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質問を切り分けます。

障害補償給付を受けていた者が死亡した場合、遺族補償給付が支給されるかどうかについては、その死亡の原因によって左右されます。
障害補償給付を受けていた者が、業務上の傷病に関係なく死亡した場合は、遺族補償給付は支給されません。
障害補償給付を受けていた者が、業務上の傷病が原因で死亡した場合は、遺族に遺族補償給付が支給されます。

これは、障害補償給付を受けたかどうかには関係なく、「業務上の傷病が原因で死亡した場合は、遺族に遺族補償給付が支給される」という、遺族補償給付の原則そのものです。

ただ、障害補償給付が支給されているということはその事由である業務上の傷病は治ゆしたはずで、このためその傷病が死亡の原因となるためには再発があるはずです。
受けていた障害補償給付が障害補償一時金なら問題はないですが、再発すれば障害補償年金は失権です。
このため、理屈でいうなら、現に障害補償年金の受給権者である者の死亡の場合、その原因が障害補償年金の支給事由となった業務上の傷病である事はあり得ず、このため、新たな業務災害があった場合を除き、遺族に遺族補償給付は支給されないことになります。

学習上は、再発により障害補償年金は失権し、療養補償給付・休業補償給付の対象になり、死亡し、遺族に遺族補償給付が支給される、というプロセスを意識してください。

二つ目の回答は労災保険法19条の、打切補償のみなし適用についてです。

これは、誤って理解しておられるようです。

労災保険法19条を読み直し、労働基準法19条・81条との関係を再度確認してください。

労災保険法19条には「【労働基準法第19条第1項の規定の適用については】、当該使用者は、それぞれ、当該三年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなつた日において、同法第81条の規定により打切補償を支払つたものとみなす」と、ありますよ。

参考になった:4

poo_zzzzz 2018-11-07 12:00:26

poo_zzzzzさま

ご教示くださりありがとうございました。

遺族補償給付の支給の可否については、「業務上の傷病が原因で死亡した場合」に当たるかどうかを政府が判断するのですね。
私は、業務上の傷病が原因で働けなくなった労働者については、療養補償給付、障害補償給付に加えその方が亡くなってからも(死亡の原因がどうであれ)補償が続くのかなあ・・・と思ってました
(恥ずかしっ)。

>学習上は、再発により障害補償年金は失権し、療養補償給付・休業補償給付の対象になり、死亡し、遺族に遺族補償給付が支給される、というプロセスを意識してください。
はい、承知しました。ありがとうございます。


それと、労災保険法19条の「打切補償のみなし適用」につきましても、その効果について私の誤った理解をご指摘くださりありがとうございます。
労働基準法19条の解雇制限に関し、打切補償を支払ったのと同じ扱いをする(即時解雇を行ってもよい)ということですね。

<私の誤った理解>
みなし適用により労働基準法81条の打切補償を支払ったのと同じ効果が生じて、同条により「その後はこの法律(労働基準法)の規定による補償を行わなくてもよい」から遺族補償が免じられ、労災保険法の遺族補償給付も支給されないことになる

勝手な思い込みをしていたことがよくわかりました(労災保険法19条が分かったようでいて、全然分かってなかったのです)。

お導きに感謝いたします。 m.tanaka

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m.tanaka  2018-11-07 22:02:15

投稿個所を間違えたため削除しました

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poo_zzzzz  2018-11-09 01:37:17

> 打切補償を支払ったのと同じ扱いをする(即時解雇を行ってもよい)ということですね。

即時解雇を行ってもよい、と、思われた根拠はなんでしょう?

参考になった:1

poo_zzzzz 2018-11-08 00:30:57

即時解雇を行ってもよいと思った根拠

 労働基準法19条
 1項:使用者は、・・・解雇してはならない。ただし、使用者が第81条の規定によって打切補償を支払う場合・・・においては、この限りではない。
 2項:前項但書後段の場合においては、その事由において行政官庁の認定を受けなければならない。

労災保険法19条「当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなった日において、同法第81条の規定により打切補償を支払ったものとみなす」により、労働基準法19条1項の解雇制限が解かれ、同条2項の行政官庁による認定も不要とされているから。


この場合、解雇予告なしに解雇できる(=即時解雇が可能)と理解しておりますが、誤っておりますでしょうか?
(これとは別に、労働契約法の解雇権濫用についてもクリアすべき事項と考えます)

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m.tanaka  2018-11-08 08:07:20

誤っていますね。

労災保険法19条により労働基準法81条の打切補償が行われたとみなされても、労働基準法19条の適用の例外となり、解雇制限が解除されるだけです。

つまり、解雇をすることが、労働基準法上可能となっただけです。

そして、労働基準法上の解雇は、原則として、労働基準法20条の要件(解雇予告または解雇予告手当の支払)を満たさなければなりません。

例外として、労働基準法20条の適用を受けないのは、
1. 労働基準法21条に定める労働者である場合
2. 労働基準法20条但し書きに定める、
  . 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
 ・労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合
 です。なお、この2.については、労働基準監督署の認定を受けなければ、
 解雇そのものは無効にはなりませんが、労働基準法違反で罰則があります。

さて、3年経過と傷病補償年金の支給により、労災保険法19条の適用があり、労働基準法19条の例外となり、単に解雇制限が解かれたに過ぎない場合に、この労働基準法20条の適用は受けないのですか?

労働基準法19条の解雇制限が解かれた場合に、もし、解雇予告も解雇予告手当も要らないのなら、テキストに載っていると思いますが、昭和24年4月12日基収1134号のような通達が、なぜあるのでしょう?

参考になった:3

poo_zzzzz 2018-11-08 09:47:51

poo_zzzzzさま

ご教示くださりありがとうございます。
解雇制限(19条)が解除になるだけで、解雇するならその次のステップとして解雇の予告(20条)に進むということですね。
それで、もし即時解雇をするなら30日分の平均賃金の支払いが必要になるのですね。

そうしますと、確認させていただきたいことがあります。
81条(打切補償)では、「使用者は、平均賃金の1,200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい」とあります。
上記の「30日分の平均賃金の支払い」は81条の「この法律の規定による補償」には当たらないと考えますが正しいでしょうか?
(解雇予告手当と呼ばれているので補償とは異なると思うのですが、補償のようなイメージを持ってしまいます)


あと、関連する質問をさせてもらってよろしいでしょうか。
労働災害と解雇制限クリアとの関係です。次の③の場合、解雇制限がクリアされる条文が見つけられないのですが、どう考えたらいいでしょうか?
①療養により回復して元の職場に復帰した場合 ⇒ 就業後30日を経過すれば解雇制限はクリア(労働基準法19条1項 昭24.4.12 基収1134号)
②療養開始後3年経過しても負傷疾病が治らない場合 ⇒ 打切補償を支払うことにより(または労災保険法19条により)解雇制限はクリア(労働基準法19条1項但書)
③療養開始後3年以内に症状固定し障害が残って(障害補償年金を支給されることになり)、職場に復帰できる見込みがない場合 ⇒ ?

しつこくてすみません。どうぞよろしくお願いします。 m.tanaka

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m.tanaka  2018-11-08 23:45:00

(1)
解雇予告手当は、労働基準法上の「補償」ではありません。
また、それ以前の問題として、労災保険法19条の打切補償のみなしは、労働基準法19条の解雇制限にのみ効果が及び、災害補償とは関係がないことを、このスレッドで学んだばかりではなかったのですか?

(2)
症状固定(=治ゆ)して障害補償年金を受ける者は、労働基準法19条の「療養のため休業」を、していますか?

参考になった:1

poo_zzzzz 2018-11-09 01:37:34

poo_zzzzzさま

ご指導ありがとうございます。

(1) 解雇予告手当が「補償」ではない旨、把握できました。

>また、それ以前の問題として、労災保険法19条の打切補償のみなしは、労働基準法19条の解雇制限にのみ効果が及び、災害補償とは関係がないことを、このスレッドで学んだばかりではなかったのですか?

言葉足らずで申し訳ございません。その点は理解できました。このQは、労働基準法81条と同20条の関係だけを念頭に置いて確認させていただいたものでした。ありがとうございます。


(2) 19条1項の本文に凝縮されているのですね。気付くことができませんでした。
  治癒した段階で「療養のために休養する」から外れ、その後30日が経過すると19条の解雇制限がクリアになることですね。


丁寧なご指導に感謝いたします。
労働基準法、労災保険法とも理解が深まりました。 m.tanaka

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m.tanaka  2018-11-09 07:11:16

(1) 打切補償と解雇予告手当

昭和28年4月8日の基発第192号には「打切補償とは、業務上の負傷又は疾病に対する使用者の補償義務を永久的なものとせず、療養開始後3年を経過したときに打切補償を行うことにより、その後の使用者の補償責任を免責させようとするものであるから、」とあります。

この記述を見ても、行政が、法81条の「この法律の規定による補償」について、「業務上の負傷又は疾病に対する使用者の補償義務」による補償を指すと考えていて、解雇予告手当をはじめ、業務上の災害補償以外の部分を、法81条において行政が意識していない事はあきらかです。

この通達の続きは「いったん打切補償を行えば、療養補償及び休業補償はもちろん、障害を残した場合の障害補償又は死亡した場合の遺族補償及び葬祭料を支給する必要はない」なのですが、この部分について、行政の立場に異を唱える法学者もいます。

受験対策からは完全に外れますが、コンメンタール(厚生労働省労働基準局が編集する労働基準法の逐条解説書)に書かれている内容から引用すると、「「この法律の規定による補償」とは、その表現からみると、本章に定めた災害補償の一切を指すようにみえるが、本条の目的が療養の打切りによることからみて、療養補償を指すものとみるべきであるとし、打切り後に、身体障害が残ったような場合には、別に障害補償をしなければならない(問題になるのは休業補償であるが、療養補償の義務がなくなれば休業補償の義務も当然なくなると解すべきであるとする。)とする説もある(吾妻「労働基準法」436頁、松岡「条解(下)」958頁、末弘「労働基準法解説」法律時報第20巻6号32頁)。」とあります。

これは、打切補償について、行政の立場とは異なる説があることを、コンメンタールが述べているのですが、ここに「本章に定めた災害補償の一切を指すようにみえるが」とあることに注意してください。

打切補償について、行政と立場を異にする法学者であっても、法81条の「この法律の規定による補償」は、労働基準法第8章の災害補償による補償に限定して考えているのです。

これらは、労働基準法の中における労働基準法第8章(災害補償)の立ち位置から「当然のこと」と考えられているのだと私は思うのですが、それはさておき、行政や法学者が以上のように書いていることから、「この法律の規定による補償」に、解雇予告手当をはじめ、労働基準法8章の災害補償以外のものが含まれないことは、議論の余地が無いように思います。



次に、法81条を離れて、解雇予告手当が「補償」であるかどうかですが、ILO(国際労働機関)の158号条約に「雇用が終了される労働者は、合理的な予告期間を与えられ又は予告期間に代わる補償を受ける権利を有する。」とあり、ここに「補償(compensation)」という文言が見えます。

解雇予告手当が「補償」であるなら、解雇予告手当は、労働者が使用者に対して有する債権になるように考えますが、解雇予告手当が労働者が使用者に対して有する債権であるかどうかについては、学説上争いがあります。

我が国の行政は、法20条違反の解雇について「解雇相対的無効説」をとっており、即時解雇としては無効であるが、30日間の解雇予告としては原則的に有効である、としています。

この立場における解雇予告手当の性格について、コンメンタールは、「解雇予告手当は、解雇通告後に労働者が取得する債権としての性格を有するものではなく、即時解雇をするための要件として法律が定めた特殊な手当としての性格を有すると解されることになる」としており、解雇予告手当の債権としての性格に否定的な立場を取っており、「法が定める特殊な手当」として考えています。

私が知る限り「補償」であるか否かについての行政の明文の記述はないように思いますが、「債権ではなく、法が定める特殊な手当である」とされていることから、労働基準法上、解雇予告手当は、法81条を離れて考えても「補償」とは考えない方が、行政の考えに沿うように思います。

※蛇足
法20条違反の解雇についての学説は、「解雇相対的無効説」の他の説として「解雇有効説」「解雇絶対的無効説」「選択権説」があります。
「解雇絶対的無効説」の場合は、法20条違反の解雇は、解雇そのものが無効であるとする説です。
「選択権説」は、法20条違反の解雇について、解雇の無効の主張と、解雇の有効を認め手当の請求をする、のどちらかが選択できるとする説です。
「解雇絶対的無効説」の場合は、解雇が無効なのですから解雇予告手当について論じる余地がありません。「解雇有効説」の場合と「選択権説」で解雇の有効を認めた場合は、解雇予告手当は、労働者が有する使用者に対する債権の性格を持ちます。



(2) 障害補償年金と療養

これについては残念です。

同じこのスレッドで、現に障害補償年金の受給権者である者が、その支給事由と同じ事由で死亡し、遺族に遺族補償年金が支給されることは、形式上あり得ない、と、学んだばかりではありませんか?

形式的には、再発があり、障害補償年金は失権し、療養補償給付を経て、死亡、ということでしたよね?

ここで、「障害補償年金を受けている者は、その支給事由となった傷病について療養を受けていない」、ということを叩き込まなければなりません。

あなたのコメントから察すると、気づけなかったことはこの部分ではなく、労働基準法19条の「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間」の部分の見落としであったようですが、そうであるなら、さらに気をつける必要があります。



以前、私はあなたに「見えていないものを想像して誤ったイメージを作るのはダメですよ」と言いましたね。

今回も病巣は同じです。

あなたは、「業務上災害を受けた者は、働けるようになるまで解雇制限の対象になるのだ」という、条文にないイメージをご自身で作って、理解をされていたことになるからです。

オリジナルなイメージを持つことは悪いことではありません。

ただ、疑問が生じた時に、そのイメージが正しいかどうかを、ご自身が検証する姿勢が必要なのです。



何回か受け答えをさせていただいて、あなたについて感じるのは、

■ 思い込みが強く、テキストや条文に書かれていることと異なるイメージを持ちやすい
■ 広い範囲を見て考えようとされていて、これは大変良いことではあるが、その場合に興味の対象となっているところに意識が引きずられて、せっかく広く見ようとしていらっしゃるのに、視野の取り方や見方が公平ではない傾向がある

と、いうことです。

これは、受験対策上、意識してカバーしなければならない傾向です。

疑問を持ったら、

■ まず、ご自身の頭の中にある知識やイメージを疑い、先入観を捨てること。

これが何より重要です。
「疑問を持った瞬間」は、普段は目に見えないあなたの前にある「壁」が、目に見える瞬間です。
その「壁」の正体が、あなたご自身の誤った知識や理解かも知れない、と、いうことは、強く強く意識しなければいけません。

■ その意識の上で、テキストをしっかり読み直すこと。

今回も、あなたがご自身の理解に疑問を持ち、疑問を持った意識でテキストの法19条を、要件を一つ一つ辿りながら読み直していたら、簡単に氷解していた疑問だったかも知れませんね。

■ その場合に、必要なら用語の定義まで遡る覚悟で、必要な範囲を広く公平に俯瞰すること。

これらを心がけることをお勧めします。

少し前に他の方へのコメントに書きましたが、「しっかりテキストに沿って口述講義を聴き、テキストを精読して、それでも分からなければ質問してください」は、誰に対しても私が取る立場です。

参考になった:2

poo_zzzzz 2018-11-09 13:02:20

poo_zzzzzさま

ご指導ありがとうございます。

(1) 打切補償と解雇予告手当
>法81条の「この法律の規定による補償」は、労働基準法第8章の災害補償による補償に限定して考える
   はい、承知しました。
   詳細なご説明をいただき、理解が深まりました。


(2) 障害補償年金と療養
>障害補償年金を受けている者は、その支給事由となった傷病について療養を受けていない
療養を受けていないから労働基準法19条は(その後30日の期間を除いて)適用になっていない、ということですね。
この点についても理解できました。


それと、わずか数回のやりとりで私の陥りやすい傾向をご指摘くださり、感謝申し上げます。

>まず、ご自身の頭の中にある知識やイメージを疑い、先入観を捨てること。
>これが何より重要です。
>「疑問を持った瞬間」は、普段は目に見えないあなたの前にある「壁」が、目に見える瞬間です。
>その「壁」の正体が、あなたご自身の誤った知識や理解かも知れない、と、いうことは、強く強く意識しなければいけません。

わかりやすい表現でお伝えくださりありがとうございます。
壁を感じたら、テキストをよく読んで口述講義を聞きなおし、正しい理解を自分でつかむようにします。
(来年の今頃、合格報告ができるようにがんばります  On my honor, I’ll do my best.) m.tanaka

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m.tanaka  2018-11-09 22:13:52



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