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問1
正しいです。

ただ、その規定のしかたは、下記URL下部の就業規則規定例のように、基本的な考え方だけを定め、細部は「労使協定による」としてもかまいません。
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/week/970415-3.htm

つまり、必ずしも変形の内容すべてを就業規則に記載する必要はなく、就業規則に労使協定への参照を記述し、労使協定の内容が必要な範囲で就業規則の内容となり、かつ、それが就業規則の要件を満たすように書いておけばよいのです。
なお、法106条により、使用者には労使協定を就業規則同様に労働者に周知する義務があります。



問2
受験生の方の多くは「免罰効果=労使協定」と思っておられるのですが、そんなルールはありません。

第一、「労使協定」という「用語」は労働基準法やその施行規則にありません。
「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定」(条文により差異あり)を、通達等の行政文書で「労使協定」と言っているだけです。
法令に用語がないのですからその定義があるわけもなく、法に定義がないものが、無条件に法に対する免罰を与えられるはずもないでしょう?

免罰、とは、特定の法の規定に触れる行為を行っても罰しない、ということであり、免罰の規定は、一般的に、免罰の対象となる法の規定の例外規定としておかれます。

例えば「○○した場合は、法△△条の規定にかかわらず、××できる」のように定められます。
この場合、「××」が「法△△条」で禁じられている行為であり、通常これに触れれば法違反ですが、「○○」した場合は、この法違反を問わなくなるのです。
「法△△条」に対する免罰効果を得るための要件が「○○」ということです。

この「○○」が、労働基準法においては、労使の協調を重視する趣旨から「労使協定」であることが多いのです。
「労使協定」が免罰効果を持つのは、変形労働時間制の条文のように、原則の規定に対する免罰を定める規定において、労使協定が「免罰の要件となるように書かれている」からそうなるのであって、免罰効果は労使協定の属性ではありません。

逆に言えば、「○○」は労使協定でなくても良い、ということですよね?
一か月単位の変形労働時間制を定める法32条の2においては、この「○○」が「労使協定の締結」と「就業規則の定め」の2つなのです。

法32条の2は、「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。」と、言っています。

「労使協定の締結」と「就業規則の定め」は、ここでは全くイーブンであり、共に、法32条の1週40時間・1日8時間の法定労働時間の定めに対する「免罰効果を得るための要件」として書かれています。
ただ、就業規則で定めた場合はその定めは労働者を民事的に拘束し、労使協定で定めた場合はその内容を就業規則等に反映させなければ労働者を民事的に拘束しないのですが、これは単に「就業規則に規範的効力があり、労使協定にはそれがない」ということから起きることで、「別の問題」です。
「労使協定の締結」も「就業規則の定め」も、法32条の2においては「免罰効果を得るための要件」に過ぎないのですから、「役割が違う」ことはありません。

ではなぜ法32条の2がこのようになっているのか?ですが、法の成立と改正の歴史的経緯からこうなっています。
下記を参考にしてください。

http://smon-hiroba.net/sr/bbs_each.php?rcdId=163

参考になった:7

poo_zzzzz 2018-10-11 03:12:45

poo_zzzzzさま
即座に詳細な解説をくださり、ありがとうございます。

・労使協定には規範的効力はないので、その取り決めの概要(項目)だけでも就業規則等に記載して(詳細は労使協定によるとして)労働者への拘束性を持たせることにしている
・戦後間もない時期から、就業規則に規定することで「1か月(かつては4週間)変形」運用が認められていたが、その後、他の変形労働時間制の導入にあたり労使合意を条件としたために協定前置のような運用となり、1か月変形の条文は双方に顔が立つように工夫がなされた
(条文の並びが「1か月」「フレックス」「1年」「1週間」となっていることに疑問がありましたが、過去のいきさつが反映されているということですね)

労基法のモヤモヤ感がなくなりました。これで安心して安衛法に進めます。ご指導に感謝いたします。 m.tanaka

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m.tanaka  2018-10-11 08:30:05



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