ニックネーム | *** 未ログイン ***
労働保険徴収法/私傷病手当金と私傷病見舞金の違いについて
JIRO2 2016-12-09 11:51:59
労働保険徴収法のテキストP7「(1)賃金と解されるもの」として、労働協約等の定めにより、事業主から支給される私傷病手当が挙げられています。
また、一方で、P8「(2)賃金と解されないもの」では、a)私傷病見舞金については、労働協約等によって、事業主にその支払が義務付けられているものであっても、賃金とはならないと表記されています。
任意恩恵的なものであれば賃金ではないということは、理屈として理解はできますが、それならば、なぜ、私傷病手当金は賃金に該当するのでしょうか?
テキストの情報のみから、両者(手当と見舞金)の違いを考察いたしますと、
「見舞金」の場合、任意恩恵的といっても、労働協約で規定があるのであれば、支給の是非について事業主に裁量の余地はなく、自動的に事業主に支払義務が生じるものと理解でき、任意恩恵的ということは言えないのではないかとも思えます。
一方、「手当」の場合、そもそも私傷病に罹患しているからこそ支給されるものであって、労働の対償ではなく、恩恵的な手当とも理解できます。
要するに、「手当」であっても「見舞金」であっても、支給事由が「私傷病に罹患している」ことであり、「労働の対償でない」こと、「労働協約により事業主に支給義務が生じている」の3点において、何ら差異はないと理解できてしまいます。
そうすると、賃金に該当するか否かの判断の分かれ道は、「任意恩恵的」であるか否かであると思うのですが、文章表現上では、「手当」と「見舞金」という、名称の違いでしかないように思い、何を基準として、賃金であるか否かを判断して良いのか理解できません。
ご教示方、よろしくお願いします。
JIRO2さんへ
旧質問広場で同様と思われる質問に、poo_zzzzz先生が回答されています。
http://sr-jiten.net/bbs/bbs_each.php?rcdId=2581
もし、質問の趣旨と違うようでしたら、ご容赦ください
参考になった:4人
taresu 2016-12-09 15:54:26
taresuさん
早速、ありがとうございました。
なるほど、月給制と日給月給制での不平等が生じないようにということもあるのですね。
過去に同様の質問がなされていることを知らずに申し訳ないです。
一応、キーワードで検索をかけたのですが・・・
いずれにいたしましても、疑問が解消できました。
ありがとうございました。
JIRO2
JIRO2 2016-12-09 21:38:41
> なるほど、月給制と日給月給制での不平等が生じないようにということもあるのですね。
うーん少しニュアンスが違うような気がしますね。
不平等かどうかではなく、支給される金銭の性格として同質だから同様に扱う、と、いうことです。
同質のものに異なった扱いをすれば不平等ですから、結果としてはおっしゃるとおりなのですが・・・
理解していただきたいのは、不平等にならないため、ではなく、性格が同じ金銭だから、同様に扱うのだ、と、いうことですが、この点は大丈夫でしょうか?
例えば、月給で働く者を考えてみましょう。
基本給が30万円で他に手当がないとしたら、所定労働日数が16日の月であっても22日の月であっても、月の賃金は30万円です。
1日あたり5000円以上、時間給に換算したら600円以上差があると思うのですが、みんな疑問に思わずに働いているでしょう?
日給や時間給の人で、月によってこれだけ単価が違ったら、大騒ぎですよね?
なぜこのような差が起きるか?というと、労働契約の内容の差です。
月給の場合は「1か月の所定労働日を勤務したら○○円」という契約であり、時間給の場合は「1時間労働したら○○円」という契約だからです。
割増賃金や平均賃金等、法令によって計算方法が定められている部分を除き、基本的にはこのような差は労働契約の自由として容認されます。
「労働の対償としての賃金」といっても、このように、現実に労働した日数や時間数では考えられない部分があります。
次に、月給の者が欠勤したらどうするのか?の問題を見てみましょう。
この場合でも賃金の全額を支払う、というのが完全月給制です。
「欠勤しても控除がないのはおかしい」とは言わないでくださいね。これも労働契約の問題ですから法令違反でない限り当事者の自由です。
欠勤があった場合に欠勤控除するのが、日給月給制です。
仮に賃金が同額の完全月給制の労働者と日給月給制の労働者が同じように欠勤した場合、支給される両者の賃金には欠勤控除分の差があるのですが、徴収法はこの両者を差別しません。
どちらの場合も、現に支給された額を賃金とします。
これは、片方に欠勤控除がなく、片方にあるとしても、それは「欠勤した日の賃金をどのように計算するのか?」という労働契約の問題であり、完全月給制の場合は欠勤した日も賃金を控除しないといという条件の労働契約ですから、徴収法としては、どちらの場合も、現に支給された額が「労働の対償としての賃金」なのだと考えるからです。
さて、労働組合などが「欠勤の場合に欠勤控除があるのは仕方ないけど、欠勤の理由が病気やケガで、医師の診断書が出ていて労務不能が明らかな場合は、欠勤控除額の半額を私傷病手当として支給してください」と交渉してきた場合に、会社がそれを受け入れて私傷病手当を支給するとしましょう。
すると、それも「欠勤した日の賃金をどのように計算するのか?」という労働契約の問題であるという点で、上記と同質である、と、いうことなのです。
これに対し、長期入院の場合などに一時金で支給される見舞金は、結婚祝金や弔慰金と同様に、従業員の慶弔や被災といった禍福そのものに対して、祝賀や弔意や回復を祈る意味で支給される一時金ですから、上記とは性格が全く違います。
参考になった:4人
poo_zzzzz 2016-12-10 07:01:55
poo_zzzzz 先生
早朝より、先生自らご教示を賜りまして、ありがとうございます。
月給制と日給月給制において、「片方に欠勤控除がなく、片方にあるとしても、それは「欠勤した日の賃金をどのように計算するのか?」という労働契約の問題」であり、「徴収法としては、どちらの場合も、現に支給された額が「労働の対償としての賃金」」なのであって、労働契約上の条件の平等不平等というと、論点がずれていることがよく理解できました。
また、私傷病手当については、会社側が私傷病による欠勤日の賃金をどのように扱うのかという、労働条件として規定したものであって、労働契約の問題であるという点において、欠勤控除の取り扱いと同質のものであること、私傷病見舞金は、「結婚祝金や弔慰金と同様に、従業員の慶弔や被災といった禍福そのものに対して、祝賀や弔意や回復を祈る意味で支給される一時金」であり、性格が異なること、理解が深まりました。
労使間の交渉事例など、具体的場面設定を交えた解説や、懇切丁寧なご指導を賜りまして心から感謝申し上げます。
つまらない質問をするかも知れませんが、これに懲りられず、今後とも、ご指導いただければ幸いに存じます。本当にありがとうございました!
JIRO2 2016-12-10 22:33:23