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うーん、質問者の方は、基礎的な事項が理解されているのか?理解できていないのか、分かりません。
下記に思いつくことを書きますので、考えてみてください。

なお、疑問が起きたときは、あなたの目の前にある「壁」が姿を現したときです。基本的な事項に遡ってテキストを読み直し、口述講義を聞き直してくださいね。

(1) 労災保険の請求時の労働保険番号についての過去問の出題は無いように思います。テキストにも、普通は載っていないような気がします。どういうきっかけで疑問を抱かれたのか分かりませんが、一般的な受験勉強の範囲外のことで疑問を抱き、受験勉強に影響させることは避けた方が良いと思います。

(2) 数次の請負の建設の事業における下請の労災事故で、元請の労働保険番号が使われる理由は、請負事業の一括が行われるからです。有期事業の一括は関係ありません。

(3) 徴収法が、建設の事業でのみ請負事業の一括を行う理由ですが、労働基準法(労災保険法ではない)が、建設現場で業務上傷病が起きた場合の補償責任を元請負人に負わせている(労基法87条、労基則48条の2)からです。

(4) このため、先にも書きましたが、建設業の下請事故で元請の労働保険番号を使用することは、請負事業の一括が起きるためで、有期事業の一括には関係がありません。

(5) 有期事業の一括は、事業主と行政の相互の事務の簡便化のために行います。
  有期事業は、開始後10日以内に保険関係成立届を提出し、20日以内に概算保険料申告書を提出し、概算保険料を納付し、事業終了後50日以内に確定保険料申告書を提出し、確定保険料を納付しますね?
  例えば一案家屋の修理ばかりしている工務店があった場合、半日で終わる壁の修理でもこれを全部行わなければならないとすれば、どうなりますか?
  毎日数件そんな工事があったら、工事が仕事なのか、書類を書くのが仕事なのか、分からなくなりそうでしょう?
  この手続きを受ける行政にとっても大変な手間です。
  このため、細かい工事を有期事業以外の事業の労働保険関係に組み込むことで、保険関係成立届を不要にし、申告納付も年度更新で行えば良いことにしています。これが有期事業の一括です。
  一括有期事業の労働保険関係は、たとえて言えば、細かい工事をポイポイ放り込むための「箱」みたいなものです。ポイポイ放り込んでおいて、年に1回年度更新で精算します。
  有期事業の一括は単に事務処理の簡便化のために行われますから、建設の事業の災害補償責任が元請にあることが理由である請負事業の一括とは、性格が全然違います。

(6) 建設の事業で有期事業の一括が行われる場合でも、個々の有期事業が数次の請負による場合は、一括される前の個々の有期事業で請負事業の一括が起き、請負事業の一括が行われた有期事業が有期事業の一括の対象になります。

(7) このため、A工務店が行う建設現場にB工務店が下請で入り、この工事がA工務店の有期事業の一括の対象になる場合に、B工務店の従業員が労災にあったら、A工務店の一括有期事業の労働保険番号(有期事業以外の事業の労働保険番号)を使うことになります。

(8) これは「有期事業の一括」であることが理由ではなく、有期事業の一括がなされる前の個々の有期事業で請負事業の一括が起きているからです。使用される労働保険番号が一括有期事業のものであるのは、請負事業の一括と有期事業の一括が重なったことによる、結果に過ぎません。

(9) 立木の伐採のことを言うと、立木の伐採を行うA社とB社があり、ある山主からA社が請け負った伐採に、B社が下請で入る場合でも、有期事業(立木の伐採)の労働保険関係は、A社とB社で別々に成立します。

(10) その場合に、A社B社のそれぞれが担当する仕事の規模により、A社B社それぞれの有期事業が、A社B社それぞれの一括有期事業に一括されるのか、A社B社それぞれの単独有期事業が成立するのかが決まります。A社の事業とB社の事業が一括されることはありません。

(11) 最後に、「林業」は一般的には有期事業以外の事業(いわゆる継続事業)です。苗木を育て、造林予定地の地拵えをし、苗木を移し、除伐や枝打や間伐といった工程を経て、やっと主伐を迎え、空いた用地で新たな造林の準備をします。木の種類によりますが、例えば杉や檜であれば主伐までだいたい40年~60年かかります。こういった数十年掛かる林業のサイクルの中で、ある程度大きく育った木を伐採する工程が、「立木の伐採」として独立した事業になり、有期事業になります。ちなみに、苗木を育てる工程は、その方法によっては林業ではなく農業に分類される場合があります。

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poo_zzzzz 2021-01-21 05:38:56

ご回答ありがとうございます。
有期事業一括で、厚生労働省令で定める規模(立木の伐採の事業にあっては、素材の見込生産量が1,000 立方メートル未満であり、建設の事業にあっては、請負金額が1 億8,000 万円未満であること。)の
記述があり、事業形態で考えれば数次の請負のに林業もなると考えていた。労働保険料を正確に見積もれないということで、このような徴収方法が認められていると覚えていた。建設業の元請けが法律上当然の元請けからの保険料徴収となるとすると、林業で立木の伐採の事業であれば、ご説明いただいた(9)ある山主からA社が請け負った伐採に、B社が下請で入る場合は、A社の労働保険になると考えていました。
本件で、説明いただいて、具体例にて、ご説明いただき、はっきりとわかりました。有期一括は同一事業所だし、請負一括は建設業のみだから、林業では下請けでも、単独の労働保険と理解しました。
ご丁寧な、ご説明いただき大変たすかりました。ありがとうございました。

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haru.koji.shimo  2021-01-21 13:10:01

> 請負のに林業もなると考えていた
これは間違っていません。というか、「請負」という形態は多くの業種であります。例えば、大きな工場の場合、工場内で複数の会社が業務をしていることはザラです。

ただ、ある事業の中に下請業者が仕事をする部分がある、と、いうことと、それらの事業の労働保険関係が一括される、と、いうことは別です。

もともと下請を使った事業は、同一の場所において業務が混在することにより危険が発生する可能性が高いため、元請事業者の責任は重くなります。
労働安全衛生法が特定事業(建設業、造船業)の現場で、特別な安全衛生管理体制を特定元請事業者に敷かせるのはそのためですし、特に建設事業については規模に応じて元方安全衛生管理者を置く等、現場の安全衛生管理に力を入れています。
特定事業以外の事業においても、労働安全衛生法30条の2で、一定の業種において作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置などの必要な措置を講じなければならない事を定めるほか、元方事業者の安全衛生管理責任を重くしています。

しかし、労働基準法が、請負による業務災害の補償責任を元請人のみに負わせるのは、建設事業だけです。
それだけ、請負による建設事業の元請事業者の責任が重いということです。

労働基準法が請負による建設事業における業務災害の補償責任を元請人のみに負わせているから、請負による建設事業の場合のみ、徴収法において、下請事業者の労災保険に係る労働保険関係が元請事業者に一括されるのです。
「請負だから → 一括される」のではありません。「請負による建設事業だから → 一括される」のです。
労災保険は、元々事業主が負うべき労基法の災害補償責任を国が肩代わりするための保険ですから、請負による建設事業の労災保険に係る労働保険料は、労基法の補償責任を負う元請事業者が負担するのが当然なのです。

このため、建設事業ではない事業の中に下請業者が仕事をする部分がある場合は、元請、下請、それぞれに、その事業の労働保険関係が成立します。
仮にそれが製造業(有期事業以外の事業。いわゆる継続事業)であり、例えば下請事業者が他の場所でも同種の製造業をしていれば、下請事業者の事業同士で継続事業の一括が可能です。継続事業の一括も事務の簡便化が目的ですが、一括するかどうかは事業主の任意です。
仮にそれが立木の伐採の事業(有期事業)であり、例えば下請事業者が他の場所でも立木の伐採をしていて要件を満たせば、下請事業者の事業同士で有期事業の一括が起きます。これは当然に一括されます。



> 労働保険料を正確に見積もれない
算定基礎額(賃金総額)が正確に見積もりがたいということは、必ずしも請負の形態があるということと一致しません。
例えば建設業の場合、全く下請を使わなくても、賃金総額が見積もりがたいことはよくあります。
例えば、A工務店が5つの工事現場を抱えていて、そこで働くBさんが、日にや時間によって5つの現場を掛け持ちし、さらには本社でも働くという場合、各現場におけるBさんの賃金はどうやって計算するのでしょう?
1人だけならできなくもないですが、Bさんみたいな労働者が数十人いれば、仕分けるのは大変ですよね?
そのような場合に、有期事業の賃金総額は請負金額から計算し、本社の賃金総額はその労働者の通常の本社での業務時間分(朝晩計2時間だけ本社で仕事をするのであれば、例えば賃金の8分の2)の賃金を組み入れるようなことをします。



「○○だから××」という論理を、自分で作ってはいけません。それは「思い込み」です。
それまでの学習で「そう見えていた」だけで、○○と××にはそんな関係は無いのかも知れません。
まず、疑うべきは、あなたが「知っていると思っていること」です。

先にも書きましたが、疑問が起きたときは、あなたの目の前にある「壁」が姿を現したときです。基本的な事項に遡ってテキストを読み直し、口述講義を聞き直さなければいけません。



蛇足です。
私は今回、「有期事業以外の事業」と書き、さらに必要に応じて「いわゆる継続事業」と書いています。
単に「継続事業」と書く場合もありますが、今回はそのように書く必要があったのでそうしました。

徴収法令上、「継続事業」という用語は、「継続事業の一括の条文の見出し」と「書類名」としてしか出てきません。
「有期事業の一括」という用語は、「有期事業の一括の条文の見出し」としてしか出てきませんし、「一括有期事業」という用語は、施行規則の条文の「見出し」と「書類名」としてしか出てきません。
これがどういうことかというと、事業の継続性についての区別は、徴収法上の概念として「有期事業か?、それ以外の事業か?」しかない、と、いうことです。
「有期事業」「一括有期事業」「継続事業」ではないのです。

有期事業の一括は、事務の簡便化のため、小さな有期事業を一括させ、その一括された事業を一つの期間の定めのない事業とみなして年度更新によって保険料の申告納付を行わせるものですから、一括有期事業は、徴収法上の事業の継続性については有期事業ではありません。

このため、一括そのものとそれに伴う手続きや書類に関することであれば、「有期事業」「一括有期事業」「継続事業」と書きますが、労働保険関係の概念的な部分を説明する場合は、「有期事業」「有期事業以外の事業」と書き、必要に応じて「(いわゆる継続事業)」と加えるようにしています。

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poo_zzzzz 2021-01-29 06:29:24



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