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労災保険法/実施主体について
aokisan 2021-03-08 14:04:07
過去問を解いていて実施主体の捉え方がわからなくなってしまいました。
H23-05Eでアフターケアの費用の請求方法が問われており、解説に「アフターケアに要した費用は、労災診療費算定基準に準拠し、、、実施医療機関等の所在地を管轄する都道府県労働局長に請求する」とあります。
「労災診療費算定基準に準拠」から、療養の給付や、療養の費用の給付と同じ流れになるということかと思うのですが、療養の給付や療養の費用の給付は医療機関の窓口経由で労働基準監督署に行きつくと学びました。
矛盾が生じます。
療養の給付等も社会復帰促進等事業も実施主体はどちらも政府ですよね?
ということは、療養の給付等では労働基準監督署も経由であり、最終都道府県労働局が行きつく先になるのでしょうか?
そう考えると、「二次健康診断等給付の実施は都道府県労働局長」と区別するよう学んだのですが、そこの区別の意味がなくなってしまいます。
以上から、私の理解がどこかで間違っているのだと思い、でもそれがどこなのかわからず困っております。
ご指摘をお願い致します。
まず、教材を見ていないことをお断りします。
平成23年の問5は「労災保険法第29条に規定する社会復帰促進等事業として、厚生労働省労働基準局長通知(「社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要領の制定について」平成19年4月23日付け基発第0423002号。以下「基発第0423002号通知」という。)に基づいて実施するアフターケアについての次の記述のうち誤っているものはどれか。なお、本問において、「実施医療機関等」とは労災病院、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、労災保険法施行規則第11条の規定により指定された病院若しくは診療所又は薬局のこと、また、「健康管理手帳」とは炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則に定める様式第4号及び基発第0423002号通知に定める様式第1号の健康管理手帳のことをいう。」という問題でした。
そして、そのE肢は「実施医療機関等は、アフターケアに要した費用を請求するときは、所定の方法により算定した毎月分の費用の額を所定の請求書に記載の上、当該実施医療機関等の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出する」という内容でした。
「実施医療機関等は、」とあるのですから、E肢は、実施医療機関から政府への費用請求の話です。
実施医療機関から政府への費用請求の話ですから、療養の給付の場合と比較するなら、指定医療機関から政府への費用請求でしょう?
なぜ、労働者が行う療養の給付の請求との比較になるのでしょうか?
療養の給付は現物給付です。
これは労災保険・健康保険共通の「基礎知識」でしょう?
労働者は費用を請求しません。「ケガ(病気)したから治療してくれ」と「療養そのもの」を請求するのです。
医療機関からの費用請求との比較には意味がありません。
療養の費用請求書と比較するなら、わかります。
これは、指定医療機関以外で療養を受けた場合に、いったん被災労働者が医療機関に費用を全額支払い、政府から支給を受けます。
請求書に医師が診療内容を証明し、それに基づいて給付されますから、療養の費用の支給の請求書は、文字通り「被災労働者から政府への費用請求書」です。
指定された医療機関ではなく、個々の労働者が請求し、支払業務も行うため、事務が細かく煩雑になります。
このため請求先が局長ではなく、対労働者の窓口である監督署の署長なのも理解できると思います。
なお、書類上の請求先も署長です。
療養の給付について指定医療機関が費用請求を行う場合は、診療内容を「労災診療費算定基準」に従って点数化し、被災労働者ごとに「診療費請求内訳書」に記載します。
なお、労災保険の場合も診療報酬の基準は健康保険の診療報酬点数表です。
労災診療費算定基準は、健康保険の診療報酬点数表が基本であることが書かれていると共に、診療単価が異なり、さらに項目ごとに健康保険と異なる点があるため、それについて書かれています。
そして、指定医療機関ごとの「労災診療費請求書」に、その月に診察した被災労働者全員分の「診療費請求内訳書」を添えて、指定医療機関所在地を管轄する労働局長に請求します。
そして、ある被災労働者が初回請求の場合は、これに労働者が指定医療機関に提出した「療養の給付請求書」を添付します。
ここに「療養の給付請求書」が出てきます。
労働者が提出する「療養の給付請求書」には事故内容と事業主の証明が書かれているだけです。
費用の内容は書かれていません。このため、添付されるのは初回の請求だけです。
また、今回のご質問は過去問ではなく、過去問の解説における疑問でしょうか?
出版物の内容に良否に言及することは避けたいと思いますが、まず、労災診療費算定基準は、労災診療に係る点数や診療単価を定めたものです。
文字通り、費用の算定のためのマニュアルですから、請求書等の提出先などのことは書かれていません。
あなたは「「労災診療費算定基準に準拠」から、療養の給付や、療養の費用の給付と同じ流れになるということかと思う」と書かれていますが、「労災診療費算定基準に準拠する」ことを根拠に、書類の提出先を論じることはできません。
「労災診療費算定基準の内容を知らなかった」とは言わないでくださいね。
テキストにはないと思うので、知らなくて当たり前なのです。
でも、あなたがその気になって「労災診療費算定基準」を検索していたら、内容は読むことができたはずです。
https://www.mhlw.go.jp/content/000728687.pdf
テキストと口述講義の範囲を超えた知識を得たいなら、まず自助努力だと、私は思います。
それを調べもせず、あなたは、あなたの既存の知識で考えて「矛盾が生じます」と言っておられます。
おかしくないですか?
普通はテキストにはないはずのものですから、疑問を持つなら、それが何か?からではないのですか?
また、こういった細かい知識は必ずしも得る必要はありません。
3週間くらい前に、私はあなたに
-------------------
疑問が起きたときは、それまでのご自身の知識に誤りがあるのではないか?足りない部分があるのではないか?と考えるのがセオリーです。
そして、解説やテキストを読み、「ああ、そうなんだ!」で知識を更新して先に進むのです。
理解できないのは、それまでの知識に縛られるからです。
---略---
解説がご自身の思っている内容と違っても、問題と矛盾しないなら、書かれているままに知識を更新して先に進めば良いだけです。
「なぜ?」は合格してからで充分です。
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と書いて、あなたのコメントをいただけていませんが、私のアドバイスは生かしていただけないのでしょうか?
ご自身で調べないなら、テキストと口述講義、そして過去問解説の範囲で丁寧に復習し、それでも解決できない疑問は先送りしてください。
そこにない知識は、受験には必要性の薄い可能性が高い知識です。
拘ることは受験にマイナスになりやすいですし、調べるなら、ご自身で体系的に調べるべきです。
疑問点だけの知識を断片的に得ても、それはトリビアに過ぎません。
ただ、今回「療養の給付の請求」が「療養そのものの請求であって費用請求ではない」ことに気づいておられなかった節があるのは残念です。
この基礎的事項がきちんと理解できていれば「療養の給付の請求」と「労災診療費算定基準」に関係が無いであろうことは、名称で感づいたと思います。
E肢の解説に「労災診療費算定基準」が書いてあるなら、おそらくは平成23年の問5の問題文にある「基発第0423002号通知」の内容を抜粋しただけだと思います。
この通知には「アフターケアに要する費用の額の算定方法は、労災診療費算定基準(昭和51年1月13日付け基発第72号)に準拠することとする」の文言があります。
E肢は医療機関からの費用請求の問題なのですから、費用の算定は労災診療費算定基準に準拠し、医療機関管轄の都道府県労働局長に請求するということで辻褄は合います。
ちなみに「社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要領の制定について」(基発第0423002号通知)の内容もネットで検索できます。
最後に、択一の過去問で疑問が生じたら、出題時の問そのものと、その下のA~E(ア~オ)肢を確認されることをお勧めします。
私見ですが、平成23年の問5は、「労災保険はこんなこともやってるんだよ。ちょっと知っておいてね。」程度の感覚で出された問題で、内容の正確な知識をすでに持っていることを期待した問題ではないと思っています。
仮に正解できなくても合否に影響するとは思えませんし、よく読むとA肢だけ毛色が違うので、「サリンはともかく精神疾患は対象じゃないかなぁ」程度の勘で拾えた問題だと思います。
少なくともE肢は、「医療機関が毎月、何人もの分をまとめて請求する」という事を考えて読めば、会社の所在地や労働者の居住地の官庁にバラバラに請求するとは考えにくいですし、請求を受ける側から考えた時に、例えば健康保険の診療報酬請求を受けるのは都道府県の診療報酬支払基金ですから、労災保険の場合に医療機関管轄労働局長が誤とは考えにくいはずです。
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poo_zzzzz 2021-03-08 18:48:15
ご回答ありがとうございます。
尋ね方が悪かったのかもしれませんが、「最終的に費用はどこからでるのか?」について混乱していた次第です。
請求するのが労働者からであれ、実施医療機関からであれ費用を持つところが知りたかったので療養の給付、療養の費用の給付と比較しました。
(解説の『労災診療費算定基準』については細かくとらえるのはやめて、「労災診療の流れに準じている」くらいの意味で考えました。そのため、この2つと比較したのですが、、、ただこれは、算定基準とあるとおり、算定に関することについてのみの基準だったのですね、すみません。)
今回のご回答の
「実施医療機関等は、」とあるのですから、E肢は、実施医療機関から政府への費用請求の話です。
についてですが、政府と書かれているということは、政府と都道府県労働局はイコールなのでしょうか。
そう考えると、労働基準監督署も労働局の一機関のようですが、政府と示される場合もあるのでしょうか。
また、二次健康診断等給付は都道府県労働局長が行うと学びましたが、政府=都道府県労働局であるなら、二次健康診断等給付も政府が行う、になるのではないでしょうか。
たぶん考え違いをしているのだろうと思うのですが、どこがわかっていないのか、よくわかりません。
ご指摘くださるとありがたいです。
aokisan 2021-03-08 21:45:10
法2条 労働者災害補償保険は、政府が、これを管掌する。
政府が管掌するのですから、労災保険の実施主体は政府です。
これはあなたご自身が「療養の給付等も社会復帰促進等事業も実施主体はどちらも政府ですよね?」と書いておられますよね?
ならば費用は国庫(労働保険特別会計)が支出するのが当然であり、国庫が支出するのですから負担するのは政府で当然ではないですか?
「最終的に誰が費用を負担するのか?」がテーマなら、もう、はじめから質問になっていませんよ。
「政府と都道府県労働局はイコールなのでしょうか?」という疑問も意味が分かりません。
厚生労働省は政府の行政機関であり、都道府県労働局はその下部組織ですから、例えば都道府県労働局長に何かをする、または都道府県労働局長が何かをする、ということと、その「何か」が政府の管掌であることは矛盾しません。
会社が銀行から融資を受ける場合に、申込書を銀行の支店に提出し、その支店の支店長の決裁で融資が下りた場合でも、その会社は銀行からお金を借りているのでしょう?
まさかそんなことを疑問に思っておられるとは思いませんから、私は請求書の流れで疑問を持っておられると考えました。
「二次健康診断等給付は都道府県労働局長が行うと学びました」と書かれていますが、あとで書きますが施行規則(則11条の3)にはそんなこと書いていませんよ。
則18条の19に「二次健康診断等給付を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書・・・・病院又は診療所(以下「健診給付病院等」という。)を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならない」とあるだけです。
これは給付の実施ではなく、請求書の提出先と経由の規定です。
都道府県労働局や労働基準監督署は厚生労働省の地方支分部局であり、労働基準監督署は都道府県労働局の下部にある補助組織です。
いずれにせよ、そこで執行される予算は国庫から出ており、労災保険・雇用保険に係る費用は労働保険特別会計の支出です。
地方支分部局というのは、ある省庁が行う業務を各地方で実施するための機関で、省庁自体の下部組織です。
都道府県労働局であれば、厚生労働省の下部組織で、その中に労働基準、職業安定、雇用環境均等等、厚生労働省にある部局の多くを持っています。
ラインは、例えば労働基準行政であれば、厚生労働省労働基準局→都道府県労働局労働基準部→労働基準監督署のようになります。
都道府県労働局は、いわば厚生労働省を本社とした場合の支店であり、労働基準監督署はその下部にある、労働基準行政に特化した窓口のようなものです。
労災保険は労働基準法の災害補償義務を保険化したものですから、請求書・申請書の受付等は基本的に労働基準監督署が受けます。
二次健康診断等給付は健診給付病院等が実施します。現物給付なのですからね。
則11条の3にも「法の規定による二次健康診断等給付は、法第29条第1項の社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所において行う」とあります。都道府県労働局長が実施するとは書いていません。
これは、健康保険において、療養の給付を、被保険者が選択する保健医療機関等から受ける(法63条3項)というのと同じ意味です。
この意味で言えば、二次健康診断等給付の実施者は健診給付病院等です。
しかし、健診給付病院等はその費用を誰かに支払ってもらわなければなりません。
健診給付病院等は、労働者から二次健康診断等給付の請求書を受け、これに費用の請求内容を添えて都道府県労働局長に請求します。
これは、療養の給付の場合に、指定医療機関からの請求が療養補償給付請求書を添えて都道府県労働局長に行くのと同じ流れです。
つまり、費用請求の流れだけを追った場合は、療養の給付も、二次健康診断等給付も、アフターケアも、大体同じで、行き着く先は医療機関等を管轄する都道府県労働局長です。
しかし、それは業務上の流れに過ぎません。
費用を支出するのは、当然ですが国庫(労働保険特別会計)ですから、費用の負担者は誰か?といえば、政府です。
その意味で言えば、二次健康診断等給付の実施者もまた政府です。
ただ、受験対策的には法2条と則18条の19と則11条の3の通りを知っていればよく、それをどのように解釈するかは重要ではありません。
それよりもお尋ねの点で受験対策的に重要なのは、労働者から見た請求先がどこか?ということです。
療養の給付の請求先は、療養の費用の支給と同じく、事業所を管轄する労働基準監督署長です。書式もそうなっています。
先にも述べたとおり、療養の給付の請求書は医療機関の請求書と共に都道府県労働局に行くのですが、これは医療機関の請求の手間を考えた実務上の流れです。
書類は、労働局から事業所の所在地を管轄する労働基準監督署に戻ります。
労働基準監督署は、業務災害や通勤災害の内容について、労働者や事業主や医療機関に必要な問い合わせをし、場合によっては現地調査をします。
それを元に業務災害(通勤災害)であることを認定するのは、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長です。
療養の給付の請求書が、労働者から指定医療機関等を通じて事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長に提出なのはこのためです。
二次健康診断等給付は、一次健康診断で異常の所見があったかどうかだけが問題になりますから、業務上外の審査がありません。
ですから請求書は健診給付病院等から都道府県労働局長に回って終わりです。
このため、二次健康診断等給付の請求書は、労働者が健診給付病院等を通じて都道府県労働局長に提出です。
アフターケアには労働者からの請求書はありません。
事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長が、アフターケアの対象予定者を都道府県労働局長に報告し、対象と認められれば健康管理手帳が交付され、労働者はその手帳でアフターケアを受けることができます。
このことは平成23年の問5全体を見れば解ることです。
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poo_zzzzz 2021-03-09 02:42:45