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「範囲」とか、「類推」の範疇にある事項ではありません。

法78条は、基本手当の失業の認定について証明認定を受け、または受けようとする者、基本手当の受給期間の延長を受けようとする者、傷病手当を受け、または受けようとする者に対する受診命令の規定です。

本試験でも「傷病手当の支給を受けようとする者に対して」と問題文にあります。

つまりこれは、

・受給資格者が
・失業等給付の中の
・求職者給付の中の
・傷病手当を受けようとする場合
の事務に関する権限です。

則1条により、受給資格者の失業等給付についての事務は、管轄公共職業安定所長が行うことになっています。

試験問題には「管轄」はありませんが、法78条の条文では「行政庁」であり、根拠条文が特定している事項ではないので、「管轄」がないことを理由に問6Aを誤とするのは難しいと思います。

また、この問6Cは、民法改正により消滅時効の主観的起算点がクローズアップされている今、「そうじゃないよ」といっている肢ですから、問6はCの1本釣りで正解できなくてはいけません。



ついでに、雇用保険法の事務の管轄について書いておきます。

雇用保険は法2条によって政府が管掌しますから、基本的には行政庁は政府とその下部組織です。例外は法2条と令1条による都道府県知事(能力開発事業のみ)です。

管轄する省庁は厚生労働省で、職業安定局に属しますから、法令で明示で現れる行政庁は、
・厚生労働大臣
・厚生労働省職業安定局長(則1条により「職業安定局長」と表記)
・都道府県労働局長
・公共職業安定所長
です。

このうち、厚生労働大臣の権限は、則1条で都道府県労働局長に委任され、さらに公共職業安定所長に再委任され、この委任規定は任意ではないので、権限を行使するのは公共職業安定所長です。
また、職業安定局長は、施行規則による指定や定めをしますが、事業主や被保険者に対して直接的に事務を行う規定がありません。

つまり、能力開発事業を除き、雇用保険法で事業主や被保険者に対して、明示で事務を行う権限を持つのは、都道府県労働局長か、公共職業安定所長です。

管轄の内容については則1条にあります。

「行政庁」のように包括的な表記の場合、これ以外がない、とは言い切れませんが、法78条がそうであるように、それぞれの条文の内容と則1条から行政庁は特定されるように思います。

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poo_zzzzz 2020-09-05 11:18:24

詳しいご説明をありがとうございました。

確かに、問6のCは一本釣りをしなくてはなりませんね。
まだまだ、正誤判断が甘く正答までたどり着いていないことが多々ありました。

またの機会がありましたら、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

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funkdrummer7  2020-09-08 23:25:37

そうですね。今年の雇用保険択一問6に関してはその通りです。

ただ、事務の管掌について基本的な知識は必要です。

例えば、失業の認定は法15条ですが、そこには誰が失業の認定を行うかが書いていません。
誰が失業の認定を行うかを書いているのは則22条2項で「管轄公共職業安定所の長」と書かれています。
テキストには「管轄公共職業安定所長」と書かれているはずです。

しかし、事務の管掌は基本的には則1条で包括的に定められており、つまり、この則22条2項の「管轄公共職業安定所の長」は、則1条の定めに従った、いわば「再掲」です。
則22条2項が、例え「行政庁」と書いてあったとしても、その内容は、則1条により「管轄公共職業安定所の長」です。

第一、「管轄公共職業安定所」が、「その者の住所又は居所を管轄する公共職業安定所」であることを定義しているのは則1条ですからね。

ちなみに雇用保険法の法令則には「所轄公共職業安定所」は出てきません。則1条に定義がないのです。
ですから、施行規則では、必ず「事業所の所在地を管轄する公共職業安定所」と書かれます。過去問でも基本的には同じです。
但し過去問では、私の覚えている限り1度だけ「所轄公共職業安定所長」という表現が出たことがありますから、間違った表現とまでは言えません。

さらに、例えば障害者の雇用の促進等に関する法律において「管轄公共職業安定所」という場合「主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所」になります。

同じ用語でも法令によって意味が違う場合があることは意識してください。

話が脱線しましたが、事務の管轄に話を戻すと、事務の管掌の記述のセオリーは、すべての法令において同じではありません。

雇用保険法や徴収法のように令則で包括的に事務の管轄を定義している法令もありますが、そういった包括的な規定がない法令もあります。

しかし、包括的な規定がある法令については、その内容を大まかに知っておくことは、受験対策として必要だと思います。



ちなみに・・・
雇用保険法で事務の権限を持つのは労働局長か公共職業安定所長であることは前回説明しました。
例えば、不正受給で徴収金を徴収する場合に、徴収金の支払いを決定するのは私が知る限り労働局長ですが、納入告知書を送付するのは歳入徴収官ですので念のため。

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参考になった:2

poo_zzzzz 2020-09-09 09:58:45



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