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厚生年金保険法/基本手当との調整
charley 2017-08-11 22:38:22
答練の厚生年金2 問1 肢Dにつき教えてください。
求職の申込みをした人が老齢厚生年金の受給権を得た、との設定ですが、
基本手当を1日ももらっていない月に年金は支給されますか?
charley様
ピンクマーク答練に関連するご質問ですので、三宅から回答します。
結論を先にいいますと、
専門家でない一般的な方に説明する場合の「一般論」としては、基本手当を1日ももらっていない月には、60歳台前半の老齢厚生年金は支給停止されないという表現をよくします。
ただ、試験対策上の判断ですと、この記述(=基本手当を1日ももらっていない月に年金は支給されるか否か?)だけでは、支給される場合も支給されない場合もあるという答えになります。
この規定は、法附則11条の5の規定の準用元である法附則7条の4の第2項、令6条の4、則34条の3の規定で下記のように定められています。
(法附則7条の4第2項)
調整対象期間の各月について、次のいずれかに該当する月があったときは、その月の分の老齢厚生年金については、適用しない(支給停止しない)。
イ) その月において、厚生労働省令で定めるところにより、当該老齢厚生年金の受給権者が①「基本手当の支給を受けた日とみなされる日」及び②「これに準ずる日として政令で定める日」がないこと。
ロ) その月の分の老齢厚生年金について、在職老齢年金の規定により、その全部又は一部の支給が停止されていること。
①(則34条の3)
「基本手当の支給を受けた日とみなされる日」とは、失業の認定日において失業していることについての認定を受けた日のうち、基本手当の支給に係る日の日数に相当する日数分の当該失業の認定日の直前の各日をいう
②(令6条の4)
「これに準ずる日として政令で定める日」とは、次に掲げる雇用保険法の規定による基本手当を支給しないこととされる期間に属する日とする。
a) 待期期間であることにより基本手当を支給しない期間(雇用保険法21条)
b) 公共職業安定所の紹介する職業に就くこと等又は公共職業安定所が行う職業指導を拒否したことにより、基本手当を支給しない期間(雇用保険法32条1項・2項)
c) 離職理由による給付制限により基本手当を支給しない期間(雇用保険法33条1項)
①のルールは、実際の基本手当の支給を受けた日だけで判断するのではありません。
仮に、8月12日が失業認定日である場合、7月17日から8月11日までの28日間について失業の認定を行います。
この場合、この28日間すべて失業の認定がなされれば、当然7月17日から8月11日までの全28日間が、①「基本手当の支給を受けた日とみなされる日」となります。
ただ、仮に7月17日と18日だけ失業の認定がなされても、失業認定日である8月12日から見て直前の各日である8月10日と11日の2日間が、①「基本手当の支給を受けた日とみなされる日」となります。
また、②にもあるとおり、仮に基本手当を1日ももらっていない月であっても、その月に待期期間の該当する日や給付制限に該当する日が1日であれば、法附則7条の4第2項イ)には該当しません。
したがって、同項ロ)に該当しない限り、その月の分の老齢厚生年金は支給停止されます。
よって、厳密に言うと、条文の表現のとおり①「基本手当の支給を受けた日とみなされる日」及び②「これに準ずる日として政令で定める日」がないことが必要であり、
単に「基本手当を1日ももらっていない月」という表現だけでは、正確な判断はできません。
なお、今回のご質問とは直接関係ありませんし、上記説明の結論は変わらないのですが、
>求職の申込みをした人が老齢厚生年金の受給権を得た、との設定ですが
というご質問の記述は前後関係が逆です。
設問の設定は、もともと60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者である者が、事後に求職の申込みをしたという設定となっています。
ちなみに、この設問の論点は、解説文にもあるとおり調整対象期間の「終期」に関する誤りを指摘できるかという狙いです。
確かに、法附則7条の4第2項に関する記述が全くないため、これを理由にして誤りと判断することもできるのでは?と、
この点を疑問に思われてご質問されたのと推測しますが、
直前期という事を踏まえ、試験対策上、以下のことを参考になさってください。
①誤りの理由が設問中に複数ある場合でも、少なくとも1個指摘できれば当然問題はない。
②その場合、より確実にそしてより迅速に指摘できる明らかな間違いを見つけることが必要。
③一般的には、設問中にない記述や条件が誤りになることは比較的「少ない」。
以上、宜しくお願い致します。
山川社労士予備校
三宅大樹
参考になった:6人
yamayobimiyake 2017-08-12 09:42:32
三宅先生、ありがとうございます。
今回の参照は、ピンクマークではない方の答練です。山川答練とするべきでしたか。。。 確かに同じ位置に、設定の流れの反対の設問がありますね。
いま一度確認したいのですが、
山川答練 厚年2 問1 肢D
(前半割愛します)
受給期間が経過するか、基本手当支給を受け終わるまでは老厚の開始はない (○か☓か)
ということなので、この間に28日間まるまる基本手当を受けなければ、老厚の支給がある、と思い、誤りの肢と思ったのです。
そこで、もしかすると、この『逆順』について、理解不足がありやしまいかと、尋ねてみたわけです。
長すぎにするまいと思うと不明瞭になり、かえって二度手間になりスミマセン。
charley 2017-08-12 12:48:33
charleyさま
設問文中1行目終わりから2行目にかけて、基本手当の支給を「受けているもの」がという条件を付していますので、
その後状況が変化し「28日間まるまる基本手当を受けていない」という設問文中の記述にない状況を想起して判断するのは、一般的な設問文の読み方としては適切ではないと思います。
先ほども述べましたが、設問文中にない条件まで考慮に入れて正誤判定させる問題は、全くないとまでは言いませんが、極めて少ないです。
仮に、出題されたとしても、僕らは悪問と言いますし(笑)、合否に影響しません。
例えば、極端な例かもしれませんが、保険給付の設問文で、その記述にない本人の「死亡」という条件は普通考えないですよね・・w
したがって、完全な真っ白な肢とまではいいませんが、他の4肢が明らかな間違いの肢ですから、設問の設定は妥当だと思います。
ご質問の内容から、よく学習されていると思うのですが、
合格の過渡期にある方は、ある程度知識がある程度あるが故に、このようなことに惑わされて、本試験で失点する傾向があります。
なかなか特効薬はないのですが、1つの判断基準として、設問文にない条件を考えついたときは、少し落ち着いて他の肢を見る事をお勧めします。
なお、この設問の設定は、ピンクマーク答練と異なり、現に受給資格者である者が60歳台前半の老齢厚生年金の受給権を取得したという設定ですが、
この場合についての「基本手当を1日ももらっていない月に年金は支給されますか?」という答えも、先ほどの私の答えの
①「基本手当の支給を受けた日とみなされる日」及び②「これに準ずる日として政令で定める日」がないことが必要であり、
単に「基本手当を1日ももらっていない月」という表現だけでは、正確な判断はできません、となります。
山川社労士予備校
三宅大樹
yamayobimiyake 2017-08-12 14:23:26
三宅先生、ありがとうございました!
中途半端に理解して裏読みできたつもりの小生ごときを、スカッと目覚めさせてくれるすべての問題と解説に敬服しております。
答練もピンクマークも、どの設問にも打ちひしがれますが、合点のいく解説と、また、その解説が関連する他の単元に繋がっていて、気付きを得ること毎度で、よくぞこれほどに錬られたものと感心しております。
感心していないで、感謝をお届けすべく、ラストスパートいたします。
参考になった:0人
charley 2017-08-12 15:05:53