ニックネーム | *** 未ログイン ***
労災保険法/給付基礎日額について
500505 2020-12-28 17:18:09
テキストの条文を読み、以下のように考えたのですが、合っていますでしょうか。
①年金給付基礎日額のスライドは常に算定事由発生日の属する年度を基準として(つまり分母にして)比較することになるが、休業給付基礎日額のスライドは一度適用されたら、次はその適用された年度の前々年度を基準にする。そのため、適用に応じて基準も次へ次へと移っていく。
②年齢階層別の最低・最高限度額の規定は一時金の給付基礎日額への準用はない、とのことだが、この一時金は障害補償一時金と遺族補償一時金のことで、前払い一時金や差額一時金は含まれない。(つまり、前払い一時金や差額一時金では限度額の適用を受ける)
以上2点です。
よろしくお願いします。
まず、教材を見ていないことをお断りします。
①の理解は、書かれている範囲で、正しいと思います。
②の理解は、誤っているようです。
労災保険の保険給付の考え方の根底には、労働基準法の災害補償(労働基準法75条~88条)があります。
例えば、業務災害により労働者が1級の障害の状態になれば、労働基準法77条の規定により、使用者(事業主)は、労働者に平均賃金の1340日分の補償を、原則一時金でしなければなりません。
例えば、業務災害により労働者が死亡すれば、労働基準法79条の規定により、使用者(事業主)は、労働者の遺族に平均賃金の1000日分の補償を、原則一時金でしなければなりません。
これらの事業主が負う補償義務を、政府が肩代わりするのが労災保険です。
昭和40年代から労災保険の保険給付の一部が年金化され、それにより、労災保険の保険給付の一部は、労働基準法の補償よりもずいぶん手厚くなりました。
しかし、身体が不自由な労働者のために家を改装する必要があり、毎年受けるお金はしばらく止まっても良いから、今まとまったお金が欲しいという希望はあるかも知れませんね?
労働基準法の補償は原則一時金ですから、労災保険としては、「うちは1級から7級までは年金なので、それはできないんですよ」とは言いにくいです。
このため、まとまったお金を労働基準法の補償と同様に一時金で支給する、前払一時金の制度があります。
また、いくら年金が手厚いからと言っても、受給し始めて1年くらいで労働者や遺族が死亡したとしたら、労働基準法が一時金で定める補償水準に全然届かないでしょう?
このため、補償が足りない部分を一時金で支給する、差額一時金(法16条の6第1項2号の遺族一時金を含む。以下同じ)の制度があります。
前払一時金や差額一時金は、このように「労働基準法の一時金による災害補償」を意識した制度です。
そして労働基準法の災害補償は、被災労働者の年齢を問いません。
このため、前払一時金や差額一時金も、年齢階層別の最高最低限度額の適用を受けません。
教材のことは私には分からないですが、テキストの読み込みと同時に口述講義を聴いておられますか?
②の部分は、前払一時金も差額一時金(法16条の6第1項2号の遺族一時金を除く)も規定が法附則であり、テキストの法の本則の説明の中ではうまく書けていない可能性があります。
こういった部分をカバーして、理解しやすくするのが口述講義です。
口述講義はテキストの一部だと考えて、しっかり聴くことをお勧めします。
また、やま予備さんの場合、2人の講師の講義が聴けるはずですから、両方聴いてみられるのも良いかもしれません。
最後に、この質問広場は、社労士受験の学習に関することであれば、誰でも質問ができ、誰でも回答できる場です。
やま予備の講師の方や、スタッフの方が回答されるための場では無いようですので、念のため申し添えます。
参考になった:2人
poo_zzzzz 2020-12-28 23:52:49
すみません、回答内容の修正です。
①について「①の理解は、書かれている範囲で、正しいと思います。」と書きましたが、よく読むと誤っています。
きちんと読まずに回答して申し訳ありません。
> 次はその適用された年度の前々年度を基準にする。そのため、適用に応じて基準も次へ次へと移っていく。
基準が移動する点は合っています。しかし、基準の取り方は誤っています。
休業給付基礎日額の適用は、年度ではなく、四半期単位です。
このため、スライドの適用があった場合は、スライドにより改定された給付基礎日額を休業補償給付等の額の算定の基礎として用いる最初の四半期の前々四半期が、次のスライドの基準になります。
poo_zzzzz 2020-12-29 17:10:31
ご丁寧な回答をありがとうございました。
口述講義を聞き、テキストを読んだものの理解が及ばず質問させていただいた次第です。
前払い一時金や差額一時金が労基法の補償から導き出されるのはわかります。
労災法が労基法よりも手厚い補償になっていて、限度額もその一つだということもわかります。
でも、いざ障害補償年金をもらえるとなったときに、その人の給付日額がとても低ければ「年金でもらった方が得」となったり、逆に日額が高ければ「前払いでもらえる分まで貰っておく方が得」となったりすることにしっくりきませんでした。
何というか、制度を設ける以上、同じ水準で支給されるように整えるのではないかと思ったからです。
この点についてもやはり、補償の出処が違うから、という説明で飲み込むことになりますでしょうか。
また、追加のご解説もありがとうございました。
年度と四半期を書き間違えておりました。申し訳ございません。
変更のあった期以降は、その前々四半期と比較するようになり、変更があればその基準も四半期単位で移っていくという認識です。
500505 2020-12-29 18:24:49
> 給付日額がとても低ければ「年金でもらった方が得」
これは、年金制度の趣旨そのものですから、何の問題もないでしょう。
仮に前払一時金を受けたとしても、それによる年金の支給停止期間は前払された金額で決まります。
前払いを受けた日数で決まるのではありません。
前払いを受けた日数で年金の支給停止期間が決まると考えると「損ではないか?」と思ってしまいますが、そうではないのです。
基準は金額ですから、前払の給付基礎日額に年齢による最低限度が無く、前払額が低ければ年金の支給停止が早く終わりますから、損はありません。
> 逆に日額が高ければ「前払いでもらえる分まで貰っておく方が得」
これも違うと思います。
差額一時金(法16条の6第1項2号の遺族一時金を含む。以下同じ)も、年齢による最高限度額の影響を受けませんからね。
年金で受給し、受給権者が早くに亡くなった場合の差額一時金も高くなりますから、これは結局、年金で受給するのか、一時金を受けるのかの差だけです。
労災保険において、差引計算のような規定は割とあります。
障害の加重とかね。
これを日数の差し引きで考えると間違います。
金額に換算してから差し引きをするのです。
参考になった:2人
poo_zzzzz 2020-12-29 20:50:51
ご返答をありがとうございます。
両パターンにつき、それぞれよくわかりました。
他の場面でも「金額に換算して差し引きする」ことがあることを念頭において進めていきたいと思います。
ありがとうございました。
500505 2020-12-29 22:12:33