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うーん、なかなかしっかりと読んでおられますね。
ここまでしっかり読まれているのですから、ご自身で気づかれないのは惜しいです。

平成16附則23条10項の前半は、特例任意加入被保険者において、法5条1項の「保険料納付済期間」を定義をどうするのかを規定しています。
わざわざそれを書くのはなぜかというと、法5条1項は被保険者の種別ごとに「保険料納付済期間」の定義を変えているからです。

例えば、被保険者の種別が第2号被保険者や第3号被保険者の期間は、保険料の納付に関係なく「保険料納付済期間」です。(もともと保険料の納付義務が無いため)
被保険者の種別が第1号被保険者の場合のみ、被保険者期間が「保険料納付済期間」になるためには保険料の納付等が必要になります。

ところが特例任意加入被保険者には種別そのものがありません。
このため、特例任意加入被保険者について、保険料の納付が無ければその被保険者期間を「保険料納付済期間」としない、とするためには、「保険料納付済期間」の定義の規定(法5条1項)の適用については、特例任意加入被保険者の期間を第1号被保険者の期間とみなす、と規定しておく必要があるのです。
「第7条第1項第1号に規定する被保険者としての被保険者期間」とか、条文が長ったらしい表現なのは法5条に呼応した書き方をしているためです。
また、「保険料免除期間」について同様の規定が無いのは、次の11項で特例任意加入被保険者には保険料免除が適用されないからです。

質問された方の間違いは、平成16附則23条10項の前半部分を、「特例任意加入被保険者の被保険者期間は、第1号被保険者としての被保険者期間とみなす」と言っていると思われたことです。
これは違います。
テキストを読んで(条文を読む場合も)何が書いてあるかを考える場合は、常に何が中心であるかを意識してください。
条文の方が論理的に明確(用語はややこしい)ですが、前半は法5条1項の「保険料納付済期間」の定義の適用を、特例任意加入被保険者に対してどうするか?がテーマです。
特例任意加入被保険者の期間を、総則的にどの種別で扱うのか?を書いているのではありません。この部分は「保険料納付済期間」の定義の適用に限られています。

平成16附則23条10項の前半は、特例任意加入被保険者の期間について「保険料納付済期間」を考える場合には、保険料の納付等が無いとダメ(つまり第1号被保険者と同じ扱い)だよ、と言っているだけなのです。

次に、平成16附則23条10項の後半です。
老齢基礎年金等の基礎年金の給付は、基本的には被保険者であった期間の被保険者の種類や種別を問わず行われます。
このため基礎年金においては、特例任意加入被保険者の期間を○○号被保険者の期間として扱うといった規定は、原則的には不要です。

しかし先に書いた保険料納付済期間の定義以外でも、例えば付加年金、寡婦年金、死亡一時金、脱退一時金等、国民年金法の一定の場面においては第1号被保険者の期間であるかどうかが関係します。
このため、第1号被保険者、第2号被保険者及び第3号被保険者以外の被保険者期間をどのように扱うかの規定は、やはり必要です。
例えば旧法時代の被保険者期間は、昭60法附則8条で、保険料納付済期間や保険料免除期間の適用を含め、包括的に第1号被保険者としての被保険者期間とみなされます。

このため、特例任意加入被保険者の期間を、どのようにみるかも決めておかなければなりません。
しかし、特例任意加入被保険者の期間は、第1号被保険者の被保険者期間として見ていい場面と、見ることができない場面があります。
平成16附則23条10項後半は、特例任意加入被保険者について、死亡一時金又は脱退一時金等の規定においては第1号被保険者期間とみなすといっています。
つまり特例任意加入被保険者の期間は、死亡一時金又は脱退一時金等においては適用の要素になります。
しかし法43条、法49条には触れていませんから、特例任意加入被保険者には付加年金の規定は適用されず、寡婦年金においても適用の要素になりません。

特例任意加入被保険者の平成16附則23条10項(及び11項)の規定と同様の規定が、任意加入被保険者について法附則5条10項から14項に書かれています。
特例ではない任意加入被保険者については、例えば基金に加入できたりと対応すべき事項が多いので項数が多くなっています。

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poo_zzzzz 2022-03-20 10:25:05

かくも迅速で的確なご回答を頂いたことに大変驚きました。
知りたかったことを、余すところなくご教示いただきました。
おかげさまで、5条1項をわかったつもりで読み流していたことに気づくことができました。
ご多忙の中、本当にありがとうございました。

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takonoyama  2022-03-20 11:37:42

丁重なコメントをありがとうございます。

今回のご質問であれば、まず法5条をしっかり読み直し、「法5条1項の規定の適用については」の意味を考えていれば、おっしゃるとおりご自身で解決していたかもしれませんね。
疑問が起きたときに、そのような基本的な確認動作はものすごく重要です。

でもね、法令ってやはり難しいです。



例えば、国民年金法の条文で単に「被保険者」という場合に「特例任意加入被保険者」は含まれるのでしょうか、含まれないのでしょうか?
これは、それを排除する条項が別に無い限り、被保険者に含まれます。
おそらく、明確には意識しておられないのではないかと思いますが、これは「当然のこと」ではなく、「条文にそう書いてある」からです。

法7条1項に「次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする」とあります。
このため、本来、国民年金の被保険者は、そこにある第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者だけです。
しかし特例任意加入被保険者を定める平16法附則23条1項本文に、「昭和30年4月2日から昭和40年4月1日までの間に生まれた者であって、次の各号のいずれかに該当するもの(略)は、同法第7条第1項の規定にかかわらず、厚生労働大臣に申し出て、国民年金の被保険者となることができる」とあります。
これは、「法第7条第1項の規定にかかわらず」とあるように、法7条1項に対する明文の「付け加え」です。
こういった付け加えの規定があって「被保険者」の定義が変わることを明確に意識していたら、平16法附則23条10項の読み方は変わるのではないかと思います。

こういった法令の構成は、本当に簡単なことなのですが、しかし、条文(テキスト)を読んで、そういった部分にすぐ気がつくのは簡単ではないと思います。

でもね、そもそも
・特例任意加入被保険者の保険料納付済期間は、保険料の納付が問われる
・特例任意加入被保険者の被保険者期間は、死亡一時金や脱退一時金等の規定で算入される
・特例任意加入被保険者の期間は、付加年金の規定が適用されず、寡婦年金や基金の規定の適用もない
これだけ知っていたら、平成16附則23条1項や10項の読み方が分からなくても、受験対策としてはそれほど問題はないのではないでしょうか?



例えば、雇用保険法で、
・短期雇用特例被保険者には基本手当は支給されない
・短期雇用特例被保険者には高年齢雇用継続基本給付金は支給されない
これは「当然のこと」ですよね?

でも、条文を読むと、法13条の基本手当には「基本手当は、被保険者が失業した場合において」と、単に「被保険者」と書いています。
法61条の高年齢雇用継続基本給付金では、「高年齢雇用継続基本給付金は、被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。以下この款において同じ。)」となっています。

「当然のこと」という理解では、法13条の「被保険者」に括弧書きが無く、法61条の「被保険者」に括弧書きが有る「理由」が説明できないでしょう?

このあたりの違いについてすっきり説明するためには、雇用保険法が、
① 雇用保険法は、 被保険者をまず包括的に捉えている(法4条1項)
② 第3章第2節(基本手当)から第4節(日雇労働者求職者給付金)までにおける適用除外関係を、第3章第2節の2、第3節、第4節の冒頭で規定している。
③ 第3章第5節(就職促進給付)以下にはこの適用除外関係は及ばない。
④ このため、基本手当における「被保険者」は無条件にいわゆる一般被保険者だが、雇用継続給付や教育訓練給付、育児休業給付では、それぞれ「被保険者」の後に括弧書きを入れ、適用される範囲を制限している。
と、いう関係が分かっていないと説明できません。
そしてこれを理解するには、雇用保険法全体の構造を、条項だけでなく、章節単位で知らなくてはいけません。

内容は簡単なことなのですが、法令にある程度習熟していないと理解するのは難しいと思いますし、また、こんなことを知っても受験の役にはあまりたちません。



長く書きましたが、私がお伝えしたいのは、受験勉強中の疑問の解決は、ほどほどで良いと思う、ということです。
学習方法は自由ですが、限られた時間の受験勉強ですから、起きた疑問を全て潰すのは、掛ける労力に対して得られる成果が十分とはいえず、得策ではありません。
また、単発の疑問の解決を拙速にすることは、今回あなたが任意加入被保険者についてスルーし、特例任意加入被保険者で疑問を生じられたように、本来あるべき解決の場所を誤ることがあります。
このため、起きた疑問の解決は一旦措き、過去問を解き、その内容に従ってテキストを復習する学習がある程度進んだ上で、実戦的に考えて、合格のために必要と思われるものに絞って解決されることをお勧めします。

参考になった:4

poo_zzzzz 2022-03-21 00:27:54

疑問点を追及するあまり、無用な隘路に踏み込むことをご心配いただき、心から感謝申し上げます。
このご指導を心に留めて、引き続き学んでゆきたいと思います。

今回質問させていただいたことで、自分がいかに予断を持って条文を見ていたかを思い知ることができました。
また、無意味に見える条文の向こうに広がる世界を垣間見ることができ、無駄どころかとても豊かな経験をさせていただいたと感じております。


今回、初めて質問させていただきましたが、今後ももしかすれば些末と思われるような事柄をお尋ねするかもしれません。
些末なことに拘泥するあまりではなく、そのささやかな不知が、今回のように法令に対する本質的な誤解を解く鍵になると期待するからです。

お時間があれば、で構いません。
どうか今後ともご指導賜りますようお願い申し上げます。

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takonoyama  2022-03-21 10:53:29

> 今回、初めて質問させていただきましたが、今後ももしかすれば些末と思われるような事柄をお尋ねするかもしれません。
> 些末なことに拘泥するあまりではなく、そのささやかな不知が、今回のように法令に対する本質的な誤解を解く鍵になると期待するからです。

まぁ、受験勉強中の疑問の解決はほどほどに、ですね(笑)

私は、質問された方が「ご自身の力で合格に近づくために」何を書けば良いか?と考えて答えています。
ですから、できていないと思うことはできていないと書きますし、受験対策として良くないと思えばそう書きます。

私が今回できるだけ詳しく答えたのは、質問された方が丁寧にテキストを拾い、条文と突き合わせて考えられているように読めたからです。
行き過ぎると困りますが、そういった学習の方向はありだと思います。
でも、残念なことに法5条を読み直し、内容を考えるという基礎的な動作ができていませんでした。
また、本来は法附則5条で生じるべき疑問が、16法附則で起きていました。これは学習が順序よく積み重なっていないことを示します。
だから、「今のような学習方法をされるなら、このように見て、このようにしないといけませんよ」とお伝えしたつもりです。

ただ、質問された方の学習の方向は間違っていないと思いますが、ともすると、「一般的な受験学習の枠を超えて」しまいがちなエリアにおられる気がします。

もし、あなたが一般的な受験学習の枠を超えて疑問を解決されたいなら、それなりの時間と労力を使って自助努力をされるのが先だと思います。
私自身、疑問は徹底的に潰してきましたし、それが面白かったですから、それがダメです、とはいえません。
でもね、仮にその疑問の解決が受験の役に立ったとしても、私の経験上、受験に限っては効率が酷く悪いですからお勧めできないんですよ。

また、「些末なことに拘泥するあまりではなく、そのささやかな不知が、今回のように法令に対する本質的な誤解を解く鍵になる」と書いておられますが、「ではなく」の判断は、どのようにされるのでしょうか?
順序は後先ですが、そのため、2つめのコメントを書きました。
これは、あなたに法令の内容を伝えるために書いたのではありません。
法令の、ごく基礎的な、ごく簡単なことでも、疑問を持ってしまうと、本格的な解決にはとても手間が掛かり、受験対策として合理的ではない場合があることをお伝えしたつもりです。

「知りたいこと」と「受験に必要なこと」は違います。
「知りたいこと」が「法令の本質の理解に役立つ」場合であっても、です。
受験勉強中の今が、その時期なのかどうかも考えてください。

もう一度書きますが、質問された方の学習の方向は間違っていないと思います。
しかし、お尋ねになった箇所は、箇条書きにした特例任意加入被保険者の内容を暗記するだけで、受験対策的には大丈夫な箇所でもあります。
合格をより確実なものにするために、そのあたりのバランスを考えていただきたいのです。

①疑問を持つ
②解決を図る

だけではなく、例えば

①疑問を持つ
②でも過去問とテキストの往復をしてみたら、解決しないでも対応できる
③疑問は先送りにして、テキストの内容を押さえておこう。

という選択肢も考えて欲しいのです。やっておられるとは思いますが・・・

それが、受験勉強中の疑問の解決は、ほどほどで良いと思う、ということです。

投稿内容を修正

参考になった:2

poo_zzzzz 2022-03-21 14:58:11



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