ニックネーム | *** 未ログイン ***
労働基準法/賃金(11条)と割増賃金(37条5項)の定義の違いについて
tanuki 2019-07-22 16:45:46
割増賃金 には除外規定があると思います。
その背景をざっくり説明すると背景にある考えは、労働時間が仮に2倍になっても、それゆえに通勤が2倍になるわけでないからでしょうか?
割増賃金が労基法の他の制度とかかわる概念で、かつ、もっと後の条文にそれが記載されてるということなら、特にお答えなさらなくても結構です。
> その背景をざっくり説明すると背景にある考えは、労働時間が仮に2倍になっても、それゆえに通勤が2倍になるわけでないからでしょうか?
「時間」という尺度で捉えることには無理があります。
「時間」を尺度に考えるなら、例えば労働時間に関係なく毎月固定額で支払われる役職手当は労働時間の長さに比例しません。
しかし割増賃金の基礎になりますからね。
コンメンタールによると、「家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金」は、「労働と直接的な関係が薄く個人的事情に基づいて支給されている賃金」であったり、「計算技術上毎月の賃金に反映させることが難しい賃金」という理由で、割増賃金の基礎から除かれているとされています。
時間は尺度ではないですが、あなたのお考えは、「労働との関連性」を考える点で、感覚的に合っている部分はあると思います。
しかし例えば家族手当でも、家族の数に関係なく支給される場合は割増賃金の基礎になるように、労働との直接的な関係は薄くても、労働者一人一人の事情に関係なく支払われる賃金と考えられる場合は割増賃金の基礎に入ります。
このため、単に労働との関係性が薄いというだけではなく、労働者の個人的な事情に支給不支給や額が左右されるかどうかも要素として考えます。そのようにしておかないと、本質的には基本給や役職手当である賃金の一部を、名前だけ住宅手当や家族手当にして支給するような規制逃れが生じるからです。
また、法37条5項とそれによる則21条にある賃金は、限定列挙です。
これは、受験対策として非常に大切です。
つまり、基本的な考え方は「労働と直接的な関係が薄く個人的事情に基づいて支給されている賃金」や「計算技術上毎月の賃金に反映させることが難しい賃金」を割増賃金の計算の基礎から除いていい、ということなのですが、結果的に除きうる賃金は、法令による限定列挙なのです。
限定列挙ですから、「労働と直接的な関係が薄く個人的事情に基づいて支給されている賃金」があったとしても、それが法令に列挙されていない賃金であれば、割増賃金の基礎になります。
このため、受験対策としては、法37条5項とそれによる則21条に列挙されている賃金をしっかりと覚えるしかなく、これを覚えずに「なぜそうなる?」から受験対策を考えることはできない部分です。
ただ、法令の限定列挙に名前がある賃金であっても、ある賃金がこれに該当するかどうかはその名前で判断するのではなく、その賃金の内容が、法令に限定列挙されている賃金と実質的に同じかどうかで判断します。(S22.9.13発基17号)
このため、まず、法37条5項とそれによる則21条に限定列挙された賃金をしっかり覚え、次に通勤手当、家族手当、住宅手当等について述べられている通達の趣旨を理解した上であれば、「なぜそうなる?」を考えることは、受験対策的にも無駄とは言い切れないと思います。
また、割増賃金は、賃金と別にあるのではありません。
労働基準法上の考え方としては、割増賃金も、それ自体が賃金の一部です。
最低賃金法に抵触しない限り、労働基準法上の賃金は就業規則や労働契約で任意に定めることができます。
しかし、割増賃金は賃金であってもその額を勝手に定めることができません。
労働基準法上で最低限支給しなければならない割増賃金の額が定められており、その最低額は、その者に支給される他の賃金から計算される、という関係にあります。
そして割増賃金の計算の基礎になるのは、「賃金」のうちの「通常の賃金」すべてが原則ですが、「通常の賃金」であっても家族手当等のように、法37条5項とそれによる則21条に列挙された賃金は、割増賃金の計算の基礎から除くことができます。もし、除かなければ割増賃金が高くなるため、除かなくてもかまいません。
割増賃金それ自体が賃金の一部であることに加え、法37条5項とそれによる則21条は、割増賃金の最低額の計算方法の定めに過ぎませんから、これを賃金と割増賃金の定義の違い、と考えるのは誤っています。
参考になった:1人
poo_zzzzz 2019-07-23 10:53:03
そうですね、今の段階で生じる疑問を、一つ一つ解決しようとしていては学習が前に進みません。
テキストをしっかり読み、過去問を解いて解説とテキストをきちんと復習して、半年経って振り返れば疑問はほとんど無くなっていると思います。(できれば口述講義は欲しいですが・・・)
そうやってご自身の力で順序よく身に付けた知識が、実戦で役に立つ知識です。
私自身、受験生時代は非常にイレギュラーな受験勉強をしていて、過去問を繰り返して解くことはほとんどせず、特に年が明けるまでは、学習中生じた疑問は何が何でも解決するというスタイルでした。
使用していたメインのテキストが全科目で2冊のコンパクトなものだったので、内容に不安を感じていたのかも知れません。
ネットの情報がほとんど無い時代でしたから、図書館に行ったり、受験校の講師から資料を借りたりしました。
「司法試験でも受けるのですか?」と講師に言われましたが・・・
書籍代もずいぶん使って、「これは」と思うものは無理してでも買い集めました。分冊で条文の解説もある参考書も全科目買いました。
それらの資料や書籍を使った調べごとは、無意味ではありませんでしたが、結果としては、合格とは関係なかったですね。
合格に必要な知識と考え方は、コンパクトなメインテキストと過去問にほぼ全部ありました。
過去問は、繰り返して解くのは苦手なのでほとんどしませんでしたが、テキストとの突き合わせは何度もしました。テキストは、目をつぶって指で小口を触るだけで、目的のページの前後10ページ以内が開くくらいに使い倒しました。メインテキストがコンパクトであったことは、私の強い武器になりました。
講師の口述講義から得たものも大きかったと思います。
寄り道は面白かったですし、寄り道しないと我慢できない性格だったのですが、そこで得た知識が実戦で使えるようになるのは、結局テキストと過去問による学習が進んでからだったのです。
まぁ、私も途中で気づいたのですけどね(笑)
「君の質問には受験に要らないものが多いし、そうではないものも、付箋でも付けておいたらすぐに自然に解決するものだよ」って講師にも言われました。
私もその時は「理解するためにはこういった知識も必要だから」と言い張っていましたが、知識をコレクションしたり、部分部分の理解を追うだけでは合格しない、ということには気づき始めていましたから、ちょっと学習方法を見直そうかな?と、思いました。
そうやって改めてテキストと過去問に取り組むと、それらが想像以上に「分厚い壁」であることが分かり、それから寄り道はずいぶん減りました。
まぁ、飽き性なので、気晴らしに難しい本も読んでいましたが(笑)
そして、「理解」はテキストと過去問を十分に使いこなしたら自然と得られるものだし、得られなければ、それから必要性を考えるべきものだな、と、思ったのです。
知識や理解を部分部分で追ってもあまり意味が無いのです。その法令の学習を終え、全体的な構造が「感覚的に」解るようになれば自然と理解は深まりますし、そこで足りなければ、より細かな知識を得て、理解を深めるのがよいと思います。
あわてず、焦らず、今は目の前の「分厚い壁」に挑戦してみてください。
参考になった:3人
poo_zzzzz 2019-07-31 14:42:41