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(1)第2号被保険者の年齢制限について
厚生年金の被保険者は原則的に年齢に関係なく、国民年金法の第2号被保険者になります。
これは強制適用ですから「なれる」のではりません。「なる」のです。

しかし、新法改正のときの経過措置で「当分の間」は「65歳以上の者にあっては、厚生年金保険法附則第4条の3第1項に規定する政令で定める給付の受給権を有しない被保険者に限る」こととされています。

厚生年金保険法附則第4条の3第1項の規定は、厚生年金保険法の高齢任意加入被保険者の規定ですから、これは簡単に言うと、厚生年金保険法の高齢任意加入被保険者である者は、厚生年金保険の被保険者である間は、国民年金の第2号被保険者になる、という趣旨の規定です。

新法改正時に、厚生年金保険の被保険者は65歳で資格喪失でした。

65歳になると厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、その者に老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権がない場合は、その者の意思で厚生年金保険に高齢任意加入することができ、その場合に国民年金は第2号被保険者(強制加入)になったのです。

これで制度は整合しているでしょう?

その後の法改正で厚生年金保険の被保険者は70歳までとなったため、そういった考え方が分かりにくくなっています。

法改正で65歳から70歳までは、厚生年金保険が強制加入なのに、国民年金は老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権がない時のみ第2号被保険者になるという、いびつな形になっています。

なお、国民年金の65歳以降の特例による任意加入は、老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権がない場合に限られますから、65歳以降の厚生年金保険の被保険者が国民年金の第2号被保険者にならない場合、国民年金に任意加入することはできません。

障害の年金との関係ですが、適用事業所に使用される者は厚生年金保険の被保険者であり、たとえ1級の障害厚生年金・障害基礎年金を受給していても同じです。

厚生年金保険には障害による保険料免除規定はありませんから、障害厚生年金・障害基礎年金の受給権者であっても、厚生年金保険の被保険者である間は、本人・事業主とも保険料は徴収されます。

国民年金の法定免除・申請免除は第1号被保険者のみに適用される制度ですから混同しないようにしてください。

厚生年金保険の保険料と国民年金の保険料は全く別のものです。
第2号被保険者、第3号被保険者の期間が国民年金の給付対象になるのは、基礎年金拠出金による「給付費用の移動」によるものであって、厚生年金保険の保険料に国民年金の保険料が含まれる、という考え方を、もししておられるなら、それは制度上誤っていますので切り分けて考えてください

障害の年金の受給権があっても、その障害の内容によっては65歳以降に治ってしまう可能性がありますから、おっしゃるように無年金になる可能性があります。そこの判断は本人に任せようということで、障害の年金の受給権があることは、厚生年金保険の高齢任意加入の妨げにも、国民年金の特例により任意加入の妨げにもなりません。

厚生年金保険に高齢任意加入した場合は、事業主の同意が無い限り、保険料は全額本人負担です。



(2)60歳未満で厚生年金保険法に基づく老齢給付を受けていることによる任意加入被保険者の資格喪失
国民年金法7条1項1号にあるように、国内居住の20歳以上60歳未満の者は、第2号被保険者、第3号被保険者に該当しない限り第1号被保険者です。
これは医療ビザ取得者等の場合の国籍要件の例外と、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者の例外を除き「強制的に」適用されます。

強制適用ならば、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者の例外に該当しなくなれば、どうなるかは説明しないでもいいですね?



(3)厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者を第1号被保険者としないことの意義
第1号被保険者は本人が保険料負担します。
これは強制です。
「俺は貯金があるし、子や孫も面倒見てくれるから、老後の年金なんか不要だ」という場合でも第1号被保険者は強制加入であり、保険料の支払い義務があります。
しかし、国民年金以外の制度で老齢給付を受けることができる者に対してこれを強制して保険料を支払わせるのはどうなのか?という考え方は旧法時代からあり、このため、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者を第1号被保険者にはしません。
しかし任意加入の門戸は開かれており、本人が保険料を納めてでも将来の年金給付を積み増ししたいなら、任意加入すれば良いことになっています。
つまり、これは選択制です。

第3号被保険者に対する国民年金の給付の費用は、第2号被保険者と同様、基礎年金拠出金として、厚生年金保険から国民年金に給付費用が移動することでまかなわれます。
このため第3号被保険者からは保険料が徴収されません。
これは、新法改正時に第3号被保険者の制度が創設されたときに、第2号被保険者である厚生年金被保険者の老齢給付の元々定額部分であった給付を国民年金の老齢基礎年金とすることで、給付水準がほぼ半分に切り下がったことに由来します。
簡単に言うと「厚生年金被保険者さんの定額部分が老齢基礎年金になって給付が半分になった代わりに、配偶者に保険料なしで老齢基礎年金を支給するよ」ということです。
保険料負担なしで国民年金の被保険者になっており、その給付財源は厚生年金が負担するのですから、他の制度から老齢の給付を受けられるからと言って資格喪失させる必要はありません。
厚生年金保険被保険者の給付の切り下げとバーターになっている制度であることから考えれば、他の制度から老齢の給付を受けられるからと言って資格喪失させるのはおかしいと言っていいかも知れません。



最後に

これは他の方にも言っていますが、社労士試験は範囲が非常に広く、しかし基本的には短期決戦です。
学校教育等の場合は、「生じた疑問はがんばって解決しましょう。理屈が分かれば理解が進みます」といえるのですが、学習の目的が違います。

受験用テキストは、広い範囲の知識を「合格」に必要な部分に絞り込んだ「武器」です。
「載っていない」ことは「武器」としての特性であり長所ですから、それを捨ててはいけません。

受験期間中は、テキストになく、口述講義でも説明されていない疑問は、基本的に封印すべきです。

学習初期に見えなかった部分が学習が進むと見えてきて自然に解決する疑問もあります。
そうならない疑問もありますが、受験には差し支えないはずです。

上記の説明を見てもお分かりのように、テキストに載っている「不思議な規定」は、あなたご自身の学習の不足から生じたものか、法成立・改正の経緯から生じたものか、どちらかがほとんどです。

前者は、テキストと口述講義と過去問で正しく学習すれば解決します。
後者は、受験のための学習の短い期間中に押さえていくいくことは困難です。

私自身の受験は疑問の解決に多大なエネルギーを使いましたが、楽しかったけれども合理的ではありませんでした。
ご自身の努力で、それをされるのならば、ご自由ですが・・・

結果として、テキストと口述講義と過去問で正しく学習して、生じた疑問は封印して前に進んでください、というのが、私のアドバイスです。

参考になった:2

POO_zzzzz 2020-10-30 09:54:15

この度は、ご多忙のところ迅速に又、ご丁寧にご教示いただき、誠にありがとうございました。
(1)障害厚生年金・障害基礎年金の受給権者が保険料を支払うことが理解できていませんでした。(障害を持っていると、収入も健常者の時より減ることが多いと思い、厚生年金でも1号被保険者のように保険料を法定免除されると思っていました。恥ずかしながら、事業主も育休取得者のように障害者の保険料を納付していないと思っていました。)

(2)強制加入から除外になった者が任意加入になる一方通行しかないと勝手に思い込んでいましたが、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者の例外に該当しなくなれば、当然に強制加入に戻ることを理解できました。

(3)3号については、制度の経緯は知っていたのですが、現在共働きする家庭が増えたことから3号被保険者が保険料を負担しないで将来年金を受給できることに批判の目が向けられているため、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができたにも関わらず、強制加入者に居続けることができ、任意加入になる1号被保険者より有利に扱われている気がしてしまいました。(恥ずかしながら勝手に強制加入を除外されたものが、任意加入にされてしまうというイメージを持っていました。)

また、最後のご指摘も心にしみました。現在全科目2巡目の学習を終え、一問一答形式の問題や過去問の一問一答形式(10年分)を一通り解き終え、今は間違えた問題をその理由を理解できるように2巡目を進めています。
当初は、理解できない部分は暗記するしかないかとあきらめていたのですが、勝手に資格取得後をイメージしてしまい、将来丸暗記の回答でなく顧客等にきちんと制度の仕組み等を説明しなければならないだろうから、きちんと今から内容を理解しなければいけないものと勝手に思っていました。
しかし、現在は試験に合格することが第一であり、選択式・択一式の全科目で合格点をとれるように勉強をすべきであることから、今回のように細部にこだわるくらいなら、他にやるべきことがまだたくさんあることを理解することができました。本当にありがとうございました。

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ponta315  2020-10-30 20:38:33

年金法は60年改正(新法改正)の前後の法令の内容をある程度把握し、そこからH6以降の改正そして一元化前後の共済の姿を知らないと、全体像を感覚的に掴みにくいのです。
これは、受験期間では難しいと思います。
まぁ、年金法に限らず、他の法令も改正の痕跡を引きずっていますから、同じようなことが言えます。

私自身は、可能な限り疑問を潰す受験勉強をしてきました。
インターネットが普及していない時代でしたから、非常な手間と時間と、そしてかなりのお金を要しましたが、充実していて面白かったです。

だから、おっしゃっていること、やりたいことは分かります。
ただね、それが受験に関して得点に結びついたのか?というと、実感として残念ながらNoなのです。
まぁ、応用力は上がりますが・・・
時間や手間も含めて、費用対効果はかなり悪いです。

私自身そうでしたから、余計なことは考えるなとは言いません。
しかし、ほどほどに、だと思います。

また、受験範囲を超えた疑問は、知識として得るのではなく、ご自身で調べて解決してこそ意味があるように思います。
何を調べるのかは推論と仮定で決めます。
そうやって、法令の読み方や考え方がご自身のものになります。
慣れれば、「ああ、これは、この法令の仕組みから考えて、政令のこのあたりにこんな規定があるはずだよね」とか、「これは審議会の資料を見た方が早いな」とか、「これは昔の官報か国会の議案を見ないとな」、とか「あたり」がつくようになります。
まぁ、お勧めはしませんが・・・

ただ一つ
学習中の疑問は、普段は見えないあなたの「壁」が姿を現したときです。
例えば今回であれば、厚生年金保険法の保険料について、しっかりした復習をするチャンスだったはずです。
頭の中の知識にこだわって、こういった、テキストの範囲内の復習のチャンスを逃してはいけません。

丁重なコメントありがとうございました。
最後に、地道な学習が成果を上げることをお祈りします。

参考になった:1

POO_zzzzz 2020-10-30 21:16:03

ありがとうございました。
厚生年金保険を確認しました。
今日も勉強をしていて気が付いたのですが、これは私の悪い癖かもしれません。科目が違うと、制度の差があっても割り切って覚えられるのですが、同じ科目の中で違った取扱いがあるとどうも気になってしまいます。
正直今回の国民年金の内容については、個人的には仕組みがわかり非常に面白くおもしろく感じてしまいました。(本当は、多くの科目があり試験の範囲を勉強すべきなのはわかっているのですが。)
しかし、性格なのでなかなかか一気に改善するのは難しいと思いますので、今後も別の科目で疑問点をお聞きしてしまうことがあるかもしれませんが、差し支えない範囲で結構ですのでご教示いただければ幸いです。

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ponta315  2020-10-31 19:58:18



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