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国民年金法/遺族基礎年金37条の2第2項と39条第2項の違い
JIRO2 2017-01-08 12:55:28
遺族基礎年金について、国年法37条の2第2項と39条第2項の違いについて
初級インプット講座において、山川先生は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時に子がなければ、配偶者に受給権は発生しないため、法39条第2項では「配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれたとき」と表記しており、すなわち、「胎児であった子は第2子以降の子」であることを意味する点において、法37条の2第2項とは異なる趣旨の解説をされていますが、配偶者が第1子を妊娠中に被保険者が死亡した場合は、その他の要件を満たしたとしても、被保険者又は被保険者であった者の死亡後に配偶者が出産した場合には、配偶者には遺族基礎年金の受給権は発生しないという意味でしょうか?
法37条の2の条文を読む限り、胎児が第1子であっても、その胎児が出生した時点で、将来に向かって配偶者にも受給権が発生するように読めるのですが、誤りでしょうか?
一方、法37条の2第2項の解説講義においては、被保険者又は被保険者であった者の死亡後に子を引き取っても、子を引き取った者には受給権は発生しないと講義されています。つまり、被保険者又は被保険者であった者が死亡した時点で生計を維持していた配偶者でない者が、被保険者又は被保険者であった者の死亡後に子を引き取った場合についての受給権について、解説しておられ、被保険者又は被保険者であった者の配偶者の受給権には言及しておられるのではないように、講義内容を理解しているのですが、誤りでしょうか?
法37条の2第2項の条文では、「被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた者とみなし、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。」とあります。
また、法37条の2第1項の規定から、遺族基礎年金の受給権者の範囲は、①被保険者又は被保険者であった者の配偶者又は子であること、②被保険者又は被保険者であった者の死亡当時、被保険者又は被保険者であった者によって、生計を維持していたこと、③配偶者の場合、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、要件に該当する子を有していること、と理解します。
そうすると、胎児が第1子であった場合(被保険者又は被保険者であった者の死亡時点において子を有していない)においても、生まれた子は、「被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた者とみなし」、「配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす」ため、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、子がなく第1子を妊娠していた配偶者にも、第1子出生時点において、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、被保険者又は被保険者であった者の子を有しているとみなされ、子が生まれた月の翌月から受給権が発生するように読めてしまうのですが、間違いでしょうか?
長文にて申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
テキストを見ていませんし、講義を聴いていませんが・・・
法39条2項は、その語尾が「遺族基礎年金の額を改定する。」とあるように、「すでに支給されている年金額を改定する条文」です。
このため、この条文からは受給権は発生せず、また新たに受給権が発生した当時に、この条文が適用されることはありません。
子が胎児であった場合に関して言うと、それが一人目の子であった場合、胎児であった子が生まれた時に新たに遺族基礎年金の受給権が発生しますから、その場合に法39条2項が適用されることはありません。
また、遺族基礎年金の受給権は、法37条により、死亡した被保険者又は被保険者であった者の配偶者又は子にしか発生しませんから、それ以外の者のことを考える必要はありません。
このため「子を引き取った者」という説明は、当然に配偶者についてなされていると考えるべきです。
法37条の2第1項1号には「配偶者については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること。」とあります。
この条文の「被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時」は、「その者によって生計を維持し」と「次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること」の両方を修飾しますから、配偶者が「遺族基礎年金を受けることができる配偶者」になるためには、「被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時から次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること」を満たさなければなりません。
このため、被保険者又は被保険者であった者の子と生計を同じくしていなかった配偶者が、被保険者又は被保険者であった者の死亡後にその者の子を引き取った場合、配偶者は遺族基礎年金の受給権者にはなりません。
また、子は遺族基礎年金の受給権者になりますが、この子と、この子を引き取った配偶者の間に親子関係がある場合は、「生計を同じくするその子の父又は母があるとき」に該当しますので子の遺族基礎年金は支給停止され、他に子がない場合は誰も遺族基礎年金を受けることができません。
この場合、配偶者に死亡一時金が支給されます。
また、胎児であった子が生まれた場合に、他に子がなかった場合の、法37条の2第1項、第2項に対する質問者の方のお考えは正しいです。
が、この場合も遺族基礎年金の受給権発生は法37条によるのであって、法39条2項は、先にも述べたとおり、すでに支給されている年金額を改定する条文ですから何の関係もありません。
質問された方はすでに解っておられることですが、念のため、胎児であった子が生まれた場合に、他に子がなかった場合の説明をします。
まず、被保険者又は被保険者であった者に、胎児以外の子がないのですから、この者の死亡の当時は、遺族基礎年金の受給権は誰に対しても発生しません。
胎児であった子が生まれると、法37条の2第2項の「前項の規定の適用については、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなし、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。」が適用されます。
この「前項」は、法37条の2第1項です。
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法37条の2第1項
遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者又は子(以下単に「配偶者」又は「子」という。)であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。
一 配偶者については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること。
二 子については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか又は二十歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
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法37条の2第2項によって、胎児が生まれた場合、この法37条の2第1項の適用については、配偶者及び生まれた子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していたとみなされ、また、配偶者は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時出生した子と生計を同じくしていたものとみなされるのです。
つまり、この配偶者と生まれた子は、法37条の2第1項の条件を満たす「遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子」です。
ただ、その適用が「胎児であった子が生まれたときに、将来に向かって」なのです。
このため、胎児が出生した日に、法37条により、配偶者と生まれた子に遺族基礎年金の受給権が発生します。
この場合の受給権者の要件は、先にも述べたとおり、法37条の2の1項、2項によって満たされるものであり、受給権の発生は法37条によるものであり、すでに支給されている年金額を改定する条文である、法39条2項は何の関係もありません。
山川先生が、法39条2項についておっしゃりたかったのは、多分このことだと思います。
参考になった:7人
poo_zzzzz 2017-01-08 14:15:30
poo_zzzzz 先生
いつもながらに、迅速かつシャープなご回答を頂きまして、感謝いたします!
お陰様でモヤモヤが晴れて、スッキリいたしました。
ありがとうございました!
今後とも、よろしくお願いいたします。
JIRO2 2017-01-09 10:55:39