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労働保険徴収法/④労働保険徴収法について/雇用保険のみ成立の一元適用事業届出
junhonda_2001 2021-02-08 08:40:50
質問させていただきます。
一元適用事業で、雇用保険のみ成立している事業の届け出先は「所轄公共職業安定所長」となっていますが、これはどうしてでしょうか。
雇用保険は成立済ならば、成立していない労災を所轄労働基準監督署長に届け出するというならば理解できるのですが、雇用保険のみ成立の場合だけ、なんだかねじれている気がします。
どのように理解すればよろしいでしょうか。
最初に、教材を見ていないことをお断りします。
次に、学習中に起きた疑問に対する、私の考え方を述べます。
疑問が生じたときは、すでにあなたの目の前にあるが、普段は見えていない壁が姿を現すときです。
ご自身の頭の中の知識や常識で、疑問を解決しようとしてはいけません。
ご自身の知識や常識に問題があるのだと仮定して、テキストを基礎に遡って読みなおし、口述講義を聴き直してください。
また、特に初学の間は、生じた疑問を、その都度解決する必要はありません。
もちろん、テキストをしっかり読みなおし、口述講義を聴き直す必要はあります。
しかし、それでも解決しない場合は、基本的に、その疑問の解決は先送りです。
基本的なINPUT学習を終えると、過去問に取りかかります。
これはINPUT教材を卒業するのではありません。
学習の入り口が、テキストから過去問に変わり、過去問とテキストをループするだけです。
過去問を解き、解説を読む、でとどまらず、正誤にかかわらず必ずテキストに戻り復習してください。
それを繰り返すことで、テキストの内容がどのように出題されるのか、また出題において、テキストの複数の箇所がどのように関係するのかが解ってきます。
そうして、散らばった知識を、使えるように整理し、実戦に耐えるよう鍛えるのがOUTPUT(が入り口の)学習の目的です。
初学の段階で抱く疑問の多くは、この段階で解決し、または解決不要の判断で消滅します。
社労士受験の出題範囲は非常に広く、そのすべてを網羅する学習は極めて困難です。
このため、テキストと口述講義と過去問を中心に学習し、不必要な逸脱は避け、「受験に何が必要なのか?」を知り、対策することが何より大切です。
繰り返しますが、学習中に生じる疑問の多くは、テキストと過去問に習熟し、受験に必要な内容が理解できてくるにつれ消滅します。
「解決する」とは限りません。疑問の解決が受験に必要無い、と判断できて、消滅する場合もあります。
ですから、初学の間に生じる疑問は、テキストを読みなおし、口述講義を聴き直して解決しなければ、先送りすることをお勧めします。
さて、今回のご質問です。
届け先がどこか?を考える以前の、事業の成立についての理解が誤っています。
法4条に「その事業が開始された日に、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する」とあるはずです。
これは読まれているはずですが、これをどのように考えますか?
届けをして保険関係が成立するのではありません。
「事業開始」により、保険関係は、強制的に「成立してしまう」のです。
この保険関係の成立が、行政に自動で分かる訳がありませんね?
このため、保険関係が成立したことを、事業主が行政に「お知らせする」ために、保険関係成立届を出すのです。
これは、雇用保険に限らず、強制保険では一般的なことです。
そこに気づけば「一元適用事業で、雇用保険のみ成立している事業の届け出先は「所轄公共職業安定所長」である」ことに、疑問はないのではないですか?
また「雇用保険のみ成立の場合だけ、なんだかねじれている」と書いておられますが、なぜそう考えるのでしょう?
お手持ちのテキストには「一元適用事業で、労災保険に係る保険関係のみ成立している事業の届け先は、所轄労働基準監督署長」とは書いていないのでしょうか?
まぁ、シンプルにするために、それは書いていないことはあり得ますけどね・・・
仮にそれが書いていなくても、「一元適用事業で、労働保険事務組合に事務処理していない場合(雇用保険に係る保険関係のみに係るものを除く)の届け先は、所轄労働基準監督署長」であることは書いてあるはずです。
「一元適用事業で、労災保険に係る保険関係のみ成立している事業」は、ここに含まれますからね。
「書いていない」ことは「それがない」と、同じではありません。
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poo_zzzzz 2021-02-08 10:50:12
早速のご回答ありがとうございます。また、学習の考え方に対するご指導も感謝いたします。細かいことにとらわれずに進むことの大切さについて、理解いたしました。
ご質問させていただいた件については、強制適用であることを前提に、後付の届け出だと捉えると非常にスッキリしました。ありがとうございます。
テキストには「一元適用事業で、労災保険に係る保険関係のみ成立している事業の届け先は、所轄労働基準監督署長」という逆の記載はありませんでしたが、確かに、本件の逆もあると考えればスッキリしました。
ありがとうございました。
junhonda_2001 2021-02-08 11:02:28
コメントありがとうございます。
この機会に、一元適用事業と二元適用事業について説明しておきます。
こういう説明は、先に書いた、「学習中に起きた疑問に対する私の考え方」と矛盾すると思われるかも知れません。
しかし、合格された方でも誤解されている方がおられる部分であり、かつ、例えば継続事業の一括などはこの部分が理解できていないと分かりにくいので、老婆心ながら説明しておきます。
一元適用事業とは、現実に存在する1つの事業所に対し、1つの労働保険適用事業所が対応する関係です。
この場合の労働保険関係は、
① 労災保険のみに係る労働保険関係
② 雇用保険のみに係る労働保険関係
③ 労災保険及び雇用保険に係る労働保険関係
の3つに分かれます。
事業所に対する労働保険関係は、③であっても1つであることに気をつけてください。
法2条に「この法律において「労働保険」とは、「労災保険」及び「雇用保険」を総称する」という意味のことが書かれているのを再確認してください。
徴収法で「保険関係」といえば、「労働保険関係」「雇用保険関係」ではなく、あくまで「労働保険関係」であり、そこには常に労災保険と雇用保険が含まれます。
だから、「労災保険に係る保険関係」とか「雇用保険に係る保険関係」といった表現が「のみ」と付く場合も含めて多用されるのです。
脱線しましたが・・・
①は、例えば同居の家族で経営していて、雇用されているのは学生アルバイトのみで、雇用保険の被保険者がいない飲食店などが該当します。
ただし、今現在は、雇用保険の被保険者がいない場合でも③で届けることになっています。これは実務ですから受験には関係ありません。
②は、国が行う事業しか該当する事業がありません。
国が直接行う事業で使用される者には、国家公務員災害補償法が適用されるため、労災保険法が適用される余地がないのです。
もう過去の話ですが、郵政が独立する前は、お正月に年賀状を配達する学生アルバイトであっても、配達中に事故に遭えば、国家公務員災害補償法が適用されていました。
③は、一般的な商店や会社です。
なお、徴収法における労働保険関係の成立届と別に、雇用保険法に「雇用保険適用事業所設置届」があって、事業成立時に雇用保険被保険者となる者を雇用する場合は、徴収法の成立届とは別に、雇用保険適用事業所設置届と被保険者資格取得届を所轄公共職業安定所長に提出します。これは試験にも出ます。
労災保険法にはこのような手続きはありません。
二元適用事業は、現実に存在する1つの事業所を、仮想の2つの事業所であると考える関係です。
仮想の2つの事業所の、それぞれ1つに対し、1つの労働保険適用事業所が対応します。
つまり、仮想の2つの適用事業所の、片方に労災保険に係る労働保険関係が成立し、もう片方に雇用保険に係る労働保険関係が成立します。
現実には1つの事業所が、徴収法上は、労災保険に係る労働保険関係が成立している事業所と、雇用保険に係る労働保険関係が成立している事業所の、2つの事業所があるように扱われるのです。
ここ、多くの方が、1つの適用事業所に、労災保険に係る労働保険関係と、雇用保険に係る労働保険関係の、2つの労働保険関係が成立すると考えておられますが、そうではありません。
適用事業所と労働保険関係の対応は、一元適用事業と同じく1対1なのです。
この場合も、雇用保険被保険者となる者がない場合は、労災保険に係る労働保険関係が成立している事業のみの扱いになります。
二元適用事業において、現実に存在する1つの事業所に対し、雇用保険に係る労働保険関係が成立している事業所のみが存在することは、制度上ありません。
二元適用事業は法39条の限定列挙であり、そこに「国が行う事業」はないからです。
参考になった:7人
poo_zzzzz 2021-02-08 12:05:29
さらなる追加のコメントありがとうございます。
正直、労災のみ、雇用のみの例示ができかねていたので、大変勉強になりました。
また、二元適用に雇用のみがないなど、理解が進み、かなり頭がスッキリしてきました。ありがとうございました。
junhonda_2001 2021-02-08 21:40:45