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労働保険徴収法/社長の親族の労働保険
Kyontaro 2020-12-24 23:47:08
徴収法の適用事業の範囲のところで、パート労働者であって、雇用保険は加入していなくても、労災保険は加入している人がいるという説明でした。たとえば、家族以外の者も働いている会社で、社長の息子が入社し、他の労働者と同じような働き方をする場合、息子が労災のみ加入し、雇用保険は加入しない(労働時間は加入義務ある週20時間以上です)ということはできるのでしょうか。跡継ぎなので、失業することはないということで、雇用保険は入る必要はないという考えからです。社長の親族なので、他の労働者と働き方が違うということで、雇用保険の義務を免れているのに、労災保険の恩恵のみ受けるということができるのでしょうか。
> 息子が労災のみ加入し
労災保険には被保険者というものがなく、労働者が加入するという概念はありません。
労働者を使用する事業において、使用される労働者が業務遂行性と業務起因性を満たす災害で負傷し、疾病にかかった場合は、使用者が無過失でも使用者は災害補償義務を負います。(労基法75条以下)
この、使用者が負うべき災害補償義務を肩代わりするのが労災保険です。
ですから、給付対象が誰であるかを問いません。問われるのは事業主との間における労働者性です。
例えば1日だけのバイトであっても、仕事中に負傷したら労災保険の対象になり得ます。
労働者のための保険ではなく、労災保険は使用者のための保険なのです。
さて、例えば社長のご子息が仕事中に負傷した場合は、そのご子息が「労災保険の給付対象となる労働者かどうか」問題になります。
跡継ぎかどうかは関係ありません。
跡継ぎのご子息が業務災害に遭った場合でも、
(1) 同居の親族以外の労働者を常時使用する事業であること
(2) 業務を行う場合に事業主の指揮命令に従っていることが明確であること
(3) 就労の実態が他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること
(4) 始業終業の時刻、休憩、休日、休暇等、賃金規定等が就業規則などによって明確に定められ、かつ、他の労働者と同じように適用されていること
これらをすべて満たせば労災保険からの給付は受けられます。
これは保険事故が起きたその時に労働者性があったか?という事実が問われ、客観的に確認可能な書類(タイムカード、賃金台帳等)が必要になり、労働者性が疑わしい場合は、さらに資料を求められる場合や、現地調査が入る場合があります。
このように、労災保険の保険給付は、保険事故が起きたその時の労働者性、業務遂行性、業務起因性の「事実」で決まり、被保険者の概念もありませんから、特別加入の場合を除き、「あらかじめ加入する」という状況はあり得ないのです。
また、経営者の親族が雇用保険の被保険者になるかどうかも、その者の労働者性が問われます。
雇用保険には被保険者の概念がありますが、強制保険ですから、要件を満たす場合は資格取得手続をしなければなりません。
これは事業主や本人の意思を問いません。
例えば事業主の親族であっても、同居ではなく、役員等でもない場合は、原則的に被保険者です。
個人経営(または実態が個人経営と同様の法人)の事業において、同居の親族は原則として被保険者になりません。
しかしそのような事業の同居の親族であっても、上記の(1)~(4)を満たし、事業主と利益を一にする地位にない場合は、被保険者になり得ます。
これも「跡継ぎで失業の心配が無い」かどうかは関係ありません。
問題になるのは、現在の雇用実態です。
ですから跡継ぎであっても、上記の(1)~(4)を満たし、事業主と利益を一にする地位にない場合は、被保険者になり得ます。
ただ、先に書いたように、個人経営(または実態が個人経営と同様の法人)の事業において、同居の親族は被保険者としないのが原則ですから、そういった事業で同居の親族を被保険者にする場合は、積極的に雇用実態を証明する必要があります。
ご質問に対する回答はここまでですが、質問される前にテキストを広く、丁寧に読み、口述講義をしっかり聞き直していますか?
労災保険・雇用保険が強制保険であり、その適用を受けるかどうかは、事業主や労働者の意思に関係なく、法令の要件を満たすか否かで決まるということは、基礎中の基礎です。
法令の要件を満たすか否かで決まるのですから、例えば労災保険の対象にならない者が保険給付を請求すれば否認されるだけですし、労災保険の対象になる者が保険給付を請求すれば事業主が何と言おうと保険給付されます。
雇用保険の被保険者資格の取得手続きをしていても、例えば離職後に実は被保険者となるべき者ではなかったことが判明すれば失業等給付は行われませんし、受給後であれば返還を求められます。逆に雇用保険の被保険者資格の取得手続きをしていない者が離職して、職安に対して「私は被保険者であったはずだ」と確認を求めれば、職安は調査して事実に基づき、必要であれば資格取得と資格喪失を確認します。
ご質問を見る限りでは、失礼ですがこのあたりの基礎的な事項に対する意識が希薄であるように思います。
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poo_zzzzz 2020-12-25 02:01:40
> 今後はもっと勉強してから質問したいと思います。
私の考えは、社労士受験(特に択一式)のINPUTは、基本テキストと口述講義で十分だというものです。
OUTPUT教材は、過去問と模試は必須で、あとはご自身のお好みで選ばれれば良いと思います。
そして、そこで起きた疑問は、十分にテキストを読み返し、口述講義を聞き直して解決しなければ、とりあえず封をして前に進めば良いと思っています。
これはなぜかというと、
(1) INPUT教材は、受験に必要な事項を精選し、不要な部分を切り落とした受験のための「武器」である。「載っていない」ことは武器としての長所であり、「載っていない」ことを考えるのは、ご自身が選んだ武器の長所を殺すことになる。
(2) 学習初期~中期に浮かんだ疑問の多くは、テキストが読めていなかったり聞けていないことで起きることが多い。疑問の箇所を読み、聞いていても、読めていない、聞けていない場合や、用語の定義等、より基礎的な知識が抜けている場合も多い。このため、他人に訊く前にテキストを広い範囲で丁寧に読み直し、口述講義を聞き直す必要がある。
(3) しっかり学習されている場合の疑問も、ご自身がいま居る場所の構造が分かっていないことから生じるものが多く、学習を積み重ねて視点が高くなれば自然に解決するか、あるいは受験対策として解決不要であることに気づくことが多い。
と、いう、主に3つの理由からです。
このため、私は社労士受験において、質問はしなくても良いと思っています。
何度も書きますが、疑問が生じて復習しても解決しなければ、封をして前に進んだ方が、多くの場合受験対策として得策だと思うからです。
それでも、なお、受験にとって解決が必要だと思う疑問があれば、質問されれば良いと思います。
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poo_zzzzz 2020-12-28 07:01:53