ける段階でこれを確認することができるともいえます。しかし、実質的にそのような側面があるとしても、そもそも504条1項後段において、(担保保存義務免除特約がなければ)物上保証人からの第三取得者が免責の効果を主張できると規定されている以上、当該抹消登記の存在を基準に論理を展開するべきではないといえます。最判平7.6.23においても、そのような理由は示されていません。

講師 小泉嘉孝

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koizumi1 2023-10-06 20:35:26

ありがとうございました。

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pocyun167  2023-10-23 07:18:10



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