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厚生年金保険法/配偶者又は子
aokisan 2020-08-10 18:40:56
よろしくお願いします。
色々な条文に出てくる「配偶者又は子」の捉え方なのですが、
「A又はB」は、AかBのどちらか、という意味ですよね?
けれども、例えば遺族基礎年金は「配偶者又は子」に「支給する」となっていますが、両方に受給権が発生します。
遺族厚生年金でも遺族の順位として「配偶者又は子」が「受給権を取得したときは」とありますが、受給権は両方に発生します。
とはいえ、この2つは結局どちらかが支給停止になるので、しっくり来ないながらも「そう捉えるのかな」と流したのですが、加給年金額の条文でひっかかりました。
加給年金額は「配偶者又は子」があるときは加算した額とする、となっていますが、配偶者も子もいる場合は全員分加算されるようです。
私の「又は」の捉え方が間違えているのでしょうか。
それとも、加給年金額も「どちらか」にしかつかないのでしょうか。
よろしくお願い致します。
考え方が間違っているわけではないのですが、一面的です。
民法90条
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
※ 最初の書き込みで民法改正前の条文をひろってしまていたので、修正しました。すみません。
公の秩序に反する法律行為は、それが善良の風俗に反する法律行為ではなくても、無効です。
逆に、善良の風俗に反する法律行為は、それが公の秩序に反する法律行為ではなくても、無効です。
これは、あなたの論の通りです。
では、公の秩序に反する法律行為であり、かつ、善良の風俗に反する法律行為である場合は、無効にならないのでしようか?
違いますよね?
つまり、この「又は」は、「どちらか一つ」という意味ではなく、「どちらでも」という意味です。
法条文では、いずれか一つまたはそれ以上の要素を満たせば良い場合に、A,B,C又はDという表現をします。
この場合、特に断りが無ければ、複数の要素が満たされることは排除されません。
このため、単に要素を羅列するために「又は」を使う場合があり、その場合、その要素がどのように扱われるかについては、周辺の条文に書かれる場合が多いのです。
あなたが書いておられる遺族厚生年金で見てみましょう。
厚生年金保険法59条1項抜粋
遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時・・・後略・・・
そして続く2項に
前項の規定にかかわらず、父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。
この2項によって、受給権者が限定されるわけですが、1項の「又は」が「いずれか一つ」の意味であるなら、2項は成り立ちませんよね?
1項が、「配偶者、子、父母、孫、祖父母のいずれも受給権者になり得る」という意味であるからこそ、2項が「前項の規定にかかわらず」で始まり、受給権者を限定する意味があるのです。
また、加給年金額の44条を見てみましょう(子についてのかっこ書きは除きます)
厚生年金保険法44条1項抜粋
その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子があるときは
これね、「配偶者及び子があるときは」としたら、配偶者と子の両方ある場合でないと支給されない、という意味に取られかねないのです。
言語は生き物で難しいです。
条文に定義がある場合や、法令用語として確立している用語は別にして、やはりそこには日本語としての理解が必要です。
又は、はいずれか、及びは、条件の付け足し、のような理解は基礎ですが、その部分だけを見ていては判断できないケースはあります。
参考になった:3人
poo_zzzzz 2020-08-10 21:09:41
poo_zzzzz先生
早々にお返事くださり、ありがとうございました。
こんなことを尋ねるのはどうなのかしら、と思いつつの投稿だったのですが、お尋ねして良かったです。
すっきり納得できました。
私の慣れ親しんだ言葉なら、「や」で置き換えると良いのかなと思いました。
基本「or」だけれども「and」の場合もある、、、みたいな。
条文とはいえ、生きた言葉なのですね。
きっちり捉えるばかりではダメだと学びました。
ありがとうございました。
aokisan 2020-08-10 23:32:26