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事業に対する雇用保険の適用は、法5条1項によって原則強制ですが、一部の事業については、法附則2条で「当分の間、第5条第1項の規定にかかわらず、任意適用事業とする。」となっています。

ここに「当分の間」という文言があるので、これを「暫定任意適用事業」と呼ぶ場合があります。

私の記憶にある範囲では、「任意適用事業」「暫定任意適用事業」「暫定的任意適用事業」「雇用保険暫定任意適用事業」の呼び方での出題が、過去の本試験であったはずですが、内容は同じです。

上記条文をご覧になって分かるように「任意適用事業とする」とあるのですから、単に「任意適用事業」と言っても間違いであろうはずはなく、「当分の間」とありますから「暫定」と付いていても誤りではありません。



同じものなのに、なぜ、呼び方がばらついているのかというと・・・(以下、私見です)

労災保険の任意適用を定めるのは昭和44年の「失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律」附則12条で、その1項は一部の事業について「当分の間、第二条の規定による改正後の同項の適用事業としない」とあり、2項が「前項に規定する事業は、任意適用事業とする」とあって、つまり内容は別にして構造は雇用保険法と同じなのですが、この規定を受けた「失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(いわゆる「整備法」)5条が、この法附則12条の任意適用事業のことを「労災保険暫定任意適用事業という」と呼び方を定義づけています。

あくまでも整備法の中での定義ですから、整備法以外の部分で、単に「任意適用事業」と呼んだら誤りか?というと、そうではないと思いますが、この定義があるせいか、労災保険の過去問では「暫定任意適用事業」「労災保険暫定任意適用事業」の名称で出題されているように思います。

雇用保険法の分野でも、おそらくはこれに引っ張られて「暫定任意適用事業」を使っているのですが、雇用保険法関連ではこのような定義をはっきり定めた条文が見当たらないので、呼び方がばらついているのだと思います。

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poo_zzzzz 2020-11-21 20:56:39

同じものだったんですね。
呼び方にばらつきがある背景まで詳しく解説していただきありがとうございました。

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dasein  2020-11-21 22:06:17

受験には関係ないと思い、先の回答では「雇用保険法の分野でも、おそらくはこれに引っ張られて「暫定任意適用事業」を使っている」とボカして書きましたが、法令の歴史に関することなので、少し書いておきます。

昭和44年の法改正(当時は雇用保険ではなく失業保険)の整備法では、「労災保険暫定任意適用事業」と共に、「失業保険暫定任意適用事業」という呼び方が定義されていました。

ですから、もし、今も失業保険のままであったなら、「任意適用事業」ではなく「失業保険暫定任意適用事業」という呼び方が、統一的に使われていたのではないかなぁと、個人的には思っています。

昭和49年に、失業保険の改正ではなく、新しい法律として雇用保険法が成立し、失業保険法が廃止されたため、任意適用事業は雇用保険法自身の法附則2条に移され、その対象事業も整備政令から雇用保険法施行令附則に移ったため、雇用保険について「暫定任意適用事業」という呼び方を定義する法令がなくなってしまいました。


追伸
徴収法では現在も「雇用保険暫定任意適用事業」の用語が活きています。

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poo_zzzzz 2020-11-24 10:45:20



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