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aoshikayra さん、こんばんは。

甲の抵当権の設定登記が無効ということは、被担保債権が不存在又は抵当権設定契約が無効ということになります。

いずれの場合も、甲名義の抵当権は無効であって、権利として効力を有していない抵当権を乙に移転することはできないということになります。

所有権の場合は、実体上、Aから所有権を取得したのは乙であったが、これが誤って甲名義に登記がなされたため、この実体上の権利関係と登記名義の不一致を解消するため、「真正な登記名義の回復」を原因に甲から乙への所有権移転登記が認められます。
これは、あくまで乙が取得した「所有権」という権利が実体上存在していることが前提となっています。
つまり、所有権が無効なのではなく、当該所有権をAから取得していたのが、甲ではなく、乙であったということです。

しかし、本肢では、甲名義の「抵当権設定登記」が無効という場面ですから、前提が異なります。

仮に乙は設定者との契約によって真正に抵当権を取得していたというのであれば、「甲からの抵当権移転」という形で、その登記を実現させる必要はなく、自己名義の抵当権設定登記を行い、順位については、別途、登記記録上先順位となっている甲の抵当権の無効を争えば足りることになります。

特に抵当権では、その移転登記が付記登記で実行されることからも、主登記である甲名義の抵当権設定登記が無効である以上、「真正な登記名義の回復」を原因に乙への抵当権移転登記がなされたならば、その付記登記である乙の登記も無効と扱われることになり、これでは乙の目的は達成できません。

したがって、甲の抵当権設定登記を直ちに抹消できるのであれば、その抹消と同時に乙の抵当権設定登記を申請しますが、甲名義の抵当権設定登記を抹消した後でなければ、乙名義の抵当権設定登記を申請できないわけではありません。

講師 小泉嘉孝


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koizumi1 2024-01-29 21:33:00

小泉先生、こんばんは。
とてもわかりやすく、詳細なご説明ありがとうございます。
もう一つ、関連して質問させてください。
所有権を例に出してご説明頂いた箇所で、
「これは、あくまで乙が取得した「所有権」という権利が実体上存在していることが前提となっています。つまり、所有権が無効なのではなく、当該所有権をAから取得していたのが、甲ではなく、乙であったということです。」
と仰っておられる部分なのですが、仮に所有権が無効な場合でも、「真正な登記名義の回復」を原因に所有権移転が可能かと思いますが、この場合は「所有権」という権利は実体上存在するのでしょうか?

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aoshikayra  2024-02-02 02:04:15

aoshikayra さん、こんにちは。

所有権が無効となれば、当該不動産は誰にも帰属していないということになりますが、そのようなことはありません。
無主の不動産でも、国庫に帰属するとなっている(民法239Ⅱ)ので、誰にも帰属していないわけではありません。

したがって、所有権が無効という場面は想定できません。
真正な登記名義の回復も、所有権は有効に成立しており、その帰属と登記名義人が一致していない場合を対象としています。

講師 小泉嘉孝

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koizumi1  2024-02-02 13:20:40

小泉先生、こんばんは

ご回答ありがとうございます。よく読んでみると、私の勘違いでした。初学者な者でご容赦願います。
これからも勉強頑張っていきますので、また質問の折には宜しくお願い致します。
今回も丁寧なご説明ありがとうございます。

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aoshikayra  2024-02-02 21:05:05



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