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国民年金法/国年2020output講座の問89について
mikkee 2020-09-28 08:04:55
お世話になります。上記問題について、基準傷病も、事後重症と同様に、請求で支給されるので、「該当に至った時に…支給される」とは言えないのではないでしょうか?
最初に、教材を見ていないことをお断りします。
年金法の、年金の受給権の発生を取り扱う条文において「支給する」とは、金銭を支払うことを意味するのではなく、「受給権の発生」を意味します。
失礼ですが、これは年金法の基本的な事項です。
事後重症による請求は、法30条の2第1項の条文の末尾が「障害基礎年金の支給を請求することができる」ですから、請求した時に受給権が発生します。
しかし基準障害による併合認定は、法30条の3第1項の条文の末尾が「障害基礎年金を支給する」ですから、要件に該当した時に受給権が発生します。
このため、お尋ねの教材がこの部分を述べているのであれば、基準障害による併合認定の受給権の発生に対し、「支給される」という表現を用いることは、問題ないと思われます。
受給権が発生すると、その月が法18条1項の「支給すべき事由が生じた日の属する月」になりますから、原則として、年金の支給は受給権が発生した日の属する月の翌月からがその対象になります。法18条は受給権の発生に関する条文ではありませんから、この「支給」は年金の支払の対象となることを意味します。現実の支払は同条3項により、2,4,6,8,10及び12月に、それぞれ前月までの分が支払われます。
さて、基準障害による併合認定の条文である法30条の3の第1項は、「障害基礎年金を支給する」ですから、請求とは関係なく、基準障害による併合認定の要件に該当した日に受給権が発生します。
このため、事後重症による請求の場合とは異なり、要件該当が65歳未満であれば、請求は65歳以降であっても構わないことになっています。
受給権が発生すれば、その月の翌月分の年金から支給されるのが法18条1項の原則で、請求が遅れた場合は遡及して支払われるのですが、基準障害による併合認定の条文である法30条の3は、その第3項に「第1項の障害基礎年金の支給は、第18条第1項の規定にかかわらず、当該障害基礎年金の請求があった月の翌月から始めるものとする」とあります。
「第18条第1項の規定にかかわらず」ですから、基準障害による併合認定の場合は、受給権が発生した月から請求のあった月までの年金は支給されず、請求があった月の翌月分からの年金が支給されます。
また、「基準傷病も」と書かれていますが、受給権発生の対象になるのは、基準傷病による障害(基準障害)と他の障害を併合した認定です。ですので基準障害による併合認定と書くのが正しいのですが、受給権の発生を指すのであれば、せめて基準傷病ではなく基準障害と書いてください。
なお、この質問広場は、社労士試験に関することであれば、誰でも質問ができ、誰でも回答者になれる場です。
必ずしもやまよびのスタッフの方が回答される場ではありません。
このため、教材の記述内容に関することでも、できるだけ誰にでも分かる質問内容にしてください。
最後に、学習中に疑問が起きた場合に、あなたの頭の中の知識を信じて考えることは、あなた自身の学習の進歩のために、好ましくありません。
まず、ご自身の知識を疑う姿勢を持ち、丁寧に復習することをお勧めします。
特にOUTPUT学習において疑問が起きた場合は、その教材で止まってはいけません。
INPUTテキストを幅広く丁寧に読み返し、口述講義を聴いてください。幅広く、です。
私は、OUTPUTの疑問はINPUTテキストの記述内容に置き換えて(又は併記して)出るべきだ、と、思っています。
参考になった:5人
poo_zzzzz 2020-09-28 10:27:53
質問された方がコメントされていないようですが、私も条文に沿って少し難しく書いてしまったので、下記に簡単にまとめておきます。
内容は先の回答と同じです。
■ 事後重症(法30条の2)の場合
(1) 事後重症の要件に該当した。
(2) 障害基礎年金を請求する権利が生じる。
(条文上、「請求することができる」と表現されている)
この時点で、障害基礎年金の受給権は生じない。
(3) 障害基礎年金を請求した。
(4) この時点で、障害基礎年金の受給権が生じる。
(5) 年金の支払の通則規定(法18条)の規定により、受給権発生月
(請求月と同じ)の翌月分から年金が支給される。
■ 基準障害による併合認定(法30条の3)の場合
(6) 基準障害の併合認定の要件に該当した。
(7) この時点で、障害基礎年金の受給権が生じる。
(条文上、「支給する」と表現されている)
(8) 障害基礎年金を請求した。
(9) 本来は、年金の支払の通則規定(法18条)の原則によって、
請求月ではなく、受給権発生月の翌月分から(必要であれば
遡及して)年金が支給されるが、法30条の3第3項が、この
場合に法18条1項を適用をしないと言っている。
(10)法30条の3第3項の規定により、請求月の翌月分から障害基礎
年金が支給される。請求月以前に遡及した支払いはない。
上記のように、事後重症と、基準障害による併合認定では、「いつ障害基礎年金の受給権が発生するのか?」という点と、年金の支払の通則規定(法18条)1項の適用の有無で、大きな違いがあります。
基準障害による併合認定の条文である法30条の3は、その1項において、基準障害とその他の障害を併合して障害等級に該当した場合に、「障害基礎年金を支給する」と書いています。
先の回答で書いたように、年金法の、年金の受給権の発生を取り扱う条文において「支給する」とは、金銭を支払うことを意味するのではなく、「受給権の発生」を意味しますから、この「支給」は、年金の支払とは関係なく、単に受給権の発生を意味しています。
このため、疑問を持たれた教材が、基準障害と他の障害を併合して障害等級に該当した場合を言っているのであれば、その時点で「支給される」と表現しているのは、正しいです。
それに、法30条の3第1項の条文が「障害基礎年金を支給する」ですからね。
仮に内容が解っておられなくても、条文をご覧になれば条文と同じですから、少なくとも「誤」ではないことは、納得できるでしょう?
ただ、年金の支給開始については、基準障害による併合改定の場合、年金の支払の通則規定(法18条)1項の適用がなく、法30条の3第3項の独自の規定が適用されるため、事後重症と同じように見えてしまいます。
質問された方が疑問を持たれた原因は、
① 受給権の発生を規定する条文の「支給」の意味を正しく把握して
おられなかった。
② 年金の現実の支給(支払い)は、事後重症等の条文により行われる
のではなく、年金の支払の通則規定である法18条の規定で行われるが、
法18条1項と、法30条の3第3項の関係を理解しておられなかった。
ということだと思います。
なお、やまよびの教材を使っておられる方にお聞きしたところ、山川先生はこのあたりを口述講義で説明しておられるそうです。
どのような説明かは知りませんが、やはり、「疑問を持ったらテキストと口述講義に戻る」のは、鉄則だと思います。
最後に、疑問を持たれた教材がこの部分を指していないなら、失礼を深くお詫びします。
参考になった:3人
poo_zzzzz 2020-10-03 13:49:52