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労災保険法/過去問題10年網羅。の問題の意味
taro.k 2019-05-09 23:17:32
勉強不足で申し訳ございません。
労災保険法の問題の012番の問題の意味がよく理解できません。
特に最後の「保険関係によるものとして取り扱う」の保険関係とはどういったことなのでしょうか?
ご回答いただけると幸いです。
この質問広場は、社労士受験に関することであれば誰でも質問ができ、誰でも回答者になれる場です。
質問される方を受講生に限っておらず、また、基本的にはやま予備のスタッフの方が答えられる場ではないので、教材の問題番号だけでは回答する側が困る場合があります。
必要最小限度の情報を書いていただくか、過去問であれば出題された年と問題番号、肢番をお書きくださるよう、お願いします。
今回の質問に関しては「保険関係によるものとして取り扱う」とありますので、H27労災保険5Cについてのお尋ねでしょうか?
他にそのような問われ方をした過去問はないように思うのですが、もし、違ったらごめんなさい。
この肢は、出向先で労働している労働者について、その労働者の賃金は出向元が支払っている場合の、労働者災害補償保険(以下「労災保険」)の保険関係がどのようになるかについての設問です。
出向は、ある使用者(出向元)との労働契約関係にある労働者が、出向元の命令で、他の使用者(出向先)と労働契約関係を結んで労働することを言います。
この場合に、出向元との労働契約関係が消滅するのであれば「移籍出向」または「転籍出向」であり、出向元との労働契約を維持したまま、出向先での労働契約関係に入る場合を「在籍出向」と言います。
出向元が労働者に対して、どのような出向を命じることができるかは、出向元での労働契約の内容と、個々の事情によります。
在籍出向では労働者は出向元での労働者の身分を失わないので、二重の労働契約関係になります。つまり、出向先を辞めても、出向元の労働者に戻ることが保証されている状態です。
ある会社が、製造部門の子会社や、販社の子会社で労働者を働かせたり、取引先で労働者を働かせたりする場合に、この形が多く見られます。
派遣や業務請負と混同しやすいのですが、派遣や業務請負の場合は労働者との労働契約関係は派遣元や請負元にのみあるのに対し、出向の場合は二重の労働契約ですから出向元だけではなく出向先にもその労働者との労働契約関係があり、出向先も労働契約上の使用者としての責任を負います。
労災保険の保険関係は、労働基準法が定める、使用者が無過失でも責任を負う災害補償義務を元にしています。
このため、現実に労働者が労働し、指揮命令を受ける出向先の事業所で労災保険の適用を受けるのが適当なのです。
ちなみに労災保険は労働者のための保険ではありません。
先に書いたように、業務災害があった場合、労働基準法により使用者は無過失でも災害補償義務を負います。
この補償による負担を、国が保険化したのが労災保険です。つまり「事業主のための保険」です。
このため「被保険者」の概念を持ちません。
自動車保険が、被害者が誰であっても運転者や自動車所有者が負う補償義務を肩代わりするように、事故がその事業主の業務で起き、被災者との間に労働契約による使用関係があれば、被災者が誰であっても事業主の補償義務を肩代わりするのが労災保険です。
さて、上記のように、出向労働者の労災保険の適用は出向先で受けるのが適当なのですが、在籍出向の場合、出向労働者の賃金の支払は出向元が行っているケースがあります。
すると、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」(以下「徴収法」)の定めにより、労災保険に係る労働保険関係の保険料は、賃金総額を基礎にして徴収されますから、出向労働者が労災保険の適用を受けるのに、賃金を支払うのは出向元だから、労災保険に係る労働保険関係の保険料を支払うのは出向元?という問題が生じます。
このような場合に、出向元が出向労働者に支払った賃金の額を出向先に報告し、出向先がその額を自社の賃金総額に含めて計算し、労災保険に係る労働保険関係の保険料を申告・納付します。
そうすると、出向労働者が労災保険の適用を受ける事業所(出向先)が保険料を負担することになるので、筋が通ることになります。
逆に、出向労働者に支払った賃金の額は、現実にそれを支払った出向元の賃金総額からは除かれます。
このため、その事業所の事業主が支払った賃金総額を元に算定する、という徴収法の保険料算定基礎額の原則からみれば例外の扱いになります。
お尋ねの肢は、上記のことについて問うています。
この肢は、根拠の取り方は別にして、内容的には本来は徴収法の問題であり、問8から問10で出されるべき問題です。
徴収法の問題であれば、出向元で支払われた出向労働者の賃金を、出向元・出向先のどちらの賃金総額に含め、どちらが保険料を支払うかという、とてもシンプルなテーマです。
これをS35.11.02基発932通達を根拠にして問5で出しているために、徴収法ではなく労災保険法からみた問題になっており、「賃金負担のありかをテーマに、出向労働者が、出向元と出向先のどちらの事業所と労災保険の保険関係にあるのかを問う」という、少し回りくどいテーマになっています。
なお、「出向」がテーマの肢は、本試験で平均的に年1肢くらいの割合で出ていると思います。私の印象では雇用保険法が多い印象です。
上記の例の場合、雇用保険法では出向労働者は出向元の被保険者であり、雇用保険に係る労働保険料を申告納付するのは出向元です。
「出向」は、受験勉強の対象として「重要」とはいいませんが「その内容を知っておくべきこと」ですから、派遣や業務請負との違いを含め、整理しておいてください。
参考になった:3人
poo_zzzzz 2019-05-10 06:11:07