ニックネーム | *** 未ログイン ***
労働安全衛生法/法66条の8第2項 面接指導について
niisuke 2020-12-12 18:44:16
①時間外労働が80時間を超え、疲労の蓄積が認められる者に対する面接指導に関しては、労働安全衛生法66条8第2項において、゛労働者は事業者が行う面接指導を受けなければならない゛と規定されており、その面接指導の実施方法に関しては、労働安全衛生規則第52条の3において゛面接指導は、労働者の申出により行うものとする゛と規定されているとの認識ですが、その理解で正しいですか。
②上記に理解が正しい場合、労働者にとって、法66条の規定は゛義務゛であり、規則52条の規定は゛任意゛であるように読めます。即ち、労働者が申し出をしない限り面接指導は受けなくとも良いとすれば、法66条の゛受けなければならない゛と相反していると思われるのですが、どのように解釈すれば良いでしょうか。
-------------------------------
法66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(--略--)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2 労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
--後略--
-------------------------------
上記条文を見てお分かりのように、「法」には「80時間」とも「疲労の蓄積が認められる者」とも書かれていません。これを書いているのは施行規則です。
-------------------------------
則52条の2 法66条の8第1項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。--略--。
2 前項の超えた時間の算定は、毎月一回以上、一定の期日を定めて行わなければならない。
3 事業者は、第一項の超えた時間の算定を行つたときは、速やかに、同項の超えた時間が一月当たり八十時間を超えた労働者に対し、当該労働者に係る当該超えた時間に関する情報を通知しなければならない。
則52条の3 法第66条の8の面接指導は、前条第1項の要件に該当する労働者の申出により行うものとする。
--後略--
-------------------------------
施行規則を見てお分かりのように、「80時間」については、使用者が毎月算定し、必要があれば労働者に通知する義務を負います。
しかし、「疲労の蓄積が認められる」ことを、使用者はどうやって把握するのでしょう?
今現在の法令では、この「疲労の蓄積が認められる」ことを使用者が把握する手段を「労働者本人の申し出」に任せているのです。
厚労省の事業者・労働者向けのパンフレットを見ると「疲労の蓄積が認められる者」の横に(申出による)と書かれていたりします。
> その理解で正しいですか
> 相反していると思われるのですが
受験対策的な理解としては良いと思います。
ただ、全体として、法令解釈は十分ではありません。
面接指導を行う義務を負うのは、事業者です。
労働者は、事業者が行う面接指導に対し、それを受ける義務を負うに過ぎません。
ここを、事業者を飛ばしていきなり労働者の義務と考えると、申出が不思議になります。
また、法66条の8は、事業者に対し、
① 厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し
② 厚生労働省令で定めるところにより
③ 医師による面接指導を行わなければならない
と言っているだけです。
厚生労働省令(施行規則)には、「労働者の申出」を含めて要件が書かれているのですから、相反する部分はありません。
私は受験生ではなく山予備のスタッフでもないので、今回の回答に当たって教材は見ていませんが、今回のご質問は、おそらくは受験用テキストのデフォルメによって起きたものではないかと推察します。
試験の出題者は「厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し」なんて訊こうとはあまり思わないと思います。
やはり出題者は「80時間」とか「労働者本人の申し出」を受験生が知っているかどうかを訊きたいわけで、受験用テキストは、そういった受験対策(特に択一式)に特化した「武器」です。
その目的から、必要性の低い情報はカットし、出題に答えやすいようなデフォルメを入れます。
これは受験対策の「武器」としての「長所」です。
このため、本来の条文の持つ論理が理解しにくい面はありますが、私の意見としては、試験問題の回答に必要の薄い疑問は受験期間は封じておく方が良いと思います。
そういった疑問の解決を考え出すと、せっかくの「武器の長所」を減殺しますからね。
もし、あえて、疑問を解決しようとされるなら、元の条文を読み、行政の資料をご自身であたるようにされることをお勧めします。
今回の疑問も、条文の正条を正しく読み取れれば、起きなかったのではないかな?とは思いますが、しかしテキストと口述講義を重視する立場で言えば、受験期間中は、こうした疑問には封をして前に進むべきではないかな?と、思います。
参考になった:2人
poo_zzzzz 2020-12-13 17:32:55
丁寧なお返事ありがとうございます。
゛事業者が、労働者の疲労の蓄積を把握する手段として「労働者本人の申し出」に任せている゛との事。全体の理解として腑に落ちました。ありがとうございました。
又、ご指摘の通り、ふと疑問の思った所で立ち止まってしまいがちではあります。試験に向けた学習を意識していこうと思います。
niisuke 2020-12-13 18:25:20
そうですね、今大切なのは試験の合格ですからね。
ただ、今後、今回と同じような疑問を持ったときに、テキストを丁寧に読み直し、口述講義を聞き直す習慣は守っていってください。
どのような教材を使っておられるのか分からないので確言できませんが、テキスト等の記述にデフォルメがあったとしても、
① 面接指導を行う義務を負うのは事業者である
② 労働者は事業者が行う面接指導を受ける義務を負う
ご質問の部分について、この2段階が、全く読み取れない教材は多くないと思います。
この2段階が理解できていれば、「労働者の申出」は、「80時間」と同じく、②ではなく「①に対する引き金」であると分かるはずで、それが分かっていれば、ご質問のような矛盾は感じなかったはずです。
どんなに丁寧に学習しても、教材の読み取り間違いはあると思います。
そして、それが少しくらいあっても合格できる試験です。
ですから、神経質になる必要はありませんが、疑問に思うということは、もしかしたらあなたが見えなかった壁が見えた瞬間なのかも知れないのですから、そういう時こそ、今までの「あなたの頭の中の知識」を疑い、もう一度テキストと口述講義をまっさらな気持ちで学習し直していただきたいのです。
参考になった:2人
poo_zzzzz 2020-12-14 12:20:44