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まず最初に、お尋ねの部分は、日給者であっても、時給者であっても、毎月定額の通勤手当を受ける月給者であっても、本質的に同じです。



年次有給休暇中の賃金支払において、通勤手当等の実費弁済的な賃金の扱いについて、その実費負担がない場合は支払わない、とすることの可否は、法令にも通達にも最高裁判例にもありません。

つまりこれは社会通念的な一般常識に頼ることになるわけですが、年次有給休暇の意義が、簡単に言うと、賃金を保障したまま休暇を与え、労働者をリフレッシュさせようという点にあるところから、年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金が「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」の場合、休暇を取得したことによって、通常に出勤して所定労働時間労働した場合よりも、得になるような賃金支払を使用者が強要される趣旨ではないと解されます。

つまり、法令には書かれていないが、実費弁済的な賃金については、その実費の発生がない場合は、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」に必ずしも含めなくてもよい、という解釈が成り立ちます。

これについては、先に書いたように最高裁判例はないのですが、地裁判例でこの部分に触れた部分があり、S51.3.4横浜地裁判例(大瀬工業事件)に「不支給となる当該手当が、労働者が現実に出勤して労働したことの故に支払われる実質補償的性格の手当(例えば、通勤費の実績支給を内容とする通勤手当など)でない限りは…」という言及があり、この判決文からは、通勤費の実績支給を内容とする通勤手当については、年次有給休暇の取得を理由として不支給であっても可とする姿勢が見えます。

しかし、これはあくまで、労働契約(就業規則で定められる場合を含む)で、通勤手当の実費弁済的な性格を明確にして、労働者が現実に出勤して労働した場合のみ支給するという契約内容である場合に限られます。

はじめから「現実に出勤し、労働しなければ通勤手当は払わない」と契約上明確なのですから、年次有給休暇を取得した日について通勤手当相当額を支払わなくても、「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにした」ことにはなりません。

この場合、当然のことながら、欠勤や慶弔休暇の場合も、他に特段の理由がない限り、通勤手当の減額はしなければなりません。

欠勤や慶弔休暇の場合に通勤手当の減額をしないなら、年次有給休暇を取得した日について通勤手当相当額を支払わないことは、「年次有給休暇の取得の故の減額」になると思われます。

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poo_zzzzz 2016-11-27 15:46:58

poo_zzzzz先生(かと思われます)
ご回答有難うございました。
実費負担がない場合は支払わない、とすることの可否は、法令にも通達にも最高裁判例にも存在しないのですね。
地裁判決で触れたことがあるというレベルとは・・・。争った人っていないんですね。

要は労働契約や就業規則等で実費弁済的な性格を明確にしないといけなくて、
現実に出勤して労働した場合のみ通勤費を支給するという契約内容を明記してないと、
会社側は、年休の通勤費支給しないと、法的に争われた場合、危ない危険性が
出てくるという事と、解釈しました。

こんな解釈で合っていると思うのですが。
とにかくご回答とても感謝いたします。有難うございます。

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mandolao  2016-11-27 23:27:01



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