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国民年金法/特別国庫負担
mizuki40 2017-11-01 01:55:21
国民年金法10-2の講義で、なんらかの事情で免除対象になった場合、国が余分に力を貸しているという説明がありますが
自立している免除対象でない被保険者も、国が2分の1は国庫負担からお金を出していますので、特別国庫負担と国庫負担の違いだけで
国からの力は同じに思い、余分にという言葉がしっくりきません
特別国庫も国庫も、両方税金で、便宜上呼び方を変えて、区別しているだけだと思っていて、国が貸す力は皆平等に2分の1なのに
保険料を払えない被保険者が、全額払える人以上に、国に余分に力を借りているというのは、どういう意味でしょうか
世代間扶養に参加出来ていなく本来の形ではないというのは分かります
mizuki40さま
おっしゃりたいことは分かります。
みんな等しく2分の1の負担ですからね。
ただ、国もそうですが、保険という仕組みはそうは考えていないのです。
分かりやすく、例え話で説明してみますね。
京都に山川和菓子店という老舗の和菓子屋さんがあります。
ここの店主の靖樹さんはえらい気前が良く、こんなサービスをしています。
お饅頭を4個お買い上げ(400円)のお客様→おまけにさらに4個無料サービス。
お饅頭を3個お買い上げ(300円)のお客様→おまけにさらに3個無料サービス。
お饅頭を2個お買い上げ(200円)のお客様→おまけにさらに2個無料サービス。
お饅頭を1個お買い上げ(100円)のお客様→おまけにさらに1個無料サービス。
お饅頭を買わない(0円)お客様 →おまけなし
これが、法85条1項1号に定める保険料・拠出金算定対象額に対する国庫負担部分になります。
つまり、「買ってくれたお饅頭と同数のお饅頭をサービスする」のと同じ制度設計思想です。
みんな支払った金額に比例(100円に付き2個)するお饅頭が手に入っていますよね?
保険の仕組みは、この「給付・反対給付均等の原則」で考えていきます。
例え話を続けます。
ところが、靖樹さんは株で大儲けしたので、サービスをよりよくしようと思いました。
なぜならば、靖樹さんはお金がなくてお饅頭を買えない人をほっとけなかったのです。
そこで、こんなサービスを始めました。
お饅頭の購入個数にかかわらず、お金がないことを証明できたのならば、その金額に応じて最大4個になるまでおまけします。
したがって、
お饅頭を4個お買い上げ(400円)のお客様→おまけにさらに4個無料サービス+「特別サービスなし」
お饅頭を3個お買い上げ(300円)のお客様→おまけにさらに3個無料サービス+「特別にさらに1個サービス」
お饅頭を2個お買い上げ(200円)のお客様→おまけにさらに2個無料サービス+「特別にさらに2個サービス」
お饅頭を1個お買い上げ(100円)のお客様→おまけにさらに1個無料サービス+「特別にさらに3個サービス」
お饅頭を買わない(0円)お客様 →おまけなし+「特別に4個サービス」
これが、法85条1項「2号」に定めるいわゆる「特別国庫負担金」です。
つまり、「買ってくれたお饅頭の数を超えて、一律に4個まではサービスする」のと同じ制度設計思想です。
この仕組みは、「給付・反対給付均等の原則」の原理には反します。
なぜならば、個人の保険料の支払額とは無関係に一定率の給付が行われるからです。
例えば、400円支払って8個お饅頭を手に入れた人と、100円支払って5個お饅頭を手に入れた人では、お饅頭の1個あたりの費用が異なります(前者は1個50円、後者は1個20円)。
ただ、社会保障という枠組みで考えた場合、保険原理を無視し個人単位で一定率の給付を行うこと自体は公的年金としての妥当性があるので、
条文でもこのような2段構えの仕組みが取られています。
したがって、保険原理本来の「給付・反対給付均等の原則」視点でみると、国が余分に力を貸しているという山川先生の説明は妥当だと思います。
制度をどういう視点で見るかの違いですので、国が貸す力は皆平等に2分の1という考えも決して間違いではないのですが、
条文上も号を分けていることから、立法者はそうは考えていないということが読み取れるのです。
国だから何とかなりますが、山川和菓子店の経営が心配ではありますけどね(笑)。
以上、宜しくお願い致します。
山川社労士予備校
三宅大樹
参考になった:22人
yamayobimiyake 2017-11-01 14:26:47
三宅大樹先生
社労士試験に関係ないとか、こんなことに拘っていたら試験に落ちるとか言われそうで、質問すること自体かなり迷いましたが
それに対し、ちゃんと向き合って、丁寧に回答してくださり、感謝しています
上記の例えで考えるのなら、私の考えは、お店に来た人は誰でも、4個のお饅頭を受取る権利があるのに
余計にってどうしてなんだろうってなったんだと思います
国=私たちで、私たちには、個人差があり、それゆえに社会保障が必要で、国庫負担をサービスと考えず、当然の権利と捉えていました
でも保険原理も、立法者も、そして山川先生も、400円払って8個のお饅頭を受取るのが本来の形で、お金を払わず4個のお饅頭を受取るのは、特別なサービスという考えで
余計に力を貸しているって表現になったってことでしょうか
折角回答いただいたのに、いまいちスッキリしませんが、ここで立法者や国の趣旨を追及しても時間を取られ試験合格が遠のくだけなので、そういうものだと割り切り先に進みます
ありがとうございました
mizuki40 2017-11-01 20:21:05