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労働基準法/年少者の深夜業
m1208 2020-01-19 10:44:23
非常災害時における臨時の必要がある場合についてのみ、行政官庁の許可を受けて、時間外労働・休日労働と合わせ深夜業をさせることができる。ただし、公務のために臨時の必要がある官公署の事業に従事する年少者である公務員は、深夜業が認められない(労働基準法33条3項)。→この条文は一般の労働者は深夜業が認められるが、公務員は認められない、という意味でしょうか?
ご覧になっているテキスト等にどのように書いてあるのか解りませんが、根拠となる条文が不適切です。
お尋ねの部分は、法61条と法33条の関連性の問題です。
(1) 法61条1項から3項が、年少者の深夜業を禁止又は制限している
(2) 法61条4項が、法33条1項の規定によって労働時間を延長し又は休日に労働させる場合は、(1)の規定を適用しないと言っている
(3) このため、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要があるときに行政官庁の許可を受けた場合等は、年少者も深夜業を制限されない
(4) 上記(2)の規定は、法33条3項には言及していない(上記(2)の規定は法33条3項に適用されない)
(5) このため、公務のために臨時の必要がある場合においても、年少者の深夜業は制限される
以上のようなロジックです。
まず最初に、公務員の場合、使用される官庁及び職種により、労働基準法の規定の全部又は一部が適用されない場合があることは理解しておいてください。
テキストに必ず載っているはずです。
また、法33条3項の規定があるからといって、公務員に法33条1項を適用しない、と言っているのではないですよ。
労働基準法が適用される者であれば、公務員でも法33条1項の「災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要があるときに行政官庁の許可を受けた場合」は適用されます。
(他の法令で適用が除外される場合を除く)
実務的な適用があるのかどうかは知りませんが、その場合は年少者であっても深夜業は制限されません。
しかし公務員の場合は、法33条3項によって、「災害その他避けることのできない事由」がなくても、「公務のために臨時の必要がある」のであれば、時間外・休日労働ができます。
これは、一般労働者の場合に、法36条によって、「災害その他避けることのできない事由」がなくても、「36協定を締結して行政官庁に届出」していれば、時間外・休日労働ができるのと同じです。
「公務のために臨時の必要がある」ときに、「法33条1項の行政官庁の許可を受けずに」時間外休日労働を行う場合に、年少者の公務員の深夜業が制限されます。
労働基準法の考え方は、
(a) 災害の場合で許可を受けないと時間外・休日労働させないよ
(b) 公務で必要なら、災害の場合でなくても時間外・休日労働していいよ
(c) 災害の場合でなくても、公務で必要でなくても、36協定を締結して行政官庁に提出すれば時間外・休日労働していいよ
という考え方です。
こういう流れなので、公務で必要な場合の条文が法33条にあり、解りにくくなっています。
このため法33条1項の「災害その他避けることのできない事由」と法33条3項の「公務のために臨時の必要がある」を、前者が一般労働者に対する規定であり、後者が公務員に対する規定と考えてしまうのも無理がないのですが、そのように、「公務員ではない労働者」と「公務員」の対比で考えると混乱します。
前者は(公務員を含めた)全労働者に対する規定であり、後者は公務の必要がある場合に、災害に関係なく公務員に適用される規定と考えてください。
法33条3項の公務の場合は、受験対策上は、法33条1項から切り離して、あえて言うなら法36条の例外として理解した方が解りやすいはずです。
以下にコンメンタール(厚生労働省労働基準局編)からの抜粋を載せておきます。
【公務のために臨時の必要がある】(法33条3項)
「公務」という概念は漠然としているが、国又は地方公共団体の事務のすべてをいうものと解される。公務のため臨時の必要があるか否かの認定については、一応使用者たる当該行政官庁に委ねられており、広く公務のための臨時の必要を含むものであって、したがってまた、官公署の事業(別表第1に掲げる事業を除く。)においては、時間外労働又は休日労働は、一般に本条第3項の規定により、第36条第1項の規定による協定は不必要ということとなる。
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poo_zzzzz 2020-01-19 18:27:04