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H26-4Dは最高裁判例に関わる問題ではなく、古い通達(もちろん今でも生きている)による設問です。

S24.12.2基収3281号
(問)某炭鉱では労務者による労働組合と職員による職員組合とが結成されているが、労働組合のみがストライキに入った場合、会社が職員の就業を拒否すれば法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業となるか。職員組合が休業に同意した場合と同意しなかった場合とで取扱が異るか。

(答)一般的にいえば、労働組合が争議をしたことにより同一事業場の当該労働組合員以外の労働者の一部が労働を提供し得なくなった場合にその程度に応じて労働者を休業させることは差支えないが、その限度を超えて休業させた場合には、その部分については法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当する。

この通達は、多くの受験用テキストに載っています。

「解説を読んで」と書いておられますが、解説は、この通達を根拠にしていませんか?
また、あなたのテキストには、この通達が載っていませんか?

もし載っていたり、解説にあるなら、復習不足です。
疑問が起きたときに、ご自身の頭の中の知識で判断してはいけません。
また、過去問の解説は、論点と根拠を知るためのきっかけに過ぎず、それで復習を終えてはいけません。
疑問が起きたら「自身の知識が足りない、または間違っているのだ」と考えて、テキストを広く読み直し、口述講義を聴き直すのが「受験勉強」です。



正当なストライキの影響で、ストライキしていない労働者が労働を提供できなくなった場合に、その限度で休業させることは「使用者の責に帰すべき事由」になりませんが、その限度を超えて労働の提供が可能な労働者を休業させた場合は、その部分は「使用者の責に帰すべき事由」に該当します。これがお尋ねの過去問の論点です。

ノースウェスト事件の最高裁判決(昭和57(オ)1189)は、原告が「ストライキの発生自体に使用者に責任があり、使用者の行為によって引き起こされたストライキであるから、ストライキによって労働の提供ができなくなった場合も「使用者の責に帰すべき事由」になる」と主張した点が争点の一つで、この事実認定の過程で「「使用者の責に帰すべき事由」とは、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであつて、民法536条2項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当である。」と判示した点が受験対策的に意味を持ちますが、お尋ねの過去問とは直接の関係はありません。

なお、奇しくも同じノースウェスト航空が、別のストライキと休業手当の支払について争っており、地裁判決(昭和47年(ワ)7474)までしかありませんが、この判決文に「パイロツト組合のストライキにより航空便が停止したため、日本支社の業務が減少し従業員全員に就労させることが不可能となつたので、従業員の休業の方法順序について組合と協定を結び、各職場の業務量の減少に応じてそれに必要な限度で休業を命じたものであることが認められ」という興味深い記述があります。

つまり「各職場の業務量の減少に応じてそれに必要な限度で休業を命じた」から、休業手当は必要ない、という判断で、論旨は前記通達と同じです。

参考になった:5

poo_zzzzz 2020-06-01 20:44:23

ご回答ありがとうございます。
仰る通り、問題集の解答欄に同じ通達が載っています。

今回の問題を解いた時に、ノースウエスト航空事件で休業手当請求権が認められなかった事を思い出し、ストライキは使用者の責に帰すべき事由ではないと勝手に思い込んでいました。

もう一度回答頂いた文章と、テキストの通達を読み、ようやく理解する事ができました。

ありがとうございました。

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b000142  2020-06-02 00:09:48

もうおわかりだと思いますが、もう一度書いておきます。

疑問が起きたときに、ご自身の頭の中の知識で判断してはいけません。

疑問が起きたときは、見えないあなたの壁が見えたときです。

ご自身の力で乗り越えないのはもったいないです。

疑問が起きたら「自身の知識が足りない、または間違っているのだ」と考えて、テキストを広く読み直し、口述講義を聴き直すのが「受験勉強」です。

また、過去問の解説は、論点と根拠を知るためのきっかけに過ぎません。

そこは、新たな知識を得る場所ではありません。

解説を読んで違和感があれば、必ずテキストに戻る。これは鉄則です。

投稿内容を修正

参考になった:3

poo_zzzzz 2020-06-02 01:01:47



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