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haruiro さん、こんばんは。

「真正な登記名義の回復」は、あくまで真実の所有者と登記名義人を一致させるための便法にすぎないといえます。

「真正な登記名義の回復」を原因とする登記では、実体上どのような法律行為・事実があったのかは明らかにならず、それは不動産登記法の実体上の権利変動を如実に反映するという目的に沿うものではないためです。

そこで、まずCがBの登記の抹消につき、任意に承諾するのであれば、抹消登記を選択します。

つぎに、Cが任意に承諾しない場合は、厳密(形式的)には、AB間の売買契約がBの詐欺を理由に取り消された際に取消前の第三者である抵当権者Cの善意・無過失(民法96Ⅲ)を検討します。

Cが善意・無過失の要件を満たしていない限り、契約を取り消したAは、これをCに対抗することができることから、「抹消につき承諾せよ」とする承諾に代わる判決を得て、これを添付情報として提供することにより、抹消登記を申請します。

逆にCが善意・無過失の要件を満たしている場合は、AはCに対抗することができず、承諾に代わる判決を得ることができないため、この場合は「年月日取消」又は「真正な登記名義の回復」によって所有権移転登記を申請することになります。

この所有権移転登記の原因の選択については、「真正な登記名義の回復は使用しないものとする」という形で問題文に指示がある場合も多いと思いますが、指示がなければ、「年月日取消」のように、「真正な登記名義の回復」以外の原因を明らかにできるのであれば、それによるべきと考えます。
ただし、「真正な登記名義の回復」を選択すると、必ず減点の対象になるとまではいえません。

したがって、真正な登記名義の回復は、上記のように限定的に使用が認められるもの(最後の手段)と位置づけておくべきといえます。

講師 小泉嘉孝


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koizumi1 2024-01-27 19:22:46

小泉先生
 
丁寧にご解答を頂き、ありがとうございます。
大変勉強になりました。
 
要件検討の流れも示して頂き、
解法がとても明確になりました。
 
お忙しい中ご対応頂き、心より感謝しています。
ありがとうございました。

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haruiro  2024-01-29 20:58:48



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