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健康保険/保険給付の特例
kikushu 2020-03-21 14:48:54
お世話になっております。
健康保険法の過去問 平成30年10-A、平成26年2-Cにおける法人の役員における保険給付特例について質問です。
共に被保険者数が5人未満の法人で従業員と同一の業務における業務災害に起因する疾病・負傷・死亡に関して保険給付される事が
正解の問題ですが、この場合、当該役員はそもそも当然被保険者なのか、又被保険者でないが設問の状況の場合のみ特例で保険適用
するのか良く解りません。(保険料の支払いが課されるのかどうか含め)
御教授お願いいたします。
又、被保険者が5人以上の法人の役員が上記の様な従業員と同一の業務災害を受けた場合は健康保険は適用されず労災保険の適用も
されないとの理解で正しいでしょうか。
以上の2点のついてよろしくお願い致します。
私は多くの方の質問に対して同じことを書いています。
それは、
(1) 疑問が起きたら、ご自身の知識に誤りや偏りなどの問題があると疑うこと。
(2) ご自身の知識に問題があるという前提で、テキストを「広く丁寧に」読み直し、口述講義を聴き直すこと。
です。
多くのテキストには、前書きの次の1ページ目に載っていると思いますが、健康保険法1条にある健康保険法の目的には、なんて書いてありますか?
そして、これもテキストの早い段階で出てきますが、法3条3項の適用事業所の「条文」や、法3条1項の(当然)被保険者の「解説」には何て書いてありますか?
それらをご覧になっても、今回の疑問は解決しないかもしれません。
しかし質問の内容は大きく変わるはずです。
それらの箇所と、今回疑問を持たれた箇所を、しっかり読み、口述講義を聴いてから、お手数ですが質問しなおしてください。
参考になった:1人
poo_zzzzz 2020-03-21 16:38:58
返信ありがとう御座います。
平成30年10-A、平成26年2-C について、改めて論点となる条文を確認しました。
法1条:この法律は労働者・その被扶養者の業務災害以外に対する保険給付。
⇒設問の事故では本来は健康保険の給付は行わない。
法3条-3:法人の事業所で常時従業員を使用するものは健康保険の適用事業所。
法3条-1:当然被保険者とは適用事業所に使用されるもの。
⇒設問の役員は当然被保険者。*個人事業主は当然被保険者ではない事と混同していた。
法53条-2:被保険者が法人の役員の場合、役員としての業務に起因する事故にたいして保険給付は行わない。
⇒ただし書きとして設問の論点である被保険者数5人未満で従業員と同じ業務を行う場合は特例として健康保険の保険給付を行う。
山川先生の講義にて法53条-2について述べられている事確認し拝聴致しました。
以下の内容として上記設問の論点を理解を致しましたが正しいでしょうか?
本来であれば法人の代表である役員の業務災害に対しては労災保険に特別加入しなければ保険適用がされないが被保険者数5人未満
である零細企業の役員の場合は保険料負担が大きい為、特例として当然被保険者である健康保険の保険適用をする。
又、被保険者5人以上の事業の役員において、業務災害が発生した場合には健康保険の保険適用はせず、労災保険に特別加入している場合
は労災保険が適用される。
宜しくご返信お願い致します。
kikushu 2020-03-22 00:25:29
そうですね、内容として正しいです。
ただ、例えば適用事業所を定めているのは「法第3条第3項」であり、法人の役員の特例を定めているのは「法第53条の2」です。
「法3条-3」「法53条-2」と同じように書かれていますが、前者は「条」の中の「項」であり、後者は「条」そのものですので意味が違います。
私はテキストや講義に触れていないので分からないのですが、「本来であれば・・・」以下の部分は口述講義ですか?
シンプルで分かりやすい説明だと思います。
報酬を受けていない場合等の一部の例外を除き、法人役員は昔から強制適用ですが、業務中の事故の負傷の場合等で健康保険の給付を求め、拒否される案件が過去にいくつもありました。
労働者には労災保険からの給付がありますが、法人役員の場合は特別加入しない限り労災保険からの給付はないため、健康保険が給付しないのであれば医療保険は無保険になります。
この流れは平成10年くらいから風向きが変わり、社会保険審査会で給付が認められる案件が出始めました。
理由は、健康保険法1条が業務外に限定しているのは労災保険の存在を前提としており、しかし労災保険は法人役員を原則給付対象としておらず、かつ、労災保険の特別加入が強制ではない以上、零細事業の役員には何らかの配慮がなされるべきだというものでした。
これを受け、最初は法改正ではなく通達で、5人未満の法人役員に対する業務上保険事故の給付を認めるようになり、平成25年の法改正で今の形になりました。
法改正の趣旨は下記のQ&Aで分かると思います。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb9650&dataType=1&pageNo=1
今後も疑問を持ったら、テキストを、広い範囲で、丁寧に読み返し、口述講義を聴き直してください。
脆弱な基礎の上に高い建物は建ちません。疑問は、基礎的な事項(用語の定義を含む)が十分に理解できていないことから起きることが多いのです。
参考になった:1人
poo_zzzzz 2020-03-22 02:26:13
返信ありがとう御座います。
前文の「本来であれば・・」以降の説明は山川先生の講義ビデオにて述べられていた内容です。非常にわかりやすかったです。
教えて頂いたURLも確認致し、内容理解致しました。
後1つ疑問が出て来ました。
中小企業に当てはまらない大企業の役員は労災の特別加入制度が無いと理解しておりますが、その役員が業務災害の事故に会った場合は
無保険との理解で良いですか?
重ねて申し訳ありませんがよろしく返信お願い致します。
kikushu 2020-03-22 06:15:11
先の回答に書いたように、労災保険の特別加入がなく、健康保険が給付しないのであれば、業務災害の医療保険は、社会保険では無保険になります。
制度上特別加入ができない場合も同じです。
この場合、民間の保険会社の、役員等のための保険に加入することで医療保険はカバーできます。
紹介したURLの問2の回答に「今回の改正においては、原則として労災保険からの給付が受けられない場合は健康保険の給付を受けられることとした。ただし、法人の役員の業務上の負傷については、使用者側の責めに帰すべきものであるため、労使折半の健康保険から保険給付を行うことは適当でないと考えられる。」とあるでしょう?
これ、意味分かりましたか?
この部分の「使用者」は「法人そのもの」を指し、役員を含めて使用される者は「労使折半」の「労働者」に含めて考えないと、意味が分からない部分です。
この部分において、法人役員は「使用者」ではなく「使用される者」です。
健康保険法3条1項が「適用事業所に使用される者」と書いてあるのを思い出してください。法人役員は、「適用事業所である法人に使用される者」として、当然被保険者なのです。
「保険」というものは、大きな負担が生じる将来の出来事(保険事故といいます)に備え、そのリスクにさらされる者がお金(保険料)を出し合い、資金のプールを作って、保険事故に遭った者に給付する制度です。
いってみれば、リスクにさらされる者の自助努力ですから、仮に、そのリスクに対して責任を負う者が他にある場合、その責任を負う者が賠償や補償を行うのが筋であり、保険が給付するのは筋が通りません。
蛇足ですが、労災保険や健康保険で学習する、第三者行為災害における求償や控除もこの考え方によります。
健康保険の場合、国庫の補助や負担を除いて、資金のプールは被保険者が折半負担している保険料が原資です。
業務上の事故は、使用者(法人であれば法人そのもの)が全面的に責任を負うのが筋であり、被保険者が保険料を負担する健康保険が給付するのは筋が通らない、というのが問2のQ&Aの考え方です。
参考になった:3人
poo_zzzzz 2020-03-22 09:44:39