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【問7E】
被保険者が職務上の事由により行方不明となったときは、その期間、被扶養者に対し、行方不明手当金を支給する。ただし、行方不明の期間が1か月未満であるときは、この限りでない。また、被保険者の行方不明の期間に係る報酬が支払われる場合においては、その報酬の額の限度において行方不明手当金を支給しない。

船員保険法の条文は、以下のようになっています。
【第93条】
被保険者が職務上の事由により行方不明となったときは、その期間、被扶養者に対し、行方不明手当金を支給する。ただし、行方不明の期間が一月未満であるときは、この限りでない。
【第95条】
行方不明手当金の支給を受ける期間は、被保険者が行方不明となった日の翌日から起算して三月を限度とする。


93条で「その期間(行方不明となっている期間)、支給する」と定めたうえで、95条で「3月を限度とする」……という構成になっています。
つまり、「その期間、支給する」という表現は、船員保険法が述べている通りなのです。
限度が3月なのか30年なのか、そんなことは知ったこっちゃない。

設問文の該当部分が「条文通り」に表現されている(93条前段と一言一句、句読点の打ち方まで同じです)わけですから、誤りであるとは言えないでしょうね。

また、業務災害や通勤災害で船舶が沈没したり転覆したために行方不明となった場合、労働者の生死が3か月間わからない場合には、労災保険法から遺族(補償)給付、葬祭料(葬祭給付)が出ることになります。
船員保険法では、「3月経過より先」のことは扱う必要がないから95条の規定があるわけで、「3月経過後のことは、知ーらない」という意味ではありませんから、法の趣旨からいっても、やはり正文と読んで差し支えないと思います。


なお、この論点は平成23年にも出題されているようで、このときは以下の記述で誤文でした。
【平23問6D】
被保険者(疾病任意継続被保険者を除く。)が職務上の事由により行方不明となったときは、その期間、被扶養者に対し、行方不明手当金を支給するが、その支給を受ける期間は被保険者が行方不明となった日から起算して6か月を限度とする。

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towalion 2016-09-14 22:11:27

補足というか、訂正です。
労災保険法第10条は、「船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際」「航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際」の生死不明や行方不明について、死亡したものと推定して補償の対象とする旨の限定列挙ですから、乗船中以外の行方不明にまでは対応していませんね(^^;;

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towalion  2016-09-14 22:22:52

towalion様

早々に懇切丁寧なご回答をありがとうございました。
私も昨夜から、条文集を見ながら考えていました。

この行方不明手当金は、法93条、95条、96条が揃って、支給という点において、その用をなすと思うわけです。試験問題作成の時に、この問題のように、「93条と96条だけ」を引用して条文どおりの一言一句違わない文章なので「正解」ですよ、となるのかということです。

「条文どおりだから」、ということは横に置いておいて、この問題を素直に読んで、果たして正確な正誤判断ができるのかということです。
93条と95条、96条に何が書かれているか知らなかったとして、この問題を読めば、「・・・・行方不明となったときは、その期間、・・・・支給する」。  では、行方不明の間中に渡って支給されるのではないか、と判断してしまわないでしょうか。

試験委員は、問7は、Bを正解にしてるので、大した深読みもしていないのでしょうが、条文どおり並べれば正解になるとは、必ずしもならないということには注意を払う必要のある問題だったのではないかと思うのです。
この問題は、やはり「3か月を限度として」という一文を追加しないと、正誤判断はできないと思うのです。
問7の問題は、明らかにBが間違ってるので、Eの問題が軽く飛ばされてしまっているようですが、私はどうしても、「正誤判断」に疑義を生じる可能性のある問題とすべきと思うのです。

過去の本試験でも、正誤判断できない問題として全員正解とかなったこともありましたし、この問7のEは、教訓的な問題のように思います。1つの論旨に対して、それがいくつかの条文を集めて、初めてその要件をなすような内容ですと、問題作成の時に、1つ、2つの条文だけかき集めて問題を作成しても、正確な正誤判断不能な問題に成り得る、ということです。

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hauser  2016-09-15 09:29:58

towalionさんへ

職務上の傷病に関する給付が労災保険に統合される前の。旧船員保険法(以下「旧法」)11条の死亡の推定の内容は、現行の労災保険法10条のそれとほぼ同じでした。

旧法11条の死亡の推定に先だっての給付として旧法49条の2の行方不明手当金があり、この関係は労災保険法10条と現在の船員保険法93条の関係と同じですから、書かれていることは間違っていないですよ。

保険を目的とする法の趣旨として、その通りです。

なお、11:36の書き込みでtowalionさんを呼び捨てに書いています。失礼いたしました。お許しください。

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poo_zzzzz  2016-09-15 13:20:10

hauserさん自身が、お分かりになっているのに、納得できていないようなので少し書かせていただきます。

社会保険労務士試験の五者択一問題においては、明確に間違ったことを書いている場合を除き、例え重要なポイントで書き足らずがあったとしても、正の肢の可能性がある、と考えて解かなければなりません。

特に、その問題が、法条文や則条文から切り出された問題であれば、正の肢である可能性はよりいっそう高くなります。

五者択一の場合、そのような理解の上で、相対的に最も誤りの程度の高い肢が×であり、誤りの程度のもっとも低い肢が○なのです。

五者択一は、「最も誤りの程度の低い肢」又は「最も誤りの程度が高い肢」を選ぶ課題であって、正解肢となる肢の他に、「正と考え得る肢」や「誤と考え得る肢」があっても、設問として何の問題もありません。

百歩譲って、仮にお尋ねのH28常識7Eの肢を誤と評価するとしても、それは「書かれるべきことが抜けている誤」です。

同問のBの肢は、「3年を超えない」が「1年6か月を超えない」と書かれており、「書いてある内容が間違っている誤」です。

誤りの程度と質が明らかに違いますから、誤の肢として、どちらか一方を選ぶのであれば、迷わずBになります。



それでもhauserさんは納得しないでしょうね。

「Eの肢は「書かれるべきことが抜けている」のではない。Eの肢には「その期間」と、「間違ったこと」が書いてあるではないか?」と思うでしょうね。

ここで、towalionがおっしゃっている「法の条文から切り出された設問である」という説明をしなければなりません。

法や則から切り出された設問は、その切り出しの範囲が狭く、重要な事項が抜けていて、切り出された範囲だけでは誤と見える場合でも、正の肢として扱われる傾向が相当に強いのです。

それどころか、過去には法附則による経過措置がある部分について、法本則の条文から切り出した設問で正の肢としたことすらありました。

それらのほとんどは、合格発表後も修正されていません。

修正されるのは、法令則に照らして誤ったことが書かれている場合が主であって、法令則に合っていれば、切り出された範囲が適切ではないために今回のように誤に見えても、修正される可能性はあまりないのです。

もっとひどい例としては、法に照らして明らかな間違い設問を修正せず、数年後に同様の設問を、正誤を逆にして出題したことすら過去にはあります。

これなんか、過去問を解いていて、「ああ、なんだかおかしいけどこう理解するんだね」と学習していた受験生は大迷惑です。



このように、「納得しがたい部分」がある試験ですが、それらを含めて社労士試験であり、その受験勉強は、それらを前提としてしなければなりません。

本試験の内容は公開されており、いわば「敵の姿が見えている」のですから、受験する側がそれに合わせて備えをするしかありません。

敵の考えが、ご自身の考えに合っていない、自分が正しいと言ったところで、何も始まらないのです。

良い機会ですから、解答は正になっているが、誤に見える設問を過去問で探してみてください。

おそらくいくつも見つかるはずです。

できればその設問が本試験でどのような他の4肢と共に出題され、五者択一としてどのように正の肢と位置づけられたかをチェックすれば「敵の考え」は見えてくると思います。

それが「社労士の受験勉強」だと思いますが、いかがでしょうか?

最近の傾向として、過去問は一問一答が重視され、五者択一の過去問の訓練をあまりしない方が多いのは気になります。

参考になった:9

poo_zzzzz 2016-09-15 11:36:46

poo_zzzzz 様

 懇切丁寧なご回答をありがとうございました。

このご回答で、はっきりとわかりました。納得でございます。本当に理解しやすいコメントで、私もこの試験問題の言わんとする意味がようやくわかりました。
そいうことだったのですね。
まだまだ過去問の分析、本質が理解できてなかったようです。こちらの質問広場では、詳しく疑問が氷解できるので参照していて本当に勉強になります。
愚問だったと思いますが、ありがとうございました。
幾重にもお礼申し上げます。

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hauser  2016-09-15 13:23:41



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