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国民年金法/老齢基礎年金と老齢厚生年金の同時繰上げ
piyotyan3517 2021-05-10 02:32:24
老齢基礎年金と老齢厚生年金の同時繰上げ支給について教えてください。
老齢基礎年金の支給繰上げをする場合、繰上げ可能な老齢厚生年金は、同時に行わなければならないとなっていますが、
繰り下げの場合は、同時に行う必要はないと言うことになっています。
どのような事情で、繰上げ支給時のみ同時に行わなければならないのでしょうか?
特別請求の老齢厚生年金に関係しているのかなとは思うのですが・・。
宜しくお願いします。
これについて明確な回答をするのは難しいです。
厚年法附則7条の3の(本来の)老齢厚生年金の支給繰上げは平成12年改正で平成14年4月1日施行ですが、対象者が昭和36年以降(男性)生まれなので、対象者がいません。
しかも、この平成12年改正(平成14年4月1日施行部分)で、老齢厚生年金の支給繰下げが「廃止」されたのです。
そして平成16年法改正(平成19年4月1日施行部分)で、老齢厚生年金の支給繰下げが現行の形で「復活」しました。
支給繰下げが廃止されたのは、平成14年4月1日に厚生年金保険の加入年齢が65歳から70歳に引き上げられ、65歳から70歳の間が在職調整の対象となったため、と、当時の資料にあります。
しかし、現行法では支給繰下げできますので、どうやらこの当時、「ややこしい」と考えられたのが理由のようです。
復活は、より高い年齢まで働く方が増えたのと、年金財政上の要望だと思います。復活当時の資料を捨ててしまったので私見ですが。
今現在行われているの老齢厚生年金の支給繰上げは、経過的な措置です。
もともと、平成12年改正までは、老齢厚生年金に支給繰上げは無かったのですよ。
報酬比例部分の支給開始年齢の繰下げが決まり、これに伴って、経過的な老齢厚生年金の支給繰上げ制度(特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の繰上げ)制度ができました。
上記のように、平成12年改正(平成14年4月1日施行)の前は、本来の老齢厚生年金の支給繰上げも、経過的な老齢厚生年金の支給繰上げも、「制度が無かった」のです。
そして逆に、同じタイミングで老齢厚生年金の支給繰下げの制度が無くなりました。
この平成12年改正(平成14年4月1日施行)を、このあと「改正時」といいます。
特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)だけを繰上げることができないのは、解りますか?
例えば、64歳から年80万円の報酬比例部分を受ける者が、これを60歳に4年間繰上げた場合、24%減(76%支給)ですから、年60.8万円ですね?
60歳から64歳まで5年間これを受けたら、304万円になります。
64歳の1年間だけの80万円の年金が、支給繰上げで304万円に化けたら、おかしいでしょう?
このため、支給繰上げには必ず65歳からの本来の老齢厚生年金の支給繰上げが伴います。
この者が昭和16年4月2日から昭和24年4月1日(女性5年遅れ)の場合、65歳未満で定額部分が存在します。
今は年齢的な問題でテキストには載っていない場合があると思いますが、改正時、この者は定額部分の一部繰上げが可能だったのです。
簡単に言うと、特別支給の老齢厚生年金の定額部分と、老齢基礎年金を、共に一部繰り上げて支給する制度です。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20150313.html
このURLの、(2)一部繰上げです。
ここからはすべて私見です。
・昭和16年4月1日前(女性は5年遅れ)生まれの場合は60歳から定額部分が支給されていたため、老齢厚生年金の支給繰上げは考える必要が無かった。
→ 特別支給の老齢厚生年金が加入年数により低額の場合、これを諦めることで老齢基礎年金の支給繰上げは可能。
・改正時に、昭和16年4月1日以後(女性は5年遅れ)生まれの場合は、65歳以降の老齢厚生年金と一体で特別支給の老齢厚生年金を繰上げる制度ができた。
→ この場合の特別支給の老齢厚生年金に、定額部分が支給される場合は、これを諦めるか、老齢基礎年金と共に一部繰上げすることができた。
→ 同時に、本来の老齢厚生年金支給繰上げ制度もできた。
・ 改正時に、支給繰下げの制度は廃止された。
改正時にできた支給繰上げは、定額部分の扱いを伴う場合があるため、老齢厚生年金と老齢基礎年金と同時の支給繰上げの制度とされた、と、いうあたりが、お尋ねの「理由」ではないかと思っています。
私はこの当時、受験対策校の講師でしたが、定額部分を伴う場合の制度が非常に複雑で、老齢基礎年金と同時であることは当然であるような印象だったのを覚えています。
しかも、改正時に支給繰下げの制度は廃止でしたから、繰上げと繰下げとの整合性を考える必要は無かったのです。
さらにいうと、そもそも廃止前の支給繰下げは、老齢基礎年金と同時でしたからね。その意味でも支給繰上げが同時と規定されたのは自然でした。
こういった状況で、この時点では、特に疑問も無く、老齢厚生年金と老齢基礎年金の支給繰上げは、同時という規定が置かれたのではないかな?、と、思います。
平成16年法改正(平成19年4月1日施行部分)で、経過的な老齢厚生年金の支給繰上げ制度(報酬比例部分の繰上げ)制度ができ、老齢厚生年金の支給繰下げが現行の形で復活しました。
改正時に廃止される前の支給繰下げは老齢基礎年金と同時だったのですが、復活した支給繰下げは老齢基礎年金と関係なく行えることになりました。
しかしこの時に、支給繰上げの制度はこの点について変更されませんでした。
なぜ、支給繰下げが同時でなくてもよくなり、支給繰上げが変更されなかったのかは、私には分かりません。
支給繰下げが同時でなくてもよくなったのは、より高い年齢まで働く社会を見据え、選択肢を増やしたのではないかと思います。
しかし、働き方の多様化を考えれば、私の考えでは、厚年法附則7条の3の本来の老齢厚生年金(65歳以降)の繰上げは、老齢基礎年金と関係なく行えるべきものだと思います。
もしかすると次の改正(令和5年?)で変わるかなぁ、と、個人的には思っています。
お尋ねの点についての回答は以上です。
ところで、「どのような事情」を知ることで、受験対策上のメリットはありますか?
わたしは「すごく役に立つ」と思っていたので、受験生時代はかなりこちらに走っていました。
しかし、法令の系統だった学習には非常な時間が掛かります。
私は事情が許したのでそれをしましたが、合格を考えるなら弊害の方が大きかったと今は断言できます。
今はインターネットで審議会の資料が見られるので、法改正の経緯を「私見」ではなく、できるだけ「事実」として知りたければ、審議会の議事録を漁ることになります。
事実はしばしば最終の発表資料には出ませんからね。議事録も怪しいですが(笑)
いずれにせよ、こういった疑問に答えを求めることは、受験対策としては時間・費用対効果の点で、全く割に合いません。
また、こういった学習をするメリットは、歴史的な経緯と法令の構造を知り、考え方を知る、又は推論することで、暗記ではなく「こうなって当たり前」みたいな感覚で法令を理解できることです。
このため、歴史的な背景や法律の構成を順序よく学習をするのでなければ意味がありません。
部分的な事情を他人から聞いて知っても、それはトリビアに過ぎず、受験対策として役に立つとは思えません。
合格のためのアドバイスとしては、択一式の受験対策は、良質のテキストと口述講義、そして過去問があれば十分で、そこにない事項は、受験期間は先送りすべきだということです。
テキストと口述講義は、受験に必要な部分を学習しやすいように伝え、受験に必要性が薄い部分をカットした、受験に特化した「武器」です。
学ぶべき事が膨大であるために、整理し、精選しているのですから、そこにないことを知ろうとすることは、この「武器」の長所を殺すことであり、うかつにすべきではありません。
合格されてから、仕事に必要であれば、興味のある部分を、ご自身で研究されたら良いと思います。
ここで質問すると言うことは、誰とも知らない赤の他人の知識と時間と労力を借りることです。
知る必要があるのであれば、まず、ご自身でできることを十分にされてからだと思います。
最後に、2019-11-08のあなたのご質問に私は回答し、コメントをいただいていませんが、理解できたのでしょうか?
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poo_zzzzz 2021-05-10 15:05:08
厚年法の支給繰上げについての法改正の状況についての詳細な解説を有難うございました。
特別支給の老齢厚生年金の繰上げをする際の年金額を計算する方法を調べると、この際には、老齢基礎年金の繰上げ計算が切り離せないと言うことがよくわかりました。
特別支給の老齢厚生年金の繰上げをする際の年金額を計算する方法については、以前にも調べて目を通していたのですが、老齢基礎年金と老齢厚生年の同時繰上とは結びつきませんでした。
繰上げと繰り下げのどちらが同時じゃないといけないのかが、問題に行き当たるたびに迷い、中々頭にインプットできないものですから、記憶の端緒にできればと質問させていただきました。
これほどの量と密度の情報が背景があるのかと息をのみました。
このご回答を読ませていただき頭に焼きつきました。
心より感謝申しあげます。
また、受験対策上のアドバイスも有難うございます。
機械的な記憶を心掛けているのですが、どうしても脇道に逸れてしまいました。
貴重なお時間を申し訳ありませんでした。お許しください。
2019.11.08.にさせていただいた
「老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給は認められるのでしょうか。?」
の質問にたいして
『前にお話ししましたように、テキストをしっかり遡り、口述講義も聴き直して、基本的なことから復習し直しましたか?
復習し直してテキストの範囲でしっかり理解しても、なお、制度趣旨の点で、説明してもらわないと納得しにくい部分ではあります。
しかし、「併給できるかどうか?」の点だけであれば、これは基礎であり、テキストにきっちり載っているはずですので、今のあなたの質問に答えることはできません。』
とのご回答いただいた後、何のお礼も、その後の進捗状況のご報告もせず、失礼の段をお詫びいたします。
ご回答をいただいた後、次にどのように質問をさせていただこうかと思案しているうちに時間がすぎてしまいました。申し訳ございません。
私が使っているテキストで、
6遺族構成年金
③遺族厚生年金の額
1原則の遺族厚生年金の額
2老齢厚生年金の受給権を有する65歳以上の配偶者の遺族厚生年金の額
3遺族厚生年金の支給停止
と言う流れで加かれている箇所を読んでいるところでこの質問をさせていただきました。
突然テキストに2 『老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給』と言うような記述が出てきた上に、『実際には支払われない遺族厚生年金の計算値』が出てきて、
さらに、3 『その計算値の遺族厚生年金と老齢厚生年金の差額を遺族厚生年金として+老齢厚生年金』を支給
(老齢厚生年金相当額の遺族厚生年金は支給停止)と続いています。
当初は、2と3は、別のことを説明しているのかと思い全く意味不明だったのですが、最近、2と3は、一つのことを説明していることの気づき、多少つながりが見えてきたのですが、
まだ、どのように質問させていただいたら良いのか整理がついておりません。
このような状況ですが、知識を拝借させていただけるところまで到達できた節には宜しくお願いいたします。
piyotyan3517 2021-05-11 01:38:39
テキストに載っていない疑問が生じたら、付箋でも貼って先に送れば良いんです。
受験に必要な内容なら、過去問とテキストの往復を繰り返す中で気付きがある可能性が高いですし、それがない事項なら、受験にとって重要ではない可能性が高いはずです。
テキストと口述講義と過去問の範囲で学習するようにしてください。
> これほどの量と密度の情報が背景があるのかと息をのみました。
歴史的な経緯と法令の構造を知り、考え方を知る、または推論するのであれば、この程度のボリュームになることはよくあることです。
しかもこれは、誰かが釣った魚をもらってもあまり意味がありません。
あなたが魚を釣れるようにならなければならないのですから、手を広げすぎるべきではないと思います。
遺族厚生年金と老齢厚生年金ですが、まず、基本的な用語の意味をしっかり考えていますか?
「併給の調整」と「支給停止」は、結果的に共に支給停止を伴いますが、制度は別です。
併給調整により、A年金とB年金が併給されない、と、言う場合、A年金とB年金は共に支給停止され、受給権者が選択してどちらかの支給停止を解除します。
併給調整がなく、A年金とB年金が併給される、と、いう場合、その時点ではA年金もB年金も支給停止されません。
しかし、A年金とB年金の額の計算を見る場合に、併給されることで、どちらかの年金(ここではB年金としましょう)が一部支給停止される場合があります。
そして、支給停止の割合が大きくなり、結果としてB年金が全額支給停止になったとしても、それは支給額の計算で生じたことであり、併給調整ではありません。
つまり、A年金との併給により、B年金の計算過程でB年金が全額支給停止される場合があっても、それは支給額の計算結果に過ぎず、「A年金とB年金は併給される」のです。
「突然テキストに2 『老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給』と言うような記述が出てきた」と、驚いたように書かれていますが、テキストのずっと前半に併給調整(法38条)があるでしょう?
どのようなテキストであっても、併給調整(法38条)を見れば、65歳以上の老齢厚生年金と遺族厚生年金は併給されるとあるはずです。
「併給」という言葉で引っかかったなら、一旦遺族厚生年金を離れて、通則事項である「併給調整」に戻って確認するのは、当然の姿勢だと思うのですが、違うでしょうか?
疑問が生じたのに、疑問の生じた遺族厚生年金の前後しか見ないで、テキストの前半の基本部分に戻ろうとしないから解決しません。
さて、例えば単純に65歳以上で老齢厚生年金が80万円、遺族厚生年金が100万円であれば、この2つの年金は法38条の併給調整にかかりませんから併給されます。
しかし、遺族厚生年金の内80万円は支給停止され、老齢厚生年金80万円と遺族厚生年金20万円が支給されます。
この場合の老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給額は、結果的に遺族厚生年金の100万円と同額であることに注意してください。
数字が逆で、老齢厚生年金が100万円、遺族厚生年金が80万円であれば、遺族厚生年金は全額支給停止され、老齢厚生年金のみが支給されます。
何度も言いますが、この支給停止は併給調整ではありません。支給額の計算結果として起きた支給停止に過ぎないのです。
しかしね・・・
併給されない(併給調整)のなら、どちらの年金を受給するかは自分で選べます。
65歳以上の老齢厚生年金と遺族厚生年金は、併給されるために受給する年金を選べません。
で、あるのに、支給額の計算で遺族厚生年金の支給停止を行い、結果的にどちらか高い方の年金額しか支給しないのです。
そして、老齢厚生年金を優先的に支給し、遺族厚生年金の額が老齢厚生年金の額を超える場合のみ、その超えた差額を遺族厚生年金として併給します。
この場合の老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給額は、結果的に遺族厚生年金の額と同額です。
なぜこんなことをするのか?
国は「自身が保険料を支払った老齢厚生年金を優先支給するため」と、言っています。
私に言わせれば、遺族厚生年金は非課税だけど、老齢厚生年金は課税できるから、が、本音ではないかと思っています。
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poo_zzzzz 2021-05-11 06:41:16
2老齢厚生年金の受給権を有する65歳以上の配偶者の遺族厚生年金の額
についてまで詳細な解説を頂きましてありがとうございます。
テキストの厚生年金の『併給の調整』のところに欄外に小さく
『種別の違う2以上の期間に係る老齢厚生年金又は遺族基礎年金であって、同一の支給事由に基づくものは、併給される』と言う記載が確かにありました。
この箇所も目を通してはいるのですが、2とは結びついていませんでした。
でも、2の場合同一の支給事由になるのでしょうか?
『65歳以上の老齢厚生年金と遺族厚生年金は、併給されるために受給する年金を選べない』
『なぜこんなことをするのか?
国は「自身が保険料を支払った老齢厚生年金を優先支給するため」と、言っています。
私に言わせれば、遺族厚生年金は非課税だけど、老齢厚生年金は課税できるから、が、本音ではないかと思っています。』
で何のためにこのような複雑な計算をするのかがよくわかりました。
もう少し頂いた解説を読み込めば、この箇所を理解できそうです。
感謝いたします。有難うございました。
piyotyan3517 2021-05-11 11:16:43
> テキストの厚生年金の『併給の調整』のところに欄外に小さく
> 『種別の違う2以上の期間に係る老齢厚生年金又は遺族基礎年金であって、同一の支給事由に基づくものは、併給される』と言う記載が確かにありました。
> この箇所も目を通してはいるのですが、2とは結びついていませんでした。
> でも、2の場合同一の支給事由になるのでしょうか?
お手持ちのテキストには、異なる支給事由による年金たる保険給付や、異なる支給事由による国民年金法による年金たる給付に対する併給のことが書かれていないのですか?
遺族厚生年金の受給権者に対して、
老齢厚生年金
老齢基礎年金及び付加年金
障害基礎年金
が、併給調整されない(つまり、併給される)ことは、併給調整を定める法38条に明記されています。
なお、この場合の「遺族厚生年金」は、法附則17条によって「遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)」に読み替えられます。
このため、テキストには、「65歳以上の場合は、遺族厚生年金と老齢厚生年金は併給される」のような記述があるのが普通だと思うのですが・・・
お手持ちのテキストに、65歳以上の場合として、「遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給される」や「遺族厚生年金と障害基礎年金は併給される」が書いてあるなら、「遺族厚生年金と老齢厚生年金」のことも、書いてあるのではないでしょうか?
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poo_zzzzz 2021-05-11 22:34:47
こんばんは。
大変失礼をいたしました。
『「種別の違う2以上の期間に係る老齢厚生年金又は遺族基礎年金であって、同一の支給事由に基づくものは、併給される」と言う記載が確かにありました。』
とお送りした文章は、✖️遺族基礎年金➡︎○遺族厚生年金です。
頭では『遺族厚生年金』と思いながら、手先では『遺族基礎年金』を入力してしまっておりました。
poo_zzzzzさんのメールの送信時間から察するに、お忙しい日常業務の間をぬって、早朝や深夜に時間を割いて解説をして頂いているのに、
私の不注意で、貴重な時間を浪費させてしまいました。
深くお詫びいたします。
又、詳細且つご丁寧な解説に重ねて感謝いたします。
piyotyan3517 2021-05-12 00:32:09
まだ分かっておられません。
あなたがおっしゃっているのは、
・ 厚生年金保険の種別に基づく第1種又は第2種の期間と、第3種の期間の件
・ 平成28年年金一元化前の、民間企業の厚生年金保険被保険者期間と、公務員等の共済組合員等期間の件
のどちらかだと思います。
しかし、この場合でも、
・ 老齢(退職)の給付は、制度や期間が異なっても、支給事由が同一であれば併給
・ 遺族の給付は、制度や期間が異なっても、支給事由が同一であれば併給
ということであって、あくまで「同一の支給事由」の場合であるはずです。
私が言っている「異なる支給事由」に基づく年金が併給される、というテーマとは全く別です。
私が言っているのは、例えば、65歳以上の場合の、老齢厚生年金と障害基礎年金のように、
・ 支給事由が、老齢と障害で異なっている。
・ しかし併給調整の対象にならない(併給される)
年金がある、ということです。
遺族厚生年金と、その65歳以上である遺族に支給される老齢厚生年金も同じです。
例えば女性のAさんと、Aさんの子であるBさんを考えてみましょう。
Aさんは67歳で老齢厚生年金の受給権者です。
この場合にBさんが厚生年金保険の被保険者期間中に死亡して、Bさんの遺族がAさんのみの場合、
・ Aさんの老齢厚生年金は、Aさんの被保険者期間を元に、Aさんの老齢を支給事由として、Aさん自身が受け取る。
・ Bさんの遺族厚生年金は、Bさんの被保険者期間を元に、Bさんの死亡を支給事由として、Bさんの母であるAさんが受け取る。
支給事由も、計算の対象になる被保険者期間も、支給事由を生じさせる主体となる者も、その主体となる者と給付を受ける対象者の関係も、すべて異なりますね?
でも、このBさんの死亡による遺族厚生年金と、Aさんの老齢による老齢厚生年金は、共にAさんが受給権者で、併給調整されません(併給されます)。
これは、法38条の併給調整の規定です。(65歳以上に限る部分は法附則17条)
私が言っているのはこのことで、そしてこれは、受験テキストに「必ず載っていなければならない」ことなのです。
ただ、遺族厚生年金の規定(法64条の2)で、遺族厚生年金の全部又は一部が支給停止になります。
しかし、これは法38条の併給調整とは別の規定ですから、単に併給されるかされないか?と訊かれたなら、「65歳以上の遺族厚生年金と老齢厚生年金は併給される」のです。
なお、遺族厚生年金の額の計算方法で、受給権者が65歳以上の配偶者の場合に特例があります。
今回はテーマの外なので論じませんでしたが、ご注意ください。
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poo_zzzzz 2021-05-12 11:24:13
こんばんは。お世話になっております。
先日は、「遺族厚生年金と老齢厚生年金」の併給のことのつきましてご指導いただきまして有難うございました。
その後、メインで使っているA社のテキストの『厚生年金 併給の調整』の箇所をを調べてみました。
しかし、65歳以上の場合、「遺族厚生年金と老齢基礎年金」や「遺族厚生年金と障害基礎年金」は併給される等の記載は載っておりますが、「遺族厚生年金と老齢厚生年金」の併給のことは載っておりませんでした。
そこで、サブで必要に応じて使っているB社とC社のテキストを調べると、両者に「遺族厚生年金と老齢厚生年金」の併給についての記載がありました。
そこには、
老齢基礎年金(付加年金)+老齢厚生年金+遺族厚生年金
障害基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金
は併給できる。とあり
これらの場合、老齢厚生年金は全額支給され、遺族厚生年金の額のうち、老齢厚生年金相当額は支給停止される。
そして、老齢厚生年金の受給権を有する65歳以上の配偶者の遺族厚生年金の額の計算方法が書かれてあり、
障害基礎年金と経過的寡婦加算が行われている遺族厚生年金とを併給する場合は、経過的寡婦加算は支給停止とする。とあります。
これが、poo_zzzzz先生の言われている「異なる支給事由に基づく年金の併給」のところでしょうか?
また、poo_zzzzz先生の言われている受給権者が65歳以上の配偶者の場合の遺族厚生年金の額の計算方法の特例というのは、ここに書かれてあった
『原則の遺族厚生年金の額とA+Bの金額のいずれか多い額を遺族厚生年金の額とする。
A:原則の遺族厚生年金の額✖️2/3
B:老齢厚生年金✖️1/2』
ということなのでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、お教えください。宜しくお願いいたします。
piyotyan3517 2021-05-19 00:08:39
まず、遺族厚生年金の受給権者が65歳以上の配偶者の場合の遺族厚生年金の額の計算方法の特例は、合っています。
さて、併給調整による支給停止は法38条(及び法附則17条。以下同じ)に載っており、この段階では、
・支給事由の異なる年金は併給調整による支給停止(併給されない)。
・老齢厚生年金に対する遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)は、併給調整による支給停止の例外(併給される)。
になっています。
つまり、併給調整を定める法38条では「支給停止しない」と書いてあるのです。
そして遺族厚生年金に対する法64条の2に「遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る。)は、その受給権者が老齢厚生年金の受給権を有するときは、当該老齢厚生年金の額に相当する部分の支給を停止する。」とあります。
このため、65歳に達している者の遺族厚生年金は、その者が受給権を有する老齢厚生年金の額に相当する額が支給停止です。
この2者は別のことであり、別に理解しなければなりません。なぜかというと、
・ 法64条の2だけを見ると、65歳未満の者の老齢厚生年金と遺族厚生年金が併給調整される(併給されない)ことが理解できない。
・ 法64条の2により結果として支給停止される場合でも、法38条だけを見れば併給される以上、法38条のその部分だけを切り出して作問してくる可能性はある。
からです。
このため、65歳以上の老齢厚生年金と遺族厚生年金が併給調整されない(つまり併給される)という法38条の規定が、法64条の2とは別に載っていないテキストは、私は受験用テキストとして問題があると思います。
しかしね、考えてみたら、あなたのメインテキストにもちゃんと載っているんですよ。
あなたは以前、「突然テキストに2 『老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給』と言うような記述が出てきた上に」と書かれたでしょう。
つまり「載っている」のです。
ただ、法38条の併給調整では載せずに、遺族厚生年金の法64条の2に絡めて、混ぜて説明しているだけです。
あなたが選ばれたメインテキストは、簡略に説明することに重点を置いていて、条文の流れと法令の構造に沿った説明がなされていないのかも知れません。
上に書いたように、私は条文の流れと法令の構造に沿った説明は大切だと思っていますが、そこをある程度無視してでも、簡略に説明することに重点を置いたテキストが悪いわけではありません。
ただ「条文の流れと法令の構造に沿っていないこと」を知った上で、その短所を理解し、受け入れて使う必要があります。
以下は、あなたのメインテキストが、そういったテキストであると仮定して書きます。もし違ったらお詫びします。
受験用テキストは、受験に特化し、必要性の薄い部分を削ぎ落とし、内容を精選した受験のための武器です。
当然、編集者の意図に沿ってカットだけでは無くデフォルメも入っています。
条文に沿った流れではなく、内容を簡略に説明することに重点を置いたテキストは、このデフォルメを多く取り入れる必要があるため、内容が唐突になりがちです。
そういうテキストをメインテキストとして使う以上、素直に書かれているままに覚えるのです。
例え「異なる支給事由の年金は併給調整される」と学んでいても、テキストの別の箇所に「老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給」と出てきたら、「あぁ、これは併給されるんだ」「でも、実際には支給停止されて、両方全部はもらえないんだね」と、素直に覚えるのです。疑問を持ってはいけません。
なぜ疑問を持ってはいけないかというと、法令の順序や構造をある程度無視して、記述を簡略にしたことが「長所」のテキストであり、疑問を持つことはその長所を殺すことだからです。
もう一度書きますが、受験用テキストは、受験に特化し、必要性の薄い部分を削ぎ落とし、内容を精選した受験のための武器です。
敵と格闘しているときに、手に持った剣が「折れるのではないか?」と思っていたら戦えませんよね?
受験のための武器として選んだ以上、その武器を信じ切ることが、まず、大切です。
「信じ切る」のですからテキストにない疑問は封じて、テキストあるとおりに前に進まなければなりません。
同じ意味で「テキスト」を複数持つことも、私は良くないと思っています。目的を明確にした「参考書」は別ですが。
私は、特に初学者の方は、ある程度のボリュームがあり、法令の順序と構造に沿った説明がなされているテキストで学習されるべきだ、と、思っています。
そういったテキストは「重い」ですし、どこを重点的に読んでいいのか分からないので、テキストに合った口述講義は必須です。
そういったテキストと口述講義と過去問で学習を進めるなら、疑問を持つことも少なく、また疑問の多くはその学習進度と共に解消されるはずです。
そういったテキストを選ばず、「パッと見て解りやすい」テキストを選ぶのは、悪いわけではありません。私は初学者にはお勧めしませんが・・・
そういったテキストもまた「武器」です。記述が省略され、簡略のまとめられていることが「長所」の武器です。
「長所」には多くの場合その長所を原因とする「短所」があり、この場合の短所の一つが「論理的に解りにくいこと」ですが、それは受け入れなければなりません。
もう一度書きますが、あなたの武器として選んだ以上「これで合格できる」と信じるべきであり、そこで起きたテキストに載っていない疑問は、先送りされるべきだと思います。
それでも、どうしても疑問を解決したいなら、まず、ご自身で努力されるべきです。
自助努力の上で他人に頼るのは悪くはないです。
しかし、それでもあえていうと、法令の順序と構造に沿った説明がなされているテキストと口述講義を正しく使っていれば起きないはずなのに、あなたの選んだテキストの内容が理由で生じてしまった疑問の解決を、他人に頼るのは筋が違うと私は思います。
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poo_zzzzz 2021-05-19 11:50:49
poo_zzzzz先生,詳細なご指導や貴重なご指摘を有難うございました。
ご指摘の通り、私の使っているテキストは、記述が省略され、簡略のまとめられておりますが論理的に解りにくいようです。
試験まで残り100日を切りましたが、ご助言いただいた通り、今年はこの武器を信じて戦い、この経験から学び次回の武器のチョイスに繋げたいと思います。
お忙しいところ、貴重なお時間を割いていただきまして感謝いたします。
piyotyan3517 2021-05-19 11:46:26