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法165条
任意継続被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができる。
2 前項の場合において前納すべき額は、当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。

令49条
法第165条第2項の政令で定める額は、前納に係る期間の各月の保険料の合計額から、その期間の各月の保険料の額を年4分の利率による複利現価法によって前納に係る期間の最初の月から当該各月までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額(この額に1円未満の端数がある場合において、その端数金額が50銭未満であるときは、これを切り捨て、その端数金額が50銭以上であるときは、これを1円として計算する。)を控除した額とする。

健保問10A
3月31日に会社を退職し、翌日に健康保険の被保険者資格を喪失した者が、4月20日に任意継続被保険者の資格取得届を提出すると同時に、4月分から翌年3月分までの保険料をまとめて前納することを申し出た。この場合、4月分は前納保険料の対象とならないが、5月分から翌年の3月分までの保険料は、4月末日までに払い込むことで、前納に係る期間の各月の保険料の額の合計額から、その期間の各月の保険料の額を年4分の利率による複利現価法によって前納に係る期間の最初の月から当該各月までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額(この額に1円未満の端数がある場合において、その端数金額が50銭未満であるときは、これを切り捨て、その端数金額が50銭以上であるときは、これを1円として計算する)を控除した額となる。
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この健保問10Aは、令49条で定義される「政令で定める額」を含んでいるように見えますので、そこを切り取ってみましょう。

■令49条から「政令で定める額」の部分を切り取り
前納に係る期間の各月の保険料の合計額から、その期間の各月の保険料の額を年4分の利率による複利現価法によって前納に係る期間の最初の月から当該各月までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額(この額に1円未満の端数がある場合において、その端数金額が50銭未満であるときは、これを切り捨て、その端数金額が50銭以上であるときは、これを1円として計算する。)を控除した額

■健保問10Aからの切り取り
前納に係る期間の各月の保険料の額の合計額から、その期間の各月の保険料の額を年4分の利率による複利現価法によって前納に係る期間の最初の月から当該各月までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額(この額に1円未満の端数がある場合において、その端数金額が50銭未満であるときは、これを切り捨て、その端数金額が50銭以上であるときは、これを1円として計算する)を控除した額

比較すると、「各月の保険料の合計額」が「各月の保険料の額の合計額」になっているのと、「これを1円として計算する。)」が「これを1円として計算する)」になっているだけで、この2つの内容は同じと判断できるので、この2つは共に「政令で定める額」と言えると思います。

健保問10Aのこの部分を「政令で定める額」として、健保問10Aの問題文を置き換えます。

■「政令で定める額」に置き換えた健保問10A
3月31日に会社を退職し、翌日に健康保険の被保険者資格を喪失した者が、4月20日に任意継続被保険者の資格取得届を提出すると同時に、4月分から翌年3月分までの保険料をまとめて前納することを申し出た。この場合、4月分は前納保険料の対象とならないが、5月分から翌年の3月分までの保険料は、4月末日までに払い込むことで、「政令で定める額」となる。

問題文の最後の部分は「5月分から翌年の3月分までの保険料は、4月末日までに払い込むことで、「政令で定める額」となる。」になりました。

しかし、法165条2項により、任意継続被保険者の前納保険料は、「当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。」となっています。
前納の保険料は、「当該期間の各月の保険料の額から」「政令で定める額を控除した額」です。
このため、「5月分から翌年の3月分までの保険料は、4月末日までに払い込むことで、「政令で定める額」となる。」という日本語には問題があります。

問題文の最後の部分は、「5月分から翌年の3月分までの保険料は、4月末日までに払い込むことで、当該期間の各月の保険料の額から「政令で定める額」を控除した額となる。」になるのが正しいように思います。

元の問題文に戻すと、

3月31日に会社を退職し、翌日に健康保険の被保険者資格を喪失した者が、4月20日に任意継続被保険者の資格取得届を提出すると同時に、4月分から翌年3月分までの保険料をまとめて前納することを申し出た。この場合、4月分は前納保険料の対象とならないが、5月分から翌年の3月分までの保険料は、4月末日までに払い込むことで、当該期間の各月の保険料の額から、前納に係る期間の各月の保険料の額の合計額から、その期間の各月の保険料の額を年4分の利率による複利現価法によって前納に係る期間の最初の月から当該各月までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額(この額に1円未満の端数がある場合において、その端数金額が50銭未満であるときは、これを切り捨て、その端数金額が50銭以上であるときは、これを1円として計算する)を控除した額を控除した額となる。

または、「当該期間の各月の保険料の額から」を省略しても意味は通るように思うので、

3月31日に会社を退職し、翌日に健康保険の被保険者資格を喪失した者が、4月20日に任意継続被保険者の資格取得届を提出すると同時に、4月分から翌年3月分までの保険料をまとめて前納することを申し出た。この場合、4月分は前納保険料の対象とならないが、5月分から翌年の3月分までの保険料は、4月末日までに払い込むことで、前納に係る期間の各月の保険料の額の合計額から、その期間の各月の保険料の額を年4分の利率による複利現価法によって前納に係る期間の最初の月から当該各月までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額(この額に1円未満の端数がある場合において、その端数金額が50銭未満であるときは、これを切り捨て、その端数金額が50銭以上であるときは、これを1円として計算する)を控除した額を控除した額となる。

が、正しい問題文になるように思います。



質問された方はよく読んでおられると思いますが、ただ、この問が複数解答になるかどうかは分かりません。
あなたや、私の上記の考えが正しいとして、運が良ければ複数解答になる可能性はあるかもしれません。
しかし、そうはならない可能性もあります。

この問10は、E肢が明らかに誤っています。
雇用保険とは異なり、健康保険の印紙保険料は同じ日に複数事業所から徴収されません。
これは法令上の「規定の誤り」です。
A肢は、必要な語句が抜けていて日本語として誤っているように思います。
しかし、法令上の「規定の誤り」ではありません。

社労士試験は過去からグレーな肢が存在する試験で、5肢択一は、個数問題を除き相対評価と考えるのが正しい受験対策です。
判断の順序はケースバイケースですが、A肢が黒と言って良いグレーな肢ではあっても、E肢との比較で正解肢とはされない可能性はあります。



社労士試験は、嫌な話ですが「問題を作った方が選んで欲しい肢を選ぶ」面がある試験だと思います。
そういった目で見れば、この健保問10Aで、問題を作った方が選んで欲しいのは明らかにEであると思いますし、また、Eが誤であることに疑義はありません。

その上で、受験した方の目から見て、他に選びうる肢があった場合複数解答になる場合があると思いますが、今回がそうであるかどうかについては私には分かりません。
5肢全てを読めば多くの方はE肢を選ぶでしょうし、A肢はグレーな肢として処理される可能性もあると思います。

また、今年の択一の内容から、私個人としては合格基準点は43点を超える可能性があると思っています。



さて、上記とは別に受験対策として気になった点があります。

絶対に間違っている(あるいは正しい)と思える肢がある場合に、他の肢を読まないという受験対策は、間違ってはいません。

ただ、これは、全体として解答能力が不足している場合の対策です。
解答時間が足りなくなるなることに「備えて」、解答時間を短縮するための「次善の策」です。
ですから、そのような解き方をした問題にはマークを入れて、後で全体を見直すことが原則です。
先に述べたように、社労士試験はグレーな肢がある試験ですから、絶対に間違っている(あるいは正しい)と思える肢がある場合でも、複数の肢を比較検討しなければならない場合があるからです。

このため、あなたが、時間があるのに見直さなかったのであれば、受験対策として問題があるように思います。
この点は大丈夫ですか?

あなたが、見直すつもりだったけれども、時間が足りなくて見直せなかったのであれば。それは、この受験対策の意図するところであると同時に弱点であり限界です。
結果として解答時間が足りなかったのなら、この受験対策は意図通りの効果があったのだということです。
しかし、もしE肢まで読んでいたら、迷いはしてもあなたはE肢を選んだのではないですか?
ですから、時間不足で健保問10においてE肢を読めなかったのは、この受験対策の弱点であり限界です。
E肢を読んでいないという前提であれば、あなたの選択は誤っていなかった(と私は思う)のですから、これは健保問10がグレーな肢を含んでいた結果に過ぎず、運です。
複数解答にならなかったとしたら、解答時間が足りなかったという学習上の問題と運の重なり合いであり、残念ですが致し方のないことだと思います。

今回の試験で「分からなかったけど正解してる。ラッキー!」という問題はありませんでしたか?
そういった運も含めて、試験なのです。

参考になった:5

poo_zzzzz 2022-09-12 16:59:01


回答ありがとうございます。

>社労士試験は過去からグレーな肢が存在する試験で、5肢択一は、個数問題を除き相対評価と考えるのが正しい受験対策です。
判断の順序はケースバイケースですが、A肢が黒と言って良いグレーな肢ではあっても、E肢との比較で正解肢とはされない可能性はあります。

そうなのですね、「明らかな肢」のみが正解となる可能性が高いのですね。

>ただ、これは、全体として解答能力が不足している場合の対策です。
解答時間が足りなくなるなることに「備えて」、解答時間を短縮するための「次善の策」です。
ですから、そのような解き方をした問題にはマークを入れて、後で全体を見直すことが原則です。
先に述べたように、社労士試験はグレーな肢がある試験ですから、絶対に間違っている(あるいは正しい)と思える肢がある場合でも、複数の肢を比較検討しなければならない場合があるからです。

>このため、あなたが、時間があるのに見直さなかったのであれば、受験対策として問題があるように思います。
この点は大丈夫ですか?

時間が足りず見直す余裕がありませんでした。
昨年、初受験で択一は49点取ることが出来ました(選択の老一が0点でした)。さらに1年、勉強した結果を発揮しようと試験に臨みましたが択一の点数が伸びませんでした。
自分としては昨年よりも「問題は難しかった」と感じましたが合格ライン予想も昨年以上という予想も多く、来年へ向けてまた1年頑張ろうと決意しております。

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cjn50830  2022-09-13 20:35:36

社労士試験は、合格に必要な得点と、科目ごとのバランスが共に求められている点に、難しさの一つがあります。

私は過去に10年以上大手受験対策校で講師をしていましたが、その経験で申し上げると、この試験に「もう一歩」はありません。
何年目の受験であろうと、過去にどのように得点していようと、受験されるその年ごとに、基礎からしっかり積み上げた反復学習が必要な試験だと思います。

2年目以降は、過去の試験の失敗を意識した学習になりがちであり、もちろんそれは必要なのですが、それに偏らず初学者のつもりで学習されることをお勧めします。
よい成果ををあげられることをお祈りします。

投稿内容を修正

参考になった:4

poo_zzzzz 2022-09-13 23:41:37



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