ニックネーム | *** 未ログイン ***

 

回答順に表示     新しい回答から表示     参考になった順に表示

これだけでは違法かどうかはわかりません。

法39条4項は、本来「労働日」単位である年次有給休暇を時間単位に分割することを許す制度です。
この制度によらずに付与した時間単位の有給休暇は、法39条の年次有給休暇になりません。それだけです。

つまり、5日を超えて時間単位で有給休暇を与えること自体には違法性がありません。

ある年度に18労働日の年次有給休暇の権利を持つ労働者が、例えば12日分を労働日単位で消化し、6日分を時間単位で消化した場合に、「あと1日」の年次有給休暇を時季指定し休んだ場合に、その日を法39条の年次有給休暇として認めなかった、という場合に違法になります。

年次有給休暇の権利は請求権ではなく形成権ですから「使用者が時季指定を認めなかった」という状態はあり得ません。労働者が休暇を取った場合に、法39条の年次有給休暇の扱いをしなかった、という場合でのみ違法になります。

統計は、その会社の有給休暇(必ずしも法39条の年次有給休暇だけとは限らない)制度のあり方そのものに言及していますか?

例えば年次有給休暇を法39条の規定を上回って与えている場合、その上回った分はどう処理しようと自由ですが、統計はこれについて言及していますか?

また、仮に会社が法39条の年次有給休暇のつもりで例えば7日分の年次有給休暇を時間単位で消化させていたとしても、そのこと自体は法の規定に反しますが、違法になるのは上記に書いたように、法39条に照らして本来年次有給休暇であるべき日に労働者が休んだ場合に、法39条の年次有給休暇として処理しなかった場合です。

仮に時間単位年休に不適切な運用があったとしても、年休の残日数に余裕があり未消化で時効消滅しているような場合や、仮に時間単位で消化しすぎて残日数がなくなって労働者の時季指定に対し「残日数がないよ」と使用者が言ったとしても、現に労働者が休暇を取り、それに対して有給休暇の扱いをしなかったのでなければ、「違法」にはならないのです。


ちなみに法39条4項がなぜ「5日」かというと・・・

我が国の年休消化率は低く、国としては消化率を上げたいのです。
これに対し使用者の団体や労働者の団体の一部から「時間単位で消化させてくれたら使いやすいのに」という要望がありました。
しかし、「時間単位付与は、労働者の休息の意義から離れる」という反対意見は、主に労働者側からあります。

また、もう一つ問題になったのがILO(国際労働機関)の1970年の132条条約です。
この条約には「労働者は1年勤務につき3労働週(5日制なら15日、6日制なら18日)の年次有給休暇の権利をもつ。休暇は原則として継続したものでなければならないが、事情により分割を認めることもできる。ただし、その場合でも分割された一部は連続2労働週を下らないものとされる。」と書かれています。
毎年、少なくとも2週間の連続休暇を要求していますから、我が国の実態からはかけ離れていますね?
このため、日本はこの条約を批准していません。

この条約は批准していませんが、日本はILOに参加していますから、こういった国際的な取り決めに逆行する法制度は作りにくいのです。

年次有給休暇を時間単位で与えることができるとした趣旨を述べたH21.5.29の基発0529001号通達でも、「まとまった日数の休暇を取得するという年次有給休暇制度本来の趣旨を踏まえつつ、仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにすることを目的として、労使協定により、年次有給休暇について5日の範囲内で時間を単位として与えることができることとしたものであること。」と、「本来はまとまった休暇が年休の趣旨なんだよ」という記述があります。

参考になった:18

poo_zzzzz 2018-07-13 08:23:05

詳しいご説明ありがとうございます。
以下白書より、抜粋してきました。

次に、第3-(2)-11図の左上図より、育児休業・介護休業の取得状況をみると、女性に比 べ男性の取得率は低い状況にあり、また介護休業については男性、女性ともに取得率が低い状 況にある。  一方で、育児や介護中は病院に連れていくなど、1日のうち少しの時間のみ休暇が必要とい う状況も生じやすく、時間単位で休暇取得できるような制度も重要であるため、時間単位の休 暇制度についてみると、制度がある企業は16.8%と少ない中、時間単位取得可能日数が5日ま でに制限されている企業は8割以上となっており、制度導入企業が少なく、導入されていても 取得日数に制限があることが分かる。働く方の仕事と育児や介護の両立に向けて、育児休業・ 介護休業の取得や柔軟な労働時間制度の導入をより一層推進することが求められる。


五日を上回った日数の処理の仕方については明記しておりません。
「時間単位取得可能日数が5日ま でに制限されている企業は8割以上となっており、制度導入企業が少なく、導入されていても 取得日数に制限があることが分かる。」というように書かれているので、五日に制限することがだめだ?のように感じました。しかし、法39条では5日以内と書かれています。

投稿内容を修正

1121  2018-07-13 11:32:53

> 一方で、育児や介護中は病院に連れていくなど、1日のうち少しの時間のみ休暇が必要という状況も生じやすく、時間単位で休暇取得できるような制度も重要であるため・・・


この文脈から考えて、お尋ねのか所は、労基法の年次有給休暇をテーマにしているのではなく、育介休法の子の看護休暇や介護休暇の拡大適用の状況を述べているのではありませんか?

子の看護休暇や介護休暇は、法的には年に5日で1日または半日単位での付与を義務づけていますが、これは時間単位での付与を禁じる趣旨ではなく、時間単位で付与した場合も子の看護休暇や介護休暇の消化と考えてよいこととされています。

このため、企業が任意で5日以上の子の看護休暇や介護休暇を与えていても、これはむしろ望ましいことであり、かつ、それが時間単位で消化されていても問題ありません。



この考え方の違いは、労基法39条の年次有給休暇の目的が労働者のリフレッシュであるのに対し、子の看護休暇や介護休暇の目的が仕事と家庭生活の両立にあるためです。

参考になった:2

poo_zzzzz 2018-07-13 13:50:03

何度も申し訳ございません。
とても納得できてたんですが、よくよく図などをみてみると

○ 年次有給休暇を時間単位で取得できる制度がある企業は 16.8%と少なく、その中でも8割以上が 時間単位取得可能日数が5日までに制限されている。

図のなかにこのように書かれていました。年次有給休暇とあります。これは39条の年次有給休暇を指すことになりますか?

お忙しいところ申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。

投稿内容を修正

1121  2018-07-13 15:18:24

バタバタしていて読むのが遅れてすみません。

なるほど、それならば年次有給休暇と思われますが、最初の回答に書いたとおり、法違反かどうかはわからないです。

理由も最初の回答に書きましたが、書かれている範囲では、年次有給休暇の付与について、法39条の範囲内のものに限って述べられているのか、それを超えて付与されているものを含んで述べられているのかどうかが分からないためと、法39条の年次有給休暇の権利は請求権ではなく形成権であるため、「労働者が休暇を取ったが使用者が年次有給休暇の扱いをしなかった」という状態にならない限り、法違反としては成立しないためです。


注:請求権と形成権
休暇を取る権利がもし請求権であるなら、労働者は使用者に対して休暇を請求し、使用者が承認してはじめて労働者は休暇が取れます。しかし法39条の年次有給休暇の権利は形成権であり、労働者側からの一方的な意思表示によって休暇を取得することが可能です。法が求めているのは休暇を取る時季の指定という意思表示だけであり、これを行えば、客観的に合理的な状況に基づく時季変更権を使用者が明示で行使しない限り、労働者のその日の労働義務は消滅します。法令上、労働者の時季指定のみで労働義務が消滅するのですから、使用者がなんと言おうと就業規則にどう書いてあろうと労働者はその日を休めばよく、ここに、使用者の承認や拒否が入る余地はありません。このため、「年次有給休暇の取得を会社が拒否した」という法違反は成立しません。「労働者が休暇を取ったが使用者が年次有給休暇の扱いをしなかった」という状態にならない限り、法39条の年休付与について法違反にはならないのです。

ですから、年間に8日の時間単位の有給を取得させていたとしても、これはただ単にそのうちの3日が客観的には法39条の年次有給休暇ではない、という事に過ぎず、その者の(会社における)有給残日数がある限りは法違反にはなりません。

(会社における)有給残日数がなくなった時に、この者の時間単位の有給のうち3日は法39条の年次有給休暇ではなく、法律上はあと3日年次有給休暇の残日数があることになりますから、これについて労働者が時季指定して「労働者が休暇を取ったが使用者が年次有給休暇の扱いをしなかった」という状態になってやっと法違反なのです。

このため、あなたが書かれている箇所は、まとまった日数の休暇を取得するという年次有給休暇制度本来の趣旨から見ると疑義がある記述ですが、法違反については「わからない」ということです。

参考になった:8

poo_zzzzz 2018-07-13 20:29:21

何度もご丁寧にありがとうございます。
とても納得できました。

投稿内容を修正

1121  2018-07-14 07:03:47



PAGE TOP