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書かれていることはほぼ合っているのですが・・・

最後が違います。

お尋ねの通達は「使用者であり、労働者であるもの」のことを言っているのではありません。

また、労働者としての賃金と使用者としての賃金を切り分けようとしているのでもありません。

例えば、株式会社の課長や部長が、使用者の立場で部下に指揮命令している最中に負傷したとしても、事業主である株式会社との関係で言えば労働契約関係に基づく使用従属関係があり、単に労働者ですから、労災保険が適用されます。

その場合、その者の賃金は、100%給付基礎日額の基礎になります。



つまり、問題になるのは、事業主との関係です。

法人の場合、事業主は法人そのものですから、代表権を持つ社長ですら、法人との間は契約関係にあります。

しかし、この契約関係は、使用従属関係である労働契約の関係ではありません。

会社の業務を取り締まるという行為を「お任せします」という委任契約関係です。

法人の役員(取締役や理事等)が労災保険の保護対象にならないのは、法人との関係が労働契約関係ではなく、委任契約関係にあるからです。

なお、現代流に言えば取締役や理事等ですが、通達が「重役」になっているのは、通達が出た時代が古いからです。

しかし、例えば株式会社である法人の取締役になった者であっても、法人の業務に対する業務執行権を有さず、単に取締役や理事会の議決に参加するメンバーであるだけである場合に、その者が工場長や営業部長としての業務を兼務する場合は、業務執行権が無いのですから、工場長や営業部長の業務は管理職である労働者としての業務であり、例えば専務や社長の指揮命令を受けているはずです。

この場合、この者は、工場長や営業部長としての業務において、労災保険や雇用保険の適用を受けます。

つまりこの者と法人との契約関係は、委任契約関係と労働契約関係の二重の関係であり、そのうちの労働契約関係においてのみ、労災保険や雇用保険の適用を受けるのです。

二重の契約関係ですから、本来ならばそれぞれの報酬は別なはずです。

例えば役員報酬20万円、基本給60万円、のようにね。

この場合、役員報酬は給付基礎日額の算定対象になりません。

このあたりの区別が曖昧な会社もあり、また、役員登記をしているが役員報酬が0という例(つまり会社の定款を満たすためだけの役員)もあるので、実務では言った者勝ちみたいな部分がありますが、それにしても、兼務役員であるなら、賃金台帳や出勤簿、有給休暇の扱い等は明確にしておかないと、いざというときに労働者性を否認されかねません。

また、法人との契約の形式はどうであれ、監督署の調査(あるかないかは別にして)で、業務執行権があるとみなされれば労働者性を否認される場合があります。

雇用保険の場合はあらかじめ「兼務役員届」を出すルールになっているので、このあたりはあらかじめクリアになります。

参考になった:4

poo_zzzzz 2016-11-16 03:20:10

さっそくの返信、ありがとうございます。

>例えば、株式会社の課長や部長が、使用者の立場で部下に指揮命令している最中に負傷したとしても、
>事業主である株式会社との関係で言えば労働契約関係に基づく使用従属関係があり、単に労働者ですから、労災保険が適用されます。

>法人の役員(取締役や理事等)が労災保険の保護対象にならないのは、法人との関係が労働契約関係ではなく、委任契約関係にあるからです。

>つまりこの者と法人との契約関係は、委任契約関係と労働契約関係の二重の関係であり、
>そのうちの労働契約関係においてのみ、労災保険や雇用保険の適用を受けるのです。

災害補償の条文や労災法3条の「労働者」という言葉に拘って、「使用者性-労働者性の関係」で頭の中がグルグルしていましたが、
労働者の本来の定義である「労働契約関係に基づく使用従属関係の有無」でシンプルに考えることが出来るというご指摘で、
だいぶスッキリしました。

労基法に限らず、社労士試験の主要科目にあたる法律は、こうした労働契約の類を軒並み「実態判断」で処理すること、
昭23通達のような者は「その限りにおいて」労働者として扱われるので、
設問のような行政解釈の必要があったり、ひいては社労士志望者に問うべき論点として試験に出題される余地が出てくるということですね。

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towalion  2016-11-16 07:48:23

そうですね、保険関係の適用や保険料の賦課において、実態での判断はよく出てきます。

例えば正社員である建設工事の作業員の賃金を、事務所の労働保険の労災保険関係の賃金総額に算入する場合、その全額は算入しません。

これは建設現場で働く間は、有期事業である工事現場の労働保険の労災保険関係の適用になるからです。

そうすると、事務所の労働保険の労災保険関係ではどのようにするかというと、例えば建設工事の作業員の賃金については、その8分の1とか、6分の1とかを賃金総額に算入するのです。

これ、どの程度を算入するかは、実態に合わせた事業主の匙加減です。

例えば、現場作業員が毎日1時間程度、事務所で重機の格納や日報の作成等をするなら8分の1でしょうし、それよりも多いなら6分の1とかね。

常識の範囲内であれば、そういった実態の判断で行政から指摘を受けることはほとんどありません。

今回疑問に思われたような箇所も、それに近いものがあり、事業主と労働者間で争いがあって労働者が行政に申し出た場合や、行政が疑義を持って調査した場合は、証拠をそろえ、他の関係者への聞き取り等で判断することになりますが、それがない限り、賃金台帳に「役員報酬20万円、基本給60万円」と書いてあれば、役員としての報酬と労働者としての賃金の割り振りに関しては、それで通ってしまうことが多いのです。

受験対策としては、「どのように判断するのだろう?」の部分は、「労働者としての業務の部分のみを労働保険の対象とする」でよく、その判断は「実態による」ということになり、それ以上の具体的な内容を考えることは、少なくとも受験対策としては、あまり意味が無いように思います。

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参考になった:2

poo_zzzzz 2016-11-16 09:12:19



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