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厚生年金保険法/支給開始年齢を問う問題
1121 2019-06-06 06:15:00
お世話になっております。
よろしくお願い致します。
平成24年7問目の老齢厚生年金の過去問にて、厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」につき、一般の男子及び女子の支給開始年齢の読み替えに関しての問題で、報酬比例部分の支給開始年齢に関する問題がありますが、
問題文には報酬比例部分の支給開始年齢はいつか、とは聞いてはいませんが、このような問題が出たら、「定額部分の支給開始年齢はいつか」という区別は、解答の選択肢から読み取るということでしょうか。
基礎年金部分とミックスで問われた時にどのような設問になるのかと疑問に思いました。
1121さん
問題分のリード文にある「厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」」は、
「報酬比例部分のみの」60歳台前半の老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げを規定しているものです。
もっとも、このリード文だけだと条文番号や「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」が何を意味するのか知っておく必要があります。
したがって、解答の選択肢というよりも、このリード文を前提として各設問肢の生年月日もあわせた全体で読み取るといった方が妥当だと思います。
ただ、今では過去問になっていますし、実社会でもこの年齢になっている方がいますので、
「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」という言葉でこのことを指すことは知っておいて欲しいとは思います。
よって、前提条件としてどこにも定額部分の話は出てきませんので、この問題に関して言うと考える余地はないというわけです。
ただ、まさにこの当時私が合格した年度の問題ですが、受験生的には昭和24年以後・昭和29年以後という年号だけで、定額部分は原則支給されないものだと即断できるレベルで問題は解けますね。
したがって、その年号しかないのに定額部分のことを考えてしまうのは、申し訳ないですが、考え過ぎというよりも、基本的なことを固めていないかまたは読み取れていない気がします。
ちなみに、60歳台前半の老齢厚生年金の「定額部分の」支給開始年齢の引き上げを規定しているのは、「平6法附則18条~20条」です。
ですので、もしもこれが問われるのであれば、この根拠とする条文番号を明示するはずですし、報酬比例部分の支給開始年齢と同時に問うのであれば並列させるはずです。
ただし、平成31年4月時点で、定額部分の支給開始年齢が64歳とされる一番遅い生年月日の者は、
⇒昭和24年4月1日生まれの男子(一定の女子)は、既に70歳
⇒昭和29年4月1日生まれの女子(1号)は、既に65歳。
したがって、現時点でこのスケジュールにある者は、既に65歳以上の老齢厚生年金の支給を受けています。
よって、設問で問われる可能性は完全に0とはいえませんが、今後、定額部分の支給開始年齢は試験対策的には重要度を大幅に下げていいと思います(最後に出題されたのは平成29年。まだこの時は女子に対象者がいた)。
ちなみに、坑内員及び船員に係る老齢厚生年金の支給開始年齢の特例(法附則8の2第3項、平6 法附則15 条)については、現在も定額部分を含めた支給開始年齢が引上げ中ですが、
規定の性格上、数年に1度問われるレベルでしょうね。
また、報酬比例部分が支給されている受給権者に対して、長期加入者特例や障害者特例の仕組みにより定額部分も支給されることがありますが、これは、あくまでも、報酬比例部分が支給されていることが前提ですので、支給開始年齢の引き上げとは直接関係がありません。
山川社労士予備校
三宅大樹
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yamayobimiyake 2019-06-06 11:30:45
このご質問にお答えするのは難しいです。
なぜなら、「厚生年金保険法附則第8条の2の定め」は、法附則8条に定める60歳からの報酬比例部分相当の老齢厚生年金について、支給開始年齢を61歳以降にする特例だからです。
このため「厚生年金保険法附則第8条の2に定める」とあれば、それはもう61歳以降に支給される報酬比例部分相当の老齢厚生年金です。
定額部分を考える余地はありません。
歴史の勉強をしてみましょうか。
昭和60年大改正による新法年金の老齢年金は、65歳からの年金であり、報酬比例部分を老齢厚生年金、旧法定額部分を老齢基礎年金が担う枠組みでした。
しかし、誕生日が1日違うだけで支給開始年齢が5年遅れるような法改正はできないので、法附則に経過措置を起きました。
一つは、法附則8条にある、報酬比例部分の年金を60歳から支給する特例です。
もう一つは、法附則9条の2にある、障害者である場合に法附則8条の年金について老齢厚生年金の額の計算に係る特例を適用し、定額部分の年金を支給する特例です。
そして法附則9条の3が、長期加入者について法附則9条の2に準じた扱いをしています。
法附則(本則附則)の特例は本来これだけで、ですから法附則においては、60歳からは誰でも報酬比例部分の年金が支給され、障害者ではなく、長期加入者でもない者については定額部分が支給されません。
これが、60年改正当時の、いわば「当分の間に想定される最終の形」です。
しかし、やはり生年月日の1日の違いで定額部分の年金が支給されないのはまずいので、本則附則ではなく、改正法附則に、男子60歳以上、女子55歳以上で法附則9条の2の定額部分の年金を支給する定めを置きました。
つまり昭和61年4月の新法施行当時は、男性60歳、女性55歳から報酬比例部分の年金と、定額部分の年金が支給されたのです。
つまり、支給開始年齢については旧法当時のままです。ただし、支給額の計算に用いる支給率は、生年月日に応じて漸減するようになっていました。
これは、規定が改正法附則に置かれたことからもわかるように、近いうちに変更される予定の措置でした。
そして平成6年改正の平6法附則18条以下で、定額部分の支給開始年齢を61歳~64歳に遅らせる規定を置きました。これが、いまあなたが学習しておられる定額部分の支給開始年齢の繰上げです。
つまり、これによって、先に述べた、60年改正当時の、いわば「当分の間に想定される最終の形」になる道筋ができたのです。
ここまでは、新法改正時の「当分の間の」予定通りです。
さらに年金財政の悪化を受け、平成12年改正で報酬比例部分の支給開始年齢にメスが入りました。
法附則(本則附則)に8条の2が新設され、報酬比例部分の支給開始年齢が61歳から64歳に遅らせられることになったのです。
これにより、支給開始年齢に関しては、完全に新法の本来の枠組み通りになる道筋ができたのです。
この時に法附則8条の2に付いた見出しが「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」でした。
このように説明されたら、H24厚年07について疑問はないでしょう?
でも、このような経過措置の流れを知らず、それぞれの規定が条文のどこに置かれていてどのような関係になっているのかを知らなければ、各肢に書かれている生年月日から判断するしかありません。
つまり、あなたのご質問は、「報酬比例部分の」とか「定額部分の」という断り書きがない場合にどのように判断しますか?というご質問とほぼ同じです。
経過措置の流れを知りそれぞれの規定が条文のどこに置かれていてどのような関係になっているのかを知れば、何でもない問題です。
でも、それを知らなくても、各肢の内容から判断できれば十分です。
もうお分かりでしょうが、「法附則8条」や「法附則第8条の2」とあれば報酬比例部分の年金であり、「法附則9条の2」、「法附則9条の3」や「平6法附則18条~20条」とあれば定額部分の年金ですから、「報酬比例部分の」とか「定額部分の」という断り書きをせずに報酬比例と定額を混在させて問題を作ることは難しいのです。
そうであれば、書かれている生年月日だけで正誤は判断できるでしょう?
参考になった:3人
poo_zzzzz 2019-06-06 17:43:19
ご返信ありがとうございます。
いつも丁寧な説明を頂いて理解が深まります。
各肢の内容から判断し、正誤を判断したいと思います。
ありがとうございました。
1121 2019-06-14 05:05:56