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労働基準法/有期契約期間の特例について
taeko2222 2020-09-15 10:49:48
2021年労働基準法のテキスト、p38の「有期契約期間の特例」について質問です。
期間の定めのある労働契約に関して、いつでも退職ができるのは、
条文では
「その期間が1年を超えるものに限る」
とあります。
その下のちょっとアドバイスの部分では、
「労働契約期間の上限が3年とされる者については」
とあります。
条文だと、1年超~3年までの契約期間ならいつでも退職可能と読めますし、
ちょっとアドバイスだと、上限が3年とされる者でないと退職可能でないと読めます。
どちらが正しいのか教えて下さい。
最初に、テキストを見ていないことをお断りします。
テキストは見ていませんが、おそらく、どちらも正しいです。
まず、労働契約には、期間の定めがないものと、期間を定めるもの(有期労働契約)があります。
次に有期労働契約には、労働契約期間の上限が3年である者と5年であるものがあります。
さらに、「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」については、事業の完了に必要な期間である限り、労働契約期間に上限がありません。
お尋ねの、「有期契約期間の特例」は法附則137条ですが、この条文は、期間の定めのある労働契約に適用される条文です。この時点で期間の定めのないものは除外されます。
そして法附則137条は、「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」について、適用を除外しています。
さらに、法14条1項各号に規定する労働者に対して、適用を除外しています。法14条1項各号は契約期間の上限が5年となる労働者です。
先に書いたように、法14条に定める有期労働契約の上限は
(1) 3年
(2) 5年
(3) 一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの
しかありません。
(2)(3)が適用除外なら、(1)の3年しか残りませんから、法附則137条の「有期契約期間の特例」が適用されるのは、労働契約期間の上限が3年である労働者だけでしょう?
テキストに「労働契約期間の上限が3年とされる者」とあるのは、
・専門的知識等を有する者(上記(2) 契約期間上限5年)
・60歳以上の者(上記(2) 契約期間上限5年)
・一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの(上記(3) 必要な期間を契約するなら制限なし)
この3つの類型に「該当しないものである労働者」と、いう意味で書いてあるのだと思います。
つまり、お尋ねの、「労働契約期間の上限が3年とされる者については」は、正しいと思います。
「労働契約期間の上限」が3年ですから、現実に締結される労働契約が、半年であっても、1年であっても、2年であっても、今までの説明の中では該当します。
しかし、法附則137条は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後に適用される条文です。
このため、法附則137条は、「その期間が1年を超えるものに限る」として、適用を1年を超える有期労働契約のみに絞っています。
こちらは、現実に締結された有期労働契約期間の長さをテーマにしています。
ですから、法附則137条の特例は、
(a) 法14条において、労働契約期間の上限が3年とされる者に限り適用される
(b) 現実に締結された労働契約の期間が1年を超える者に限り適用される
(c) 労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後に適用される
ということになります。
この(a)(b)(c)の間に矛盾はないでしょう?
間違っていたらお詫びしますが、おそらく、あなたは「労働契約期間の上限が3年とされる者」を「労働契約期間が3年である者」と、勘違いしておられるのではないですか?
「上限」ですよ。
「労働契約期間の上限が3年とされる者」は、業務の内容や労働者の属性による労働契約期間の法律上の上限を言っているに過ぎず、現実の労働契約期間のことは言っていません。
これを、現実の有期労働契約期間の長さをテーマとする「その期間が1年を超えるものに限る」と混同して考えておられるから、分からなくなっているのだと思います。
法令の学習は論理的でなければなりません。
「さらっと読んだら違うと思った」で、思考が止まってはいけないのです。
私はいつも言うのですが、疑問を持った時は、見えていないあなた自身の「壁」が姿を現した時です。
これは「チャンス!」なのです。
もちろん教材に問題がある場合はあります。
しかし、最初からそう考えたのでは、せっかくのチャンスが生かせません。
まず「自分自身の知識が足りないのだ。自分の理解が誤っているのだ。」と考え、必要な範囲を幅広く読み直し、口述講義を聴き直してください。
場合によっては「こう考えたら納得できる」という仮説を立てても構いません。
仮説でテキストの内容と過去問がすべて説明できるなら、少なくともあなたの受験勉強にとって、それは限りなく真実です。
参考になった:4人
poo_zzzzz 2020-09-15 12:15:47
poo_zzzzz様
とてもわかりやすいご回答をありがとうございました。
ご指摘の通り、「労働契約期間の上限が3年とされる者」を「労働契約期間が3年である者」と勘違いしておりました!
もっと論理的に考えられるように、必要な範囲を幅広く読み返し、口述講義を聴き直して力をつけていきたいと思います。
「疑問を持った時は、見えていないあなた自身の「壁」が姿を現した時です。これは「チャンス!」なのです。」
この言葉に励まされました。
まだこれからの私にとって、法令学習の考え方を教えていただいたことは、
私のこれからの学習方法に大きく影響していくのではないかと思いました。
ありがとうございました!
taeko2222 2020-09-15 14:48:45