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国民年金法/寡婦年金と死亡一時金の支給要件
inoino1229 2020-05-05 18:27:00
いつもお世話になっております。国民年金法の寡婦年金と死亡一時金の支給要件の中で、寡婦年金においては夫が障害基礎年金の受給権者であったことがある者でないこととあり、支給の有無は問われていないのに対し、死亡一時金においては障害基礎年金の支給を受けたことがある者が死亡した時は支給しないとあり、支給の有無が問われています。どちらも被保険者であったものの保険料の掛け捨て防止の観点からできた制度であるなら、受給権者であっただけで何故支給要件から外れてしまうのかが分かりません。どちらかといえば、死亡一時金も障害基礎年金の受給権者であったことがあれば支給要件から外れてしまう方が自然に感じてしまいます。この違いにはどのような理由があるのでしょうか?気にせず暗記すればいいことなのかもしれませんが、記憶する上でどうしてがはっきりすると記憶に定着しやすいと思いまして。すみませんが教えて下さい。
寡婦年金の制度は昭和34年の法の制定当時からあるのですが、もともと寡婦年金は、保険料の掛け捨て防止の観点からできた制度ではありません。
似ているのですが、夫が受給できなかった年金を、一定の年齢の間、妻に支給するという性格のものです。
法制定当時の寡婦年金は、年齢要件以外の老齢年金(今の老齢基礎年金)の支給要件を満たした夫が亡くなった場合に、婚姻期間の要件を満たした妻が残された場合は、その妻に、60歳から65歳までの間、寡婦年金を支給する、という制度でした。
すごく簡単に言うと、年齢以外の老齢年金の受給要件を満たした夫が、65歳までに亡くなったら気の毒だから、婚姻期間の要件を満たす妻があるなら、夫に支給できなかった老齢年金に代えて、妻に60歳から65歳まで寡婦年金を支給しましょう、という年金だったのです。
この当時から「障害年金の受給権者である場合」は、寡婦年金は支給されませんでした。
私見ですが、法制定当時から、障害年金の受給権者は保険料が免除でしたし、寡婦年金は、上記のように老齢年金の代替支給の性格ですから、免除に基づいて積み上がった期間で寡婦年金は支給しない、という考えであったのではないかと思います。
また、この当時の寡婦年金は、夫が老齢年金の受給権者ではない、というのが間接的な要件でした。直接には条文に書いていないのですが、夫が死亡の当時被保険者(60歳未満)であるか、被保険者であった者で65歳未満が要件でしたから、結果的に夫が老齢年金の受給権者である場合は、寡婦年金は支給されなかったのです。
しかしその後、夫が老齢年金の受給権者であっても、支給を受けていなければ寡婦年金は支給されることになりました。
これも私見ですが、支給繰下げのために65歳になっても老齢年金を裁定請求をせず、死亡した者の妻への配慮ではないかと思います。
死亡一時金は昭和34年の法の制定当時には制度がありませんでした。
昭和36年に国民年金の保険料が徴収され始めたときに、保険料の掛け捨て防止を目的として死亡一時金の制度ができたのですが、当時は老齢年金等、障害年金(例外あり)、母子年金等(例外あり)の受給権者又は受給権者であったことがある者の死亡には支給されませんでした。
母子年金は今の遺族基礎年金に相当しますが、当時は「死亡した者ではなく、受給権者の保険料納付要件があった」ためです。
とにかく支払った保険料が受給権に反映したら、その者の死亡について死亡一時金は支給されませんでした。
しかしその後の法改正で、受給権者の死であっても、その受給をしていなかった場合は、死亡一時金は支給さえることになりました。
改正の経緯は知らないのですが、死亡一時金と比較して未支給年金の方が高いとは限りませんから、どちらでも遺族の都合の良い方を支給した方が、保険料の掛け捨て防止の趣旨に合う、と、いうことではないかと思います。
参考になった:4人
poo_zzzzz 2020-05-05 21:41:16
とても詳しく解説頂きましてありがとうございます。一つ一つの制度に様々な歴史が絡んでいるという奥深さを知ることが出来ました。とても勉強になりました。どういった流れから今の制度になったのかを知ると、とても理解がしやすく記憶に残りやすくなりました。ありがとうございます。
inoino1229 2020-05-06 09:47:33