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まず、受験対策的な回答から。

退職金は、任意的、恩恵的に支給される場合は賃金になりません。
しかし、「任意的、恩恵的」とは、使用者に支払義務がないのに支払うということです。
例えばオーナー経営の中小企業で、退職金の制度がないのに、ある社員の退職に際し、社長が「こいつはよく頑張ってくれたから特別に100万円出そう」みたいに支払われる退職金です。
一般的な退職金は、退職金規程や賃金規程といった就業規則の内容から使用者に支払い義務が生じるものですから、一般的な退職金は任意的、恩恵的ではありません。
このため、退職金は賃金になり、賃金ですから法24条が適用されます。

解雇予告手当は賃金ではありません。しかし、通貨払いや直接払いといった法24条の適用については、賃金と同様に扱うよう指導すべきであるというのが行政の立場です。(S23.8.18基収2520号)
この通達は全額払いには言及していません。「全額」という概念は「支払うべき額(債務)」があって成り立つ概念ですが、次に述べるように、解雇予告手当は使用者と労働者の間に債権債務の問題を生じない、と行政は考えているので、全額払いを論じる余地がないのです。

また、解雇予告手当と他の債務の間には、法理上相殺の問題は生じない、というのが行政の立場です。(S24.1.8基収54号)
これはなぜかというと、解雇予告手当の効果は、単にその支払いの限度で予告義務を免除する(必要な解雇予告期間が縮まる)ことに過ぎないからです。
つまり、現実に支払いがなければ、その金銭は法20条の解雇予告手当の役割を果たせず、解雇は成立しない、と考えられているのです。
解雇予告手当は、それが現実に労働者に支払われて(あるいは法務局への供託等労働者がいつでも受け取りうる状態になって)、はじめてその支払い額の限度で解雇予告手当になるのです。
支払われるまでは解雇予告手当ではないのですから、解雇予告手当については使用者と労働者との間に債権債務の関係を生じることがなく、「相殺」そのものが成り立たない、というのが行政の立場なのです。



次に現実的なお話。
解雇予告手当は現実の支払いがあって初めて解雇予告手当ですから、解雇予告手当については使用者と労働者との間に相殺の問題を生じないはずなのですが、現実には労働者が使用者に対して負っている債務との相殺により、使用者から支払われなかった解雇予告手当の支払いを求める訴訟が起きています。

下級審判決ですが、そういった事件の裁判においては、解雇予告手当は賃金として扱われており、相殺は原則的に許されない、と、されています。(例:S59.6.26東京地裁判決)

ただ、これは下級審判決なので、解雇予告手当が裁判で賃金として取り扱われているという点は、社労士試験に出る可能性はまずありません。

参考になった:2

poo_zzzzz 2017-10-27 08:57:05

受験的な回答のみを頭の中に入れときます!

ありがとうございました!m(__)m

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okuyama  2017-10-27 13:04:16



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