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厚生年金保険法/基準障害等について
amamy 2019-05-26 20:49:00
よろしくお願いします。
基準障害にあたるパターンとして、講義の内容から
・(先発)軽度な障害+(後発)軽度な障害
・(先発)1・2級該当レベルだけれども保険料納付要件を満たせず受給権発生に至らなかった障害+(後発)軽度な障害
の2つがあると理解しました。
けれども、条文を読むと後発の障害は軽度に限られていないように思えてしまいます。
「基準障害と他の障害とを併合して1・2級該当」は「併合しなければ該当しない」と読む、ということでしょうか?
また、後発が軽度に限られているとすると、1・2級該当者がすでに軽度の障害をお持ちであった場合、そのすでにあった障害は障害認定において考慮されますでしょうか?
以上の疑問は、
会社員時代に障害厚生年金3級に該当し、その後自営業者となって別の傷病により障害基礎年金1・2級に該当した場合について考えていて生じました。
この1・2級の障害認定において、すでにある3級レベルの障害はどう扱われるのかしら、と。
障害厚生年金は3級ですから障害基礎年金と併合されず、3級のままと考えます。
一方で、障害基礎年金はそれのみで2級該当レベルだとして、その認定において、すでに3級状態であることが考慮されないとすると、後発が軽度で基準障害となり、3級状態と併合して2級となった場合と均衡が取れないように思えるのです。
(例えば後発が、3級状態と併合できれば1級になるような2級である場合を想定)
なんだか整合性が取れないなぁ、と感じていますので、どこかで考え間違いをしているのだろうと思います。
ご指摘いただけるとありがたいです。
考え違いというか、これはおそらく説明されないと分かりません。
国民年金法30条の3第1項には「初めて、基準傷病による障害(以下この条において「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき」とあり、厚生年金保険法47条の3第1項には「初めて、基準傷病による障害(以下この条において「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級の一級又は二級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき」とあります。
この「初めて」を、「障害を併合してやっと」とか「障害を併合してようやく」と言う意味に考えるとおっしゃるような疑問が生じます。
しかし、この「初めて」の意味はそうではなく、単に時の流れの中で「初めて」という意味に解します。
ですから、後発障害が単独で1級又は2球に該当していても構いません。
例えば2級に満たない程度の障害の状態にある者が、平成31年10月に負傷し、同月に初診日があって令和元年5月に治って後発単独で2級の障害の状態になり、前後の障害を併合すると1級である場合に、この者が令和元年8月に裁定請求したとすると、令和元年6月から8月までは後発障害のみの2級の年金が支給され、令和元年9月から基準障害による併合認定の1級の年金が支給されます。
受験勉強中は、併合認定、基準障害による併合認定、その他障害による併合改定などの規定を、障害の年金の「級」の問題として考えてしまいますよね。
もちろん級は重要な要素ですが、これらの規定の本質は「受給権をどのように扱うのか?」なのです。
級の問題は、どちらかというと副次的なテーマに過ぎません。
新法になって、厚生年金保険の3級だけは例外的な扱いですが、例えばすでに1、2級(になったことがある)の受給権を持っていれば、別の障害が起きた時に、後発単独で1、2級なら、併合後の級が上がっても上がらなくても併合認定です。これは受給権を1つにする必要があるからです。
この場合に、後発単独で1、2級でなく、かつ障害等級が上がるならその他障害による併合改定です。これは受給権がすでにあるからですね。
すでに1、2級(になったことがある)の受給権を持っていなければ、別の障害が起きた時に併合して1、2級になるなら、後発単独で1、2級であってもなくても、基準障害による併合認定です。これはその時点まで受給権が無いため、受給権を新たに発生させる必要があるからです。
もし、後発単独で1、2級の場合は、本来の障害の年金(後発障害)の受給権と、基準障害による併合認定の受給権が共に発生しますが、この場合は年金額については先に書いたような支給方法が採られ、後発障害の本来の年金の受給権は、併合認定の規定により消滅します。
追記
平成20年の厚年1Dで、「障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から障害等級の1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)に、65歳に達する日以後に更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給される。」という問題が出て誤でした。
上の考え方だと正ですよね。
これは、併合認定だけを意識して作問し、基準障害による併合認定を考えなかったグレーな肢だと私は思います。
翌年の平成21年9Aで「その権利を取得した当時から障害等級3級に該当する程度の障害により障害厚生年金を受給している者に対してさらに障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給するが、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。」という問題が出ていて、なんだか私にはこの問題が「ごめんね、去年も訊きたかったのは併合認定だったんだよ」と、言っているように見えます。
追記2
思い出しましたが、4年ほど前に、他の方で同じような質問に答えています。
http://sr-jiten.net/bbs/bbs_each.php?rcdId=4307
書いている内容はだいたい同じですから見なくて良いですが、ここに私は「上記の実務上の取扱については、もう10年も前になりますが、2か所の社会保険事務所(現 年金事務所)で確かめてあります」と書いています。
参考になった:3人
poo_zzzzz 2019-05-26 22:47:21
poo_zzzzz先生
早速のお返事をありがとうございました。
「初めて」はこれまで1・2級該当でなかったことを示しているのですね。
後発障害が単独で1・2級でも構わないとのこと、やはり、、という感じで納得いたしました。
具体例を挙げて実際の支給についても触れてくださっていて、よくわかりました。
ありがとうございます。
受給権に着目すべきとのお話は、おおむね頷きながら読み進められたのですが、一点「すでに1、2級(になったことがある)の受給権を持っていなければ、別の障害が起きた時に併合して1、2級になるなら、後発単独で1、2級であってもなくても、基準障害による併合認定です。」に戸惑いました。
受給権と受給権を併合して一本化するのが併合認定だと思っていましたから。
そうではなく、新たな受給権を認定することになる点がポイントなのですね。
追記2で示してくださっていた過去のご説明の中でも解説されていたので理解できました。
(投稿前に検索はかけたのですが「基準障害」などでしてしまったためヒットしませんでした、すみません)
追記の過去問についてなのですが、平成20年の厚年1Dは私は誤かと思いました。
ものすごく単純に、「65歳に達する日以後に」がダメなのかと、、、いかがでしょうか?
amamy 2019-05-27 00:15:38
そうですねぇ、もう何年か忘れたのですが基準障害による年金の支給を「併合認定」として出題した年がありました。
法30条の3第1項にも「その者に基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する」とあり、この場合、「他の障害」に受給権はないことが明らかですから、この「併合」は受給権の併合ではなく、障害の併合です。「認定」されるのは、障害の併合による「新たな受給権」です。
平成20年の問題は・・・そうですねぇ!
手元にある問題集の解説が全て従前の障害の受給権をテーマに解説していたので、つい引っかかってしまいました。お恥ずかしい限りです。
参考になった:2人
poo_zzzzz 2019-05-27 01:31:11
poo_zzzzz先生
お返事をありがとうございます。
基準障害の条文に「併合」とあるのには、私も「併合?」となったのですが、うやむやにしてしまっていました。
なるほど障害の併合ですよね、たしかに。
障害を併合して受給権を認定、で納得です。
過去問についてはトンチンカンかもと思っていたので安堵しました。
持てる武器が多くなると、いろいろな攻め方を思いつきますものね。
私としては、早くその域に近づきたいものです。
ありがとうございました。
amamy 2019-05-27 01:59:32