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探してみたところ、2010年4月に、みんなの党(当時)の柿沢未途議員が、国会で質問を行っているようです。
雇用保険法の範疇を外れるため試験対策上はほぼ出題の可能性がない論点っぽいので、
質問のうち、冒頭の一~四くらいまでを、背景知識として押さえておけば良いのではないかと思います。

質問(柿沢議員)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a174379.htm

答弁(鳩山総理大臣)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b174379.htm


私も、知らなかったので今から読みます(^^;;

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towalion 2016-12-07 19:36:27

towalion様

早々にご回答を頂きましてありがとうございます。

・・・ということは、ご紹介の答弁書の内容を読みますと、公務員は、雇用保険の適用除外ということになりますが、なにか民間の失業手当よりも不足する場合は、差額のような支給があるとかですね。
でも、今の雇用保険の基本テキストでは、国、都道府県、市町村などの事業は、適用事業だとはっきり書いてあります。ここがなにかこう矛盾すると思うのです。
答弁書で、適用除外と言いながら、適用事業になっているとは?この意味は、民間レベルよりも、低い場合は、雇用保険法の失業手当に準じたような差額支給があるから、適用事業であるという意味なのでしょうか。
これらの解釈が、やはりよくわからないのです。国、都道府県、市町村の事業に雇用される公務員は、適用除外が原則だが、実はそうでもない?? こういうところが、公務員のよくわからない実態で、しっくりきません。
法人の事業は適用事業というのはわかりやすいのですが、公務員は・・・・。

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hauser  2016-12-07 22:52:35

まず第一に、国家公務員等は、退職した場合に、原則として国家公務員退職手当法その他の法令又は条例による退職手当を受けます。

そういった退職手当であって、雇用保険の求職者給付等を上回る給付を受ける者は、雇用保険の適用除外になりますので、その者は雇用保険の被保険者になりません。

雇用保険の被保険者ではないのですから、保険料の控除もありません。

参考 国家公務員に持する雇用保険の適用について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/03/dl/s0303-5b10.pdf



さて、下記に雇用保険法6条を転記します。

これを見た場合に、

(1) 民間の法人は雇用保険の適用事業である。ただしそこで雇用される1週間の所定労働時間が20時間未満である者は、日雇労働被保険者となる場合を除き、雇用保険の被保険者としない。

(2) 国の事業は雇用保険の適用事業である。ただしそこで雇用される者が離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であって、厚生労働省令で定めるものである場合は、雇用保険の被保険者としない。

上記の(1)と(2)の文脈は、「Aは雇用保険の適用事業である。ただしAに雇用される者がBである場合は、雇用保険の被保険者としない。」で、同じロジックだと思うのですが、いかがですか?

(1)と(2)のロジックに差がないことが納得できれば、hauserさんの疑問は解けたはずです。



次に、ではなぜ、他の法令等が失業を保護する、国・都道府県・市町村その他これらに準ずるものの事業を、雇用保険の適用事業にするのか?、というと、「そうしておく必要があるから」です。

雇用保険法は広義の社会保険法に属し、被用者であった失業者の求職活動をトータルでサポートし、それによって社会的な防貧を目的とした法律です。

被用者のうち、特定のジャンル(公務員等)に属する者については、他の法令等がその失業を保護するのですが、他の法令等が行う保護の内容は、雇用保険はコントロールできません。

自らが他の法令等による保護の内容をコントロールできないのですから、とりあえず国や地方公共団体も雇用保険の適用事業にしておき、原則的にはそこで雇用される者は被保険者として雇用保険法が保護するとしておき、そこで雇用される者が、他の法令等によって雇用保険の求職者給付等以上に保護されると認められる場合は、厚生労働省令によってその労働者は適用除外として雇用保険の被保険者にしない、というシステムにしてあるのです。

法改正は国会を通さなければなりませんが、厚生労働省令に定めることにすれば柔軟に対応できますからね。

被用者の失業を保険事故とする制度の責任として、他の法令等により保護されるかどうか分からないならとりあえず適用事業とする。しかし、そこで雇用される者を他の法令等が保護すると分かれば、省令でその者は適用除外にして被保険者にしない、と、いうことで、とても合理的な規定だと思うのですが、いかがですか?



最後に、短期雇用の公務員が失業した場合に職安で行われる給付は、雇用保険の求職者給付ではありません。

雇用保険法6条7号の適用除外の要件が、「離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超える」ことにあるため、これを満たさない場合は、例えば国家公務員であっても雇用保険の被保険者になります。

しかし、この者が少額であっても国家公務員退職手当法からの退職手当の支給対象であった場合、雇用保険の被保険者にしてしまうと2重給付になります。

これを防ぐため、国家公務員退職手当法10条は、このように退職手当が少額である退職公務員が、もし雇用保険の適用を受けていたら基本手当の対象になる者である場合は、特別の退職手当である「失業者の退職手当」を、雇用保険の基本手当の支給方法に従い、公共職業安定所を通じて支給します。

そうすることで、雇用保険の適用除外の要件を維持しているのです。

この「失業者の退職手当」は、支給方法が「基本手当の支給の条件に従い、公共職業安定所を通じて支給する。」となっているだけで、雇用保険の求職者給付ではありません。

あくまで、国家公務員退職手当法に基づく特別の退職手当(失業者の退職手当)です。



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雇用保険法6条  次に掲げる者については、この法律は、適用しない。
一  65歳に達した日以後に雇用される者(同一の事業主の適用事業に同日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている者及びこの法律を適用することとした場合において第38条第1項に規定する短期雇用特例被保険者又は第43条第1項に規定する日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。)
二  1週間の所定労働時間が20時間未満である者(この法律を適用することとした場合において第43条第1項に規定する日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。)
三  同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者(前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及びこの法律を適用することとした場合において第42条に規定する日雇労働者であつて第43条第1項各号のいずれかに該当するものに該当することとなる者を除く。)
四  季節的に雇用される者であって、第38条第1項各号のいずれかに該当するもの
五  学校教育法第1条 、第124条又は第134条第1項の学校の学生又は生徒であって、前各号に掲げる者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者
六  船員法第1条 に規定する船員であって、漁船(政令で定めるものに限る。)に乗り組むため雇用される者(1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く。)
七  国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であって、厚生労働省令で定めるもの

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poo_zzzzz 2016-12-08 19:48:39

poo_zzzzz様

 これは本当に詳細かつ的確なご回答を賜りましてありがとうございます。

その意味するところ、やっとこれで理解できました。
テキストをただ普通に読んでいるだけでは、なかなか思い至らず、法の条文、解釈の仕方は難しいものです。
そういえば、健康保険にも似たような表現がありました、条文上はそのまま残しているが、実際は違うというような・・・、これも確か公務員だったかと。
民間人の解釈は、本当にズムーズに理解が進みますが、今回の公務員ですとか、○○協働組合の役員、NPO法人の役員、専従職員などが出てくる場合は、苦労します。
法律の横断的な理解、条文の表側と裏側、過去問での言い回しの他でも、条文での表現、その意味するところの言外事項も考えながら勉強する必要を痛感しました。

いずれにしましても、いつもながらpoo_zzzzz様の詳細なご解説で、いつも貴重な知識を吸収することができます。
ありがとうございました。

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hauser  2016-12-08 20:32:11



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