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老齢厚生年金に加算される加給年金額と、老齢基礎年金の振替加算は全く別のものです。また、「加給年金」という年金はありません。あくまで老齢厚生年金に加算される額が「加給年金額」です。従って、「加給年金を振替てもらう」という状況はあり得ません。

「夫(妻)の老齢厚生年金の加給年金額が妻(夫)の老齢基礎年金に振り替えて加算される」という説明は分かりやすいため、行政もそう説明していますし受験対策としてもそれでいいですが、そこで使用される用語や起きている事柄は正確に把握しなければなりません。

また、S60法附則15条の振替加算相当額の老齢基礎年金は、「老齢基礎年金への加算」ではありません。
質問者の方は「老齢基礎年金は0円ですが」と書いておられますが、質問者の方が書かれている①の場合も②の場合も、本来は老齢基礎年金の受給権そのものが発生していないのです。
受給権そのものが発生していない理由は、法26条をしっかり読めば解ります。
S60法附則15条は、本来は齢基礎年金の受給権そのものが発生していない者に対して、振替加算相当額で新たな老齢基礎年金の受給権を発生させる条文です。
この点は年金法を理解する上で重要です。

ご質問内容ですが、S60法附則15条の振替加算相当額の老齢基礎年金の条文を読まずに質問されているとしか思えません。
ご質問内容はすべて条文に書かれています。
テキストをきちんと読んでから再質問してください。

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poo_zzzzz 2017-11-09 15:56:13

前回の回答では忙しくて書けなかったのですが、老齢厚生年金に加算される加給年金額と、老齢基礎年金の振替加算の関係を書いておきます。



老齢基礎年金の振替加算は、妻(夫)が65歳になったときに、それまで夫(妻)の老齢厚生年金に加算されていた加給年金額が無くなり、妻(夫)の老齢基礎年金に加算される形で支給されるので「振替加算」と呼ばれますが、この言葉だけを鵜呑みにして「覚える」と誤解が生じます。

① 妻(夫)が65歳になれば、その老齢厚生年金に対する振替加算の有無にかかわらず、夫(妻)の老齢厚生年金に加算されていた配偶者加給年金は加算されなくなる。
② 夫(妻)の老齢厚生年金に加算されていた加給年金額の全額が、振替加算の額になるとは限らないこと。

この2点を考えてみても、単に「老齢厚生年金の加給年金額が、配偶者の老齢基礎年金に振り替えられる」ものではないでしょう?

制度の始まりが老齢厚生年金の加給年金額の全額を配偶者の老齢基礎年金に加算することから始まっているので「振替加算」で間違っていませんし、説明しやすいので受験対策的にも「振り替えられる」でいいですが、なぜ、配偶者の生年月日を問うのか、なぜ、当初の額が加給年金額相当額なのかをしっかり理解する必要があり、それが理解できれば「振り替える」という言葉には本質的な意味は無く、老齢厚生年金に加算される加給年金額と、老齢基礎年金の振替加算は全く別のものであることは理解できると思います。


旧法時代は、厚生年金の老齢年金の被保険者に一定の要件を満たす妻(夫)がある場合は、妻(夫)の年齢に関係なく、旧法厚生年金の老齢年金に加給年金額が加算されていました。また、旧法厚生年金の老齢年金は元々夫婦の年金として設計されており、その額も、現在の老齢厚生年金+老齢基礎年金の水準から見て2倍前後の高額なものでした。

そのかわり、といっては語弊がありますが、旧法時代は、任意加入した場合を除き、専業主婦(主夫)は、自分自身の年金を持たなかったのです。

新法施行時に厚生年金被保険者の妻(夫)である専業主婦(主夫)を、保険料負担なしで強制被保険者としました。
と、同時に、65歳以降の老齢厚生年金から定額部分を切り離し、これを老齢基礎年金に任せることにしたのです。
また、報酬比例部分も、20年掛けて漸減し、最終的には25%(当時)減額されることになりました。
旧法厚生年金の老齢年金の定額部分からみて、老齢基礎年金の額はほぼ半分ですから、強引な言い方をすれば、旧法厚生年金の老齢年金の定額部分を夫婦2人に分けたとも言えるでしょう。
「第3号被保険者分の保険料を取らないのはおかしい」という意見がありますが、夫(妻)の年金の減額とバーターで第3号被保険者制度が始まっていますので、第3号被保険者からの保険料徴収はそう簡単な話ではないのです。

また、老齢厚生年金の加給年金額も、受給権者の妻(夫)が65歳に達した場合は加算しない制度になりました。これも、妻(夫)が65歳になれば、自前の老齢基礎年金が支給されることになったからです。

しかし昭和61年4月1日にすで高齢の者については、せっかく第3号被保険者になってもその期間が短く、十分な年金が受けられない場合があります。
例えば大正15年4月2日生まれの被扶養配偶者は新法対象者であり新法施行日に第3号被保険者として強制被保険者になりましたが、その日に60歳に達するため即日資格を喪失してしまいました。これでは任意加入していない限り老齢基礎年金を受給できません。

しかし、「それなら支給されるべき老齢基礎年金の全額を妻(夫)に保障するのか?」といえば、それはそうする必要がありません。

これはなぜかというと、老齢厚生年金の報酬比例部分が20年掛けて漸減するのと同じく、定額部分にも配慮がなされ、老齢厚生年金の受給権者の生年月日が古い場合、例えば厚生年金保険の被保険者であった夫(妻)が大正15年4月2日生まれの場合、新法になって定額部分が老齢基礎年金に任されても、経過的加算によって定額部分の一部が老齢厚生年金に加算され、旧法時代の水準が保障されることになったからです。

つまり、夫婦が同年代の場合で例えば老齢厚生年金の受給権者である夫(妻)が大正15年4月2日生まれの場合、妻(夫)が65歳になったときに妻(夫)の老齢基礎年金は支給されないか支給されてもごく少額であるが、夫(妻)の経過的加算付きの老齢厚生年金+老齢基礎年金の額が、経過措置で旧法時代の老齢年金の支給水準を保つのでOK、なのです。

この場合、妻(夫)が65歳になったことによって、この夫婦が失うのは、夫(妻)の老齢厚生年金に加算されていた加給年金額、ですよね?

上に書いたとおり、旧法時代の加給年金額は配偶者の年齢に関係なく加算されていましたからね。

つまり、老齢厚生年金の加給年金額だけが、「はみ出して」しまったのです。

このため、加給年金額相当額の全額を、妻(夫)の老齢基礎年金に加算する、ということを行ったのです。ですからこの当時は文字通り「振替加算」です。

さて、生年月日が若くなるにつれ新法時代の国民年金の強制被保険者期間が長くなり、昭和41年4月2日以降に生まれた者については新法施行日以降に20歳を迎えるので、本人が免除を受けたり滞納したりしない限り満額の老齢基礎年金が支給されます。

それと同時に老齢厚生年金の経過的加算は縮小し、昭和41年4月2日以降に生まれた者については経過的加算が一部の条件のものを除きほぼ無くなります。つまり、厚生年金の被保険者についても、旧法定額部分に代わるものは老齢基礎年金だけになります。そしてその被扶養配偶者であった妻(夫)には原則として満額の老齢基礎年金が支給されるはずです。

この時に振替加算の額が0になるように、振替加算はそれを受ける者の生年月日に合わせて20年掛けて減少していく設計です。

そうすることで、夫婦共に65歳以上の場合は、「夫(妻)には老齢厚生年金+老齢基礎年金、その被扶養配偶者であった妻(夫)には老齢基礎年金」で、加給年金額もなく、経過的加算もなく、振替加算もないという、新法の当初の制度設計通りの年金が支給されることになります。

これ、夫婦がほぼ同年代でないと考え通りに機能しませんし、夫婦それぞれのキャリアも違いますから、あくまで国が決めたモデルケースによる制度です。

つまり、振替加算は、国が決めたモデルケースに従って、(1)夫(妻)の加給年金額及び経過的加算を含めた老齢厚生年金の額と老齢基礎年金の額 (2)妻(夫)の強制被保険者期間に応じた老齢基礎年金の額 の合計額が、上記の当初の制度設計による年金額の趣旨から、大きく逸脱しないようにコントロールされる額です。

ですから、新法施行時は「老齢厚生年金の加給年金額相当額の全額が、配偶者の老齢基礎年金に振り替えて加算された」のは事実ですが、これは「旧法時代は配偶者が65歳以降も加給年金額が加算されたが、新法では加算されない」ために、制度の趣旨から「はみ出した」額が、新法施行時は老齢厚生年金の加給年金額に相当する額だった、と、いうことから起きたことに過ぎません。

その後は、モデルケースによる老齢厚生年金の経過的加算、配偶者の強制被保険期間に応じた老齢基礎年金の額の変化と歩調を合わせて振替加算の額は変化するのですから、その全体像を飛ばして「老齢厚生年金の加給年金額が、配偶者の老齢基礎年金に振り替えられる」という考え方には意味がありません。

老齢基礎年金の振替加算は、老齢厚生年金の加給年金額だけではなく、老齢厚生年金の経過的加算、配偶者の強制被保険期間に応じた老齢基礎年金の額の問題と合わせて理解すべきものです。

私が「老齢厚生年金に加算される加給年金額と、老齢基礎年金の振替加算は全く別のもの」と書いたのは、そういうことです。



また、回答について「テキストを見てください」と書いたのは、文字通りテキストに書いてあるのでテキストはきちんと読んでくださいという理由と、もう一つ、前回の回答にも書いた制度趣旨をしっかり理解して欲しいからです。

もう一度書きますが、S60法附則15条は、老齢基礎年金の額が0の場合に、振替加算額を老齢基礎年金額として支給する条文ではありません。

法26条は、保険料納付済期間又は学生免除等を除く保険料免除期間が全く無ければ、例え受給資格期間を満たしていても老齢基礎年金の受給権が発生しない規定です。
老齢基礎年金の額の対象となる期間が無ければ、老齢基礎年金の受給権そのものが発生しませんから、受給権があるのに年金額が0の状態はあり得ません。
ここのテーマは年金額ではなく、受給権の発生です。
老齢基礎年金の額が0であることが問題なのではなく、老齢基礎年金の受給権そのものが無いことが問題なのです。
この者は、受給資格期間を満たし、振替加算の要件を満たしていても、加算の土台となる老齢基礎年金の受給権が無いために、振替加算を受けられないのです。

S60法附則15条は、そのような者に対し、まず、「老齢基礎年金の受給権を新たに発生させる」規定です。
支給額が振替加算相当額であるのは、その趣旨からの結果に過ぎません。

例えば・・・
合算対象期間がなく、学生納付特例と若年者猶予特例だけで受給資格期間を満たす者に、1か月だけ保険料納付済期間があり僅かな老齢基礎年金を受ける場合であれば、この者が要件を満たせば、その老齢基礎年金に振替加算が加算されることに、質問者の方は、疑問はないでしょう?

で、あるなら、「新たな受給権の発生がテーマ」という制度の趣旨が理解できていれば、おそらく今回のご質問は、最初からなかったように思います。

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poo_zzzzz 2017-11-11 15:51:23

「老齢厚生年金の経過的加算は縮小し、昭和41年4月2日以降に生まれた者については経過的加算が一部の条件のものを除きほぼ無くなります。」とありますが、定額単価が原則通り(1,628円)の適用で経過的加算がほぼ発生しないのは「昭和21年4月2日以降に生まれた者」ではないでしょうか?

また、「振替加算の額が0になるように、振替加算はそれを受ける者の生年月日に合わせて20年掛けて減少していく設計です。」とありますが、振替加算の対象は昭和41年4月1日までに生まれた者であるため、新法施行時より40年掛けて減少するかたちではないでしょうか?

そうすると、仮に夫婦共に昭和21年4月2日生まれで、配偶者に国民年金の任意加入期間がない場合は、振替加算考慮前の世帯あたりの支給水準は旧法時代の約3/4ということでしょうか?

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negi2266  2018-02-28 02:05:57



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