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雇用保険法/技能習得手当 法36 条3項について
kamisama100 2018-11-18 06:01:49
法36 条3項
3)給付制限の規定により基本手当を支給しないこととされる期間については、技能習得
手当及び寄宿手当を支給しない。
とありますが、
離職理由による給付制限法33 条1 項
1)被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がな
く自己の都合によって退職した場合
待期期間の満了後1 箇月以上3 箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基
本手当を支給しない。
ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業
訓練等を受け終わった日後の期間については、この限りでない。
上記法33 条1 項の自己都合離職による3ヶ月の制限中に訓練給付を受ける事となった場合、
訓練給付(基本手当)を支給される事と法33 条1 項のただし書きから技能習得手当は受けられると考えられるのですが
あっているでしょうか?
お答えする前に、気になった点を一つ。
「訓練給付」という用語は、雇用保険法の求職者給付にはありません。
また、「訓練給付(基本手当)」という表現も正しくありません。
似た用語に「訓練延長給付」がありますが、お尋ねの箇所の基本手当は訓練延長給付としての基本手当を指しません。
もし、「訓練延長給付」を思っておられるのであれば、「延長給付」が理解できていないことになるように思います。
特に「訓練給付を受ける事となった場合」というように「給付を受けることを条件とする」思考プロセスは、正しい理解を妨げます。
ここで、どのような場合に?を考えるなら、「公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けることとなった場合」です。
あくまで、「公共職業訓練等を受ける」→「基本手当の給付制限が行われなくなる」→「基本手当が支給される」→「技能習得手当も支給される」というプロセスです。
受験のための学習は、正しい用語と論理的な考え方で行わなければなりません。
正しい用語を使い、論理的に考える訓練をしないと、簡単な落とし穴で問題の正誤を誤ります。
さて、上記の部分の表現が誤っていることを除けば、お考えは正しいです。
① 被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合は、離職理由による基本手当の給付制限がある。
② 技能習得手当及び寄宿手当を受けることができる受給資格者であっても、①を含む一定の給付制限の規定により基本手当を支給しないこととされる期間については、技能習得手当及び寄宿手当を支給しない。
③ ①によって給付制限を受ける受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の期間については、基本手当の給付制限が行われない。
④ 基本手当の給付制限が行われないのであるから、②の規定の適用もないので、技能習得手当及び寄宿手当が支給される。
私の表現では、このようなプロセスです。このプロセスは順序通り正しく理解する必要があります。
そうでないと、例えば平成26年雇保問7Aの
「被保険者が正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、雇用保険法第21条に定める待期の期間満了後1か月以上3か月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、技能習得手当が支給されない。」
というような問題に引っかかります。
この問題は上記プロセスの②そのものですから、グレーな要素はありますが、原則的に正の肢になります。
ここで「技能習得手当を受ける場合は公共職業訓練を受けているはずだから、技能習得手当は支給されるはずだ」などと、「はしょった覚え方」をしていると間違ってしまいます。
【参考】
http://smon-hiroba.net/sr/bbs_each.php?rcdId=542
http://smon-hiroba.net/sr/bbs_each.php?rcdId=658
なお、特例受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために、特例一時金に代えて基本手当を受ける場合は、その者が離職理由による給付制限を受けていても、上記③の規定が適用されません。
このため、公共職業訓練期間中も、離職理由による基本手当の給付制限は行われ、技能習得手当も支給されません。
このことからも「技能習得手当を受ける場合は公共職業訓練を受けているはずだから、技能習得手当は支給されるはずだ」という覚え方は、通用しないのです。
【蛇足】
平成26年雇保問7Aを、私が「グレーな要素がある」と思う理由は、雇用保険法の第3章第2節で「被保険者」という場合は「いわゆる」一般被保険者を指すのが暗黙の了解だからです。
そう考えると、この者は求職の申込後、特例受給資格者ではなく受給資格者であるはずですので、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるのであれば給付制限は行われていない、という考え方ができます。
社労士試験は、法令則の条文からの切り出しは原則正の肢ですから、それでも正、と考えるのが基本ですが、平成26年雇保問7Aの場合、条文の切り出しとは言い難い面もあり、グレーな要素は残るので、最後は他の4肢との比較での正誤判断になります。
雇用保険法は第3章第1節まではすべての被保険者を「被保険者」と言っており、第3章第2節の2以降で高年齢被保険者等について第3章第2節の規定を適用除外(一部を除く)にするという、複雑な体系をしているため、第3章第2節の規定で「被保険者」という場合は「いわゆる」一般被保険者を指すと考えないと、法律が読めないのです。
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poo_zzzzz 2018-11-18 20:04:09
回答ありがとうございます。
じっくり回答内容を確認し色々納得しました。
今回の質問は過去に訓練給付を実際に受けたことがあり
実際に基本手当と技能習得手当をもらっていたので今回の質問をさせていただきました。
訓練給付の誤りは基本手当=教育訓練給付金だと受給当時に勘違いしていました。
今回で訓練延長給付であったと理解しました。
平成26年雇保問7Aは質問段階では誤りを選んでいたと思うので
詳細な解説でしっかりと理解することができました。
各条文のつながりを論理的に理解していく作業も必要だと感じましたので
今後の学習に役立てたいと思います。
kamisama100 2018-11-18 22:06:20
コメントありがとうございます。
教育訓練給付はもちろんのこと、訓練延長給付も、今回の質問の箇所には、直接は関係ないですから、その点は確認してくださいね。
訓練延長給付等の「延長給付」は、「基本手当の所定給付日数の残日数がなくなった後」に、何らかの理由により基本手当を延長して支給する制度です。
流れを箇条書きにすると、
① 離職理由による給付制限で基本手当が支給されない。
② 公共職業安定所長から、公共職業訓練を受けることを指示されたとする。
③ 公共職業訓練の開始と共に、離職理由による給付制限を受けなくなるため、基本手当と技能習得手当が支給される。
④ ここで支給される基本手当は、所定給付日数の残日数がある場合の、本来の基本手当である。
⑤ 仮に、公共職業訓練期間中に、基本手当の所定給付日数の残日数が無くなったとする。
⑥ 訓練延長給付として、所定給付日数の残日数が無くなった後も延長して基本手当が支給され、技能習得手当も支給される。
今回、あなたが質問されたのは①②③④の部分です。
訓練延長給付は⑤⑥ですから、直接は関係ありません。
参考になった:4人
poo_zzzzz 2018-11-18 22:54:31