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厚生年金保険法/第2・3号厚年被保険者等の高齢任意加入被保険者
taruuuu 2019-05-10 09:07:54
第2号厚生年金被保険者及び第3号厚生年金被保険者の高齢任意加入被保険者についてご教授ください。
法附則第4条の3第10項で、「第2号厚生年金被保険者又は第3号被保険者に係る事業主については、第3項及び第6項から第8項までの規定は、適用しない」とあります。
7項は「第一項の規定による被保険者は、第八十二条第一項及び第二項の規定にかかわらず、保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うものとし、
その者については、第八十四条の規定は、適用しない。ただし、その者の事業主が、当該保険料の半額を負担し、かつ、
その被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意をしたときは、この限りでない。」とあり、
山川先生は、「公務員は7項が適用されないので、被保険者半額負担、事業主半額負担、保険料を納付する義務は事業主が負う」と説明しておられると解釈しております。
しかし、「事業主については、第3項及び第6項から第8項までの規定は、適用しない」であり、つまり、7項のただし書の事業主にかかわる部分にのみ「適用しない」が適用されるのであって、
被保険者にかかわる同項本文の規定(被保険者が保険料を全額負担、納付義務を負うこと)は適用されることになるのではありませんか?
もしも被保険者の保険料全額負担等の規定を除外するのならば「第2号厚生年金被保険者又は第3号被保険者については・・・適用しない」とする規定を設ける必要があるのではないでしょうか。
某スクールでは、そのような説明を受け、山川先生とは真逆の解釈ですので、困惑しております。
どちらが正しいのか教えていただけませんか。
公務員さんの場合、70歳以上で被保険者の要件を満たす勤務の例があまりなく、現実にどうなのかを知らないので、「こうだ」とお伝えすることができません。
まず条文からみてみましょう。
------------------------------------ 条文始まり(正しい条文) ------------------------------------
第四条の三
適用事業所に使用される七十歳以上の者であつて、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定める給付の受給権を有しないもの(第十二条各号に該当する者を除く。)は、第九条の規定にかかわらず、実施機関に申し出て、被保険者となることができる。
2 前項の申出をした者は、その申出が受理されたときは、その日に、被保険者の資格を取得する。
3 前項に規定する者が、初めて納付すべき保険料を滞納し、第八十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないときは、第一項の規定による被保険者とならなかつたものとみなす。ただし、第七項ただし書に規定する事業主の同意がある場合は、この限りでない。
4 第一項の規定による被保険者は、いつでも、実施機関に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
5 第一項の規定による被保険者は、第十四条第一号、第二号若しくは第四号又は次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(その事実があつた日に更に被保険者の資格を取得したときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 第八条第一項の認可があつたとき。
二 第一項に規定する政令で定める給付の受給権を取得したとき。
三 前項の申出が受理されたとき。
6 第一項の規定による被保険者は、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、第八十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないとき(次項ただし書に規定する事業主の同意があるときを除く。)は、前項の規定にかかわらず、第八十三条第一項に規定する当該保険料の納期限の属する月の前月の末日に、被保険者の資格を喪失する。
7 第一項の規定による被保険者は、第八十二条第一項及び第二項の規定にかかわらず、保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うものとし、その者については、第八十四条の規定は、適用しない。ただし、その者の事業主が、当該保険料の半額を負担し、かつ、その被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意をしたときは、この限りでない。
8 事業主は、第一項の規定による被保険者の同意を得て、将来に向かつて前項ただし書に規定する同意を撤回することができる。
9 第一項から第六項までに規定するもののほか、第一項の規定による被保険者の資格の取得及び喪失に関し必要な事項は、政令で定める。
10 第二号厚生年金被保険者又は第三号厚生年金被保険者に係る事業主については、第三項及び第六項から第八項までの規定は、適用しない。
------------------------------------ 条文終わり(正しい条文) ------------------------------------
これについて、3項、6項、7項、8項の全部を削除してみます。
------------------------------------ 条文始まり(削除を入れた条文1) ------------------------------------
第四条の三
適用事業所に使用される七十歳以上の者であつて、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定める給付の受給権を有しないもの(第十二条各号に該当する者を除く。)は、第九条の規定にかかわらず、実施機関に申し出て、被保険者となることができる。
2 前項の申出をした者は、その申出が受理されたときは、その日に、被保険者の資格を取得する。
3 (全文削除)
4 第一項の規定による被保険者は、いつでも、実施機関に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
5 第一項の規定による被保険者は、第十四条第一号、第二号若しくは第四号又は次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(その事実があつた日に更に被保険者の資格を取得したときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 第八条第一項の認可があつたとき。
二 第一項に規定する政令で定める給付の受給権を取得したとき。
三 前項の申出が受理されたとき。
6 (全文削除)
7 (全文削除)
8 (全文削除)
9 第一項から第六項までに規定するもののほか、第一項の規定による被保険者の資格の取得及び喪失に関し必要な事項は、政令で定める。
------------------------------------ 条文終わり(削除を入れた条文1) ------------------------------------
これでも筋は通ります。この場合、公務員さんは必ず事業主の半額負担があり、保険料の徴収・納付は、原則通り82条1項及び2項の規定に従います。
次に、10項を「事業主」についてのみ適用し、適用した部分(3項ただし書き、6項かっこ書き、7項ただし書き、8項全文)を削除してみます。
------------------------------------ 条文始まり(削除を入れた条文2) ------------------------------------
第四条の三
適用事業所に使用される七十歳以上の者であつて、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定める給付の受給権を有しないもの(第十二条各号に該当する者を除く。)は、第九条の規定にかかわらず、実施機関に申し出て、被保険者となることができる。
2 前項の申出をした者は、その申出が受理されたときは、その日に、被保険者の資格を取得する。
3 前項に規定する者が、初めて納付すべき保険料を滞納し、第八十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないときは、第一項の規定による被保険者とならなかつたものとみなす。
4 第一項の規定による被保険者は、いつでも、実施機関に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
5 第一項の規定による被保険者は、第十四条第一号、第二号若しくは第四号又は次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(その事実があつた日に更に被保険者の資格を取得したときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 第八条第一項の認可があつたとき。
二 第一項に規定する政令で定める給付の受給権を取得したとき。
三 前項の申出が受理されたとき。
6 第一項の規定による被保険者は、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、第八十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないときは、前項の規定にかかわらず、第八十三条第一項に規定する当該保険料の納期限の属する月の前月の末日に、被保険者の資格を喪失する。
7 第一項の規定による被保険者は、第八十二条第一項及び第二項の規定にかかわらず、保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うものとし、その者については、第八十四条の規定は、適用しない。
8 (全文削除)
9 第一項から第六項までに規定するもののほか、第一項の規定による被保険者の資格の取得及び喪失に関し必要な事項は、政令で定める。
------------------------------------ 条文終わり(削除を入れた条文2) ------------------------------------
これでも論理的にきれいに筋が通ります。
この場合、公務員さんは事業主の同意の規定がなく、被保険者全額負担しかない、となります。
どちらでも筋は通りますし、先に書いたように断言できないのですが、この法附則4条の3全体が「被保険者」と「事業主」という書き方になっていて、かつ10項が「事業主については」と言っていることから、(削除を入れた条文2)のように読むのだと考えた方が良さそうです。
ただ、今後出題がある場合も条文のままに訊いてくる可能性の高い部分なので、H29_1Dのような設問に解答できれば、受験対策としてはそれでいいのではないかと思います。
参考になった:1人
poo_zzzzz 2019-05-10 15:45:38
御回答いただき誠にありがとうございました。
>ただ、今後出題がある場合も条文のままに訊いてくる可能性
>の高い部分なので、H29_1Dのような設問に解答できれば、
>受験対策としてはそれでいいのではないかと思います。
承知いたしました。
>どちらでも筋は通りますし、先に書いたように断言できない
>のですが、この法附則4条の3全体が「被保険者」と「事業
>主」という書き方になっていて、かつ10項が「事業主につい
>ては」と言っていることから、(削除を入れた条文2)のよ
>うに読むのだと考えた方が良さそうです。
つまり、山川先生の解釈ではなく、某スクールの解釈のほうが良さそうだということでしょうか。
制度(運用)があって、それに従っての法律の条文規定ではないのでしょうか。どちらとも筋が通るという曖昧な御回答には不安を感じます。
ありがとうございました。
taruuuu 2019-05-10 21:26:24
曖昧な回答はしていませんよ。
「適用しない」のが、「項全体」なのか「項の中の事業主に関する規定」なのか、という2つの考え方があって、どちらが正しいのか?がお尋ねのテーマですね?
このため、まず、2つの考え方に沿って条文を書き直してみました。
どちらかの考え方に沿って書き直した結果の法附則4条の3の内容が条文として筋が通らないなら、それをもって「こちらがおかしい」という根拠になりますから、結果が筋の通った条文になるのかならないのかを確かめるために、2つ並べて書いたのです。
しかし結果はそのような構文上の問題はありませんでした。
このため、書き直した結果は、どちらであっても筋の通った解釈ができると書いています。
しかしこれは、書き直した結果がそれぞれに筋が通った条文になるといっているだけで、「2つの考え方のどちらが正しいのか?」には触れていません。
その上で、私は「この法附則4条の3全体が「被保険者」と「事業主」という書き方になっていて、かつ10項が「事業主については」と言っていることから、(削除を入れた条文2)のように読むのだと考えた方が良さそうです。」と書いて、条文全体の書き方と、10項の内容から、私の考えを述べています。
ただ、私は20年開業していますが、高齢任意加入については、第1号厚生年金被保険者であっても、適用例を扱ったことはなく、みたこともありません。
高齢任意加入を実務で扱うことは少ないのです。
ですので、「実際の適用はどうなのか」ということは、年金機構や、共済のホームページやパンフレットから知ることになるのですが、第2号、第3号厚生年金被保険者についての、実際の適用についての情報を見たことがありません。
公務員についての再雇用は、常勤については65歳未満の場合がほとんどで、70歳以上で被保険者の条件を満たす方は少なく、さらに70歳以上で被保険者の条件を満たす公務員である方が「10年の受給資格期間を持っていない」の要件を満たすとなると、これは非常に限られます。
このため、ホームページやパンフレットでの記載が無いのだと思います。
このように現実の扱いについての情報がないため、「現実にどうなのかを知らないので、「こうだ」とお伝えすることができません」「断言できない」と言っているだけで、私の考えとしてどちらが正しいのかは明確に書いています。
なお、「制度(運用)があって、それに従っての法律の条文規定ではないのでしょうか。」と書かれていますが、そうとばかりは言えません。
もともと共済の加入年齢には原則的な上限がなく、公務員さんは70歳以上でも原則的に共済組合の組合員です。
一元化の前は70歳以上でも共済では長期年金の適用があり、掛金は労使折半だったのです.
このため、平成27年までは、共済においては「70歳以上の長期年金制度任意加入」なんか考える必要もなかったのです。
一元化によって共済の長期年金部分が切り離されて厚生年金保険になり、公務員さんは厚生年金保険の被保険者になったのですが、70歳以上の組合員は厚生年金保険の被保険者になりませんでした。
それまで年齢に関係なく長期年金制度の適用があった共済の組合員について、一元化によって70歳以上の組合員が長期年金制度の適用(厚生年金保険の被保険者)から外れ、かつ、厚生年金保険には高齢任意加入の制度が昔からあったのです。
この時点で、厚生年金保険法が第2号・第3号厚生年金保険被保険者の高齢任意加入をどのように扱うのかを、「決めざるを得ない状況」になりました。
「現にある法制度に、従来にはなかった対象者が生じた」のですからね。
その新しい対象者の中に「実際に高齢任意加入の該当者が存在するのかどうか、さらには希望する者があるのかどうか」といった運用面がどうであっても、受け皿となる法に規定があり、適用される可能性もある以上、どのように扱うかを決め、必要であればなんらかの法改正をしなければなりません。
このため、法附則4条の3は受け皿として整備をする必要があるから整備が検討され、検討の結果改正されて10項が新たに置かれた条文であって、これは、運用面の必要性から行われた改正ではないように思います。
法整備を検討した結果、何も改正しなかった、も、ありだったのかも知れません。
一般企業における高齢任意加入の保険料は、原則が被保険者全額負担で、事業主が「うん、よし、半額負担してやろう」といえば例外的に労使折半になる制度ですが、それをそのまま公務員さんにも適用することも考えられなくはありません。
しかし、公務員共済は、使用者が国又は地方公共団体であり、例えば国家公務員であれば、各省庁ごとに制度の扱いが違うということは考えにくいような気がします。このため、制度を原則か例外か、どちらかに統一する必要があったのだと思います。
その場合、一元化前の公務員共済の組合員が、年齢に関係なく長期年金制度の適用があり、掛金が労使折半であったことを考えれば、全員労使折半に統一してもおかしくないのかも知れません。
しかし、70歳を過ぎて老齢厚生年金の受給資格が無いのですから、その原因がその者の公務員時代にあるとは考えにくく、その者の今の状況の原因は他にあると考えるのが普通ですから、その場合に労使折半で、税金を原資にして使用者に負担が生じることには疑問があります。
また、制度の原則が全額被保険者負担なのですから、公務員だから原則に合わせた、としても筋は通るような気がしますし、そもそも一元化は公務員さんからみれは給付の低下を伴う改正でしたからね。
先にも書いたように10項の構文は全額被保険者負担のように読めるのですが、そうなったことの流れと理由をあえて考えてみれは、こういうことではなかったかと思います。
繰り返しますが、
① 一元化前の共済は長期年金にも年齢制限がなく、掛金は労使折半だった。
② このため、厚生年金保険の高齢任意加入に相当する制度がなかった
③ 一元化で共済の長期年金部分がなくなり、厚生年金保険が受け持つことになった
④ このため、70歳以上の組合員の厚生年金保険高齢任意加入の扱いを決める必要が生じた
⑤ ②に書いたように一元化前は制度がなかったため「今まではこうだった」という現在の運用からの検討は必要ない
このような経緯で、制度の受け皿として必要性があるから高齢任意加入制度の整備が検討され、使用者が国や地方公共団体であるから適用の統一が図られ、その結果、現在の法附則42条の3第10項があるように思うので、この部分は、まず法改正ありき、な部分であると思うのです。
参考になった:2人
poo_zzzzz 2019-05-11 10:28:29