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法37条1項前段を要約すると「使用者が、労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の一定の率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」になります。

そして、この中の「通常の労働時間又は労働日の賃金」を求めるのが則19条本文です。

則19条本文を要約して書くと、「法37条1項の「通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額」は、次の各号の金額に延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は深夜の労働時間数を乗じた金額とする。」です。

この則19条本文が、時間外労働や深夜労働だけではなく、休日労働においても、則19条1項各号で求めた額に「休日の労働時間数」を乗じていることに気をつけてください。

つまり、則19条本文の下にある則19条1項各号で求められているのは、1号から7号まで、すべて「時間単価」です。
則19条1項各号は、上記本文の計算に使うため、「時間によって定められた賃金について」や「月によって定められた賃金について」のように、賃金ごとに「時間単価」を求めているのです。

さて、「則19条1項各号は、賃金の時間単価を求めている」という理解の上で、あなたの言われる「日給月給制」に戻ります。

あなたの思われている「日給月給制」の賃金に、則19条1項2号の「日によって定められた賃金については、その金額を1日の所定労働時間数(略)で除した金額」を当てはめてみてください。
それによって賃金の「時間単価」が求められますか?
その「時間単価」で、則19条本文や法37条1項の計算が正常に行えますか?
そもそも、あなたの思っておられる「日給月給制」の賃金は、「日によって定められた賃金」ですか?
それらを検証した上、それでもお尋ねの点に疑問があれば、お手数ですが再度質問してください。



なお、「日給月給制」という用語は、労務管理用語ではありますが、法令則にその根拠がありません。
労働基準法の通達にも使用はないように思います。
労働基準法コンメンタールには使われていますが、「手間賃(日当)による日給月給制」という表現と「月給制の一種と解される日給月給制」という異なる表現が出てきていて、使われる場所の「その場での定義」の感をまぬがれません。
また、実務では、月給日給制と日給月給制を分けて扱う場合があり、分けて扱う場合も、諸手当の控除の有無によって分けて扱う場合と、例えば雨天不就労の場合の控除の有無で分けて扱う場合など、さまざまです。
一般的には「月を単位として賃金を支払うが、欠勤、遅刻、早退等による不就労部分の日数や時間の賃金は控除する」場合を、そういった控除のない「完全月給制」に対して「日給月給制」と言いますが、先にも述べたように控除の範囲によって「月給日給制」と呼ぶ例もあり、日給月給制と呼ぶことが絶対ではありませんし、日給月給制と呼ぶ場合でも、会社ごとに手当に対する控除の範囲は異なります。
つまり「日給月給制」という言葉から、その正確な内容を断定することは難しいのです。



例えば基本給や役職手当は月給だが、一定の業務を行う日だけ、1日3,000円の特別手当が出るとしましょう。
そして、特別手当が出る業務を行っている間に時間外労働になったとすれば、基本給等の月によって定められた賃金は則19条1項4号で時間単価を算出し、特別手当については日によって定められていますから則19条1項2号を使って時間単価を算出し、それを合算して割増賃金を計算します。

特別手当が出る業務を行っている間の時間外労働であれば、特別手当分の割増賃金の計算は外せません。その業務に対し、その手当が出るのが「通常」だからです。

つまり、賃金全体が月によって定められていても、一部に例えば時間や日によって定められる手当があれば、それぞれの部分を則19条1項各号に当てはめて計算し、合計額を求めるのです。(則19条1項7号)

基本給や諸手当を、それぞれ、何によって定められているか?という観点から捉え、それぞれに則19条1項各号を当てはめて合計するのですから、「日給月給制の場合は、・・・」と、漠然と賃金体系を捉えて論じること自体が無意味だと思いませんか?

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poo_zzzzz 2021-10-13 09:31:28



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