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大丈夫ではありません。
多少のことには目をつぶって、順を追って詳しく、かつ単純に書きます。



【第一段階】(現状の「法本則」の規定)

まず法第12条の「適用除外」をしっかり理解してください。今回の疑問に関係があるのはその5号です。

① 一週間の所定労働時間が、同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3未満である者
② 一月間の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3未満である者

イ 一週間の所定労働時間が20時間未満であること。
ロ 継続して一年以上使用されることが見込まれないこと。
ハ 報酬額が88,000円未満であること。
ニ 学生であること。

上記①②の「いずれか」に該当し、かつ、イロハニの「いずれか」に該当するものは、適用除外であり、「事業所の規模に関係なく」、使用されていても被保険者にはなりません。

これが基本です。まず、これをしっかり覚えてください。



【第二段階】(歴史的経緯)

平成28年10月の改正前は、4分の3基準を満たさない者はすべて被保険者としないことになっていました。
しかし、これは法律上の適用除外ではありませんでした。

今も法9条に「適用事業所に使用される70歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者とする。」とありますよね?
これを厳密に適用するなら、毎朝1時間だけ清掃に来るパートさんも被保険者になります。
それはさすがにまずいですが、しかし、当時の法の規定には、短時間労働者を適用除外にする規定がありませんでした。

そこで行政は、法条文の「適用事業所に使用される」とは「常用的使用関係」を意味する、という解釈をしました。
そして法の規定によらず、行政内部の通知(※)によって、週の労働時間又は月の労働日数が通常の労働者の4分の3未満である者は、被保険者としないこととしていたのです。

(※)昭和55年6月6日付厚生省保険局保険課長発、都道府県民生主管部(局)保険課(部)長宛内かん
   当時の社会保険事務は都道府県知事が行っており、この内かんが発せられるまでは、都道府県ごとに短時間労働者の扱いが異なっていた。

平成28年9月までは、この行政の通知の基準で運用されてきました。
平成28年10月の法改正により、短時間労働者の適用除外が法に明文化され、この行政の通知の適用は廃されました。

同時に、4分の3基準を満たしていない者(従来は被保険者にならなかった者)であっても、上記イロハニの「いずれにも」該当しない場合は、被保険者とすることになったのです。
例えば週24時間しか働かず、4分の3基準を満たさないパートさんであっても、学生ではなく、1年以上の雇用が見込まれ、88,000円以上の報酬があれば、被保険者となることになったのです。

これにより、流通、サービス業を中心に、健康保険・厚生年金保険の被保険者は大幅に増えることになりました。

しかし、健康保険・厚生年金保険には大きな事業主負担があります。
改正による中小企業の事業主負担を和らげるため、当分の間、500人以下の事業所については、従来通り4分の3基準を満たさない者は被保険者としないことになりました。



【第三段階】(平成24年法律62号附則17条による例外)

上記の500人以下の事業所の例外の説明です。
まず、用語の定義から。

◆ 特定労働者
70歳未満の者のうち、法12条の適用除外に該当しないもの(※2)

(※2)条文には「特定4分の3未満短時間労働者以外のもの」が入るが、これを外して考えた方が理解しやすく、また、今回の疑問の範囲では外して考えて問題ない。
    適用除外の者は除かれることに注意。

◆ 特定適用事業所
特定労働者の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所(※3)

(※3)この「常時500人」は、事業主が同一である一又は二以上の適用事業所であって、当該一又は二以上の適用事業所に使用される人数である。
    同一事業主の単位で考えることに注意。例えば法人全体で特定労働者が800人ならば、従業員が30人の地方営業所も特定適用事業所になる。

上記の定義の上で、特定適用事業所以外の適用事業所に使用される者であって、

① 一週間の所定労働時間が、同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3未満である者
② 一月間の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3未満である者

この①②のいずれかに該当し、かつ法12条5号の短時間労働者に対する適用除外に該当しないものを「特定4分の3未満短時間労働者」といいます。
「特定4分の3未満短時間労働者」は、法12条5号の短時間労働者の適用除外には該当しないけれども、被保険者になりません。
ここの①②は第一段階の①②と同じです。

ただし、平成24年法律62号附則16条の規定により、平成28年10月1日前から被保険者であるものとして法12条の適用除外とされない者は、特定4分の3未満短時間労働者になりません。



ここの説明ややこしいですね(笑)
法は、単純に「特定適用事業所はこう」「特定適用事業所以外の適用事業所はこう」という、切り分け方の書き方をしていません。

まずは、法本則の法12条5号(上記①②とイロハニ)の適用除外が、すべての適用事業所に使用される者に適用されるという前提があります。

次に、「特定適用事業所以外の適用事業所に使用される者に限り」、かつ、「法12条5号の短時間労働者の適用除外にならなかったものについて」、改正法附則17条の例外的な適用除外の対象にする、という書き方です。

これが理解しにくい原因です。
この「条文の書き方」のせいで、「特定労働者」や「特定4分の3未満短時間労働者」の定義が理解しにくくなっています。

まずは、特定適用事業所以外の適用事業所に使用される者は、上記①②の「いずれか」に該当すれば、原則としてそれだけで適用除外、と考えてかまいません。



【まとめ】

まず、第一段階の、法12条5号の短時間労働者の適用除外の内容(①②とイロハニ)は、しっかり覚えなければ話になりません。
それを覚えた上で、

(a) すべての適用事業所に使用される者は、①②のいずれかに該当し、かつ、イロハニのいずれかに該当すれば適用除外
(b) 特定適用事業所以外の事業所に使用される者は、①②のいずれかに該当すれば、原則的にそれだけで適用除外

と、いうことです。

参考になった:58

poo_zzzzz 2018-01-14 22:15:07

ご返信いただきありがとうございました。
何が分からないのかが、分からない状態でしたが、制度の経緯や、すっかり無視してしまっていた適用除外のイロハニなどもご説明いただき、ぼんやりしていた疑問点がはっきりしてきました。
質問を読み返してみて、かえって自分の質問の意味がわからない状態でお恥ずかしい限りです。
まだ用語の理解が完全ではなく、特定適用事業所の場合について少し引っかかってしまうところがあるので、もう少し読み返して理解していきたいと思います。
ありがとうございました。

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gari  2018-01-14 23:45:47

poo_zzzzさん

昨日はご回答いただきありがとうございました。あれから何度も読み返し、無料講座を聞き直し、先程スッと理解できました。理解に時間がかかる方で、年金法に入ってから、無理に進めていますが、理解できないことが増え、段々とモチベーションが落ちて行くなかで、一つでも分かったものが出てくるだけで、また頑張れます。ありがとうございました!

投稿内容を修正

gari  2018-01-15 19:53:16



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