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ああ、なるほどねぇ。

これは法改正に伴う、過去問の修正方法によって、法改正前の設問ならば単純な知識を問う問題であったものが、法改正に伴って誤の肢のまま修正したことにより、質問された方のような迷いを呼ぶ可能性がある問題になってしまったのです。



法改正前のH22-7Bを載せます。

「事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故」について保険給付を行ったときに該当するとして、政府からその保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収する処分を受けた事業主は、当該処分に不服がある場合でも異議申立てをすることはできない。」

行政不服審査法の改正前は、労災保険法上の行政の決定に対する不服申立ては、保険給付に関するものであれば労働保険審査官及び労働保険審査会への不服申立て(現行と同じ)であり、保険給付に関するもの以外は、行政不服審査法での不服申立て(これも現行と同じ)であり、行政不服審査法での不服申立ては、処分を行った行政庁(設問の場合は歳入徴収官)に対する異議申立てから入らなければならない場合と、処分を行った行政庁の上級庁に審査請求する場合に分かれていました。

そして、当時の設問では、歳入徴収官に異議申立てするケースであったので、誤の肢で迷う余地はなかったのです。



しかし今年の4月の行政不服審査法の改正で、行政不服審査法上の不服申立てが審査請求に一元化され、異議申立ての制度がなくなりました。

このため、設問を修正しなければなりませんが、誤の肢のままで修正する場合、通常の方法としては、「当該処分に不服がある場合でも異議申立てをすることはできない。」を「当該処分に不服がある場合でも審査請求をすることはできない。」と修正するか、「当該処分に不服がある場合でも不服申立てをすることはできない。」にするか、どちらかが普通だと思います。

どちらであっても、労災保険法上の不服申立てである、労働保険審査官に対する審査請求か?と、迷うでしょう?

で、おそらくですが、問題を修正した方は、「審査請求」と書くと、余計に思い違いしやすいだろうから「不服申立て」を選ばれたのではないかと思います。



これは、修正方法としてやむを得ないと思います。

修正時に「行政不服審査法上の」と入れれば題意は明確ですが、誤であることがバレバレですからね。



「不服申立て」の中に、労災保険法に基づく「不服申立て」である「審査請求」と「再審査請求」があり、それとは別に、行政不服審査法による「不服申立て」である「審査請求」がある、というのは、受験する者として当然知っていなければならないことですから、この問題が「不服申立て」と書かれていても「審査請求」と書かれていても、×にできなければなりません。

質問された方が、「不服申立て」を労災保険法上のそれと思い込んで解かれたのは、出題者の罠に、うまく「引っかかった」わけです。



ただ、出題時の「異議申立て」が、労災保険法上の不服申立てには存在しない用語であったのに対し、「不服申立て」は労災保険法と行政不服審査法に共通する用語ですから、解説は、「法38条による審査請求及び再審査請求は、その対象が保険給付に関する決定に限られるため、設問の「費用徴収の処分」の不服については法38条の不服申立ての手続きは用いることができず、したがって、行政不服審査法の不服申立ての手続きによることとなる。」にした方が、分かりやすいでしょうね。

参考になった:5

poo_zzzzz 2016-12-06 17:35:26

poo_zzzzz様

大変わかりやすい解説をいただき、ありがとうございます。


>「不服申立て」の中に、労災保険法に基づく「不服申立て」である「審査請求」と「再審査請求」があり、それとは別に、行政不服審査法による「不服申立て」である「審査請求」がある、というのは、受験する者として当然知っていなければならないことですから、この問題が「不服申立て」と書かれていても「審査請求」と書かれていても、×にできなければなりません。

そういうことを当たり前に押さえていくのが、受験勉強ですね。
今回は出題者の罠にうまく引っかかってしまいましたが、次からは引っかからないよう気をつけます。
先生が最後に書いてくださった解説文を、過去問題集に書き込みました。

質問させていただいて、良かったです。

この度は、誠にありがとうございました。


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smile2480  2016-12-07 14:08:24



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