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一般常識(労一)/個別労働紛争解決について
hauser 2017-01-17 19:31:56
個別労働紛争の解決促進法の目的条文第1条とその後の諸々の条文が、意味がわからない点があり質問させていただきます。
1条では、この紛争には、「募集、採用の紛争を含む」とあるのですが、実際には、自主的解決を図るといわれながら、募集採用は含まないとありますし、さらに、調停、あっせんにも、募集採用は含まないとああります。
では、1条の条文の意味は何なのか思うのです。
ただ、求められれば、指導、援助、勧告はできるとあるので、この部分のことを以て、1条では募集採用を含むという意味としているのでしょうか。
例えば、よくある例で、苦情も絶えない事案として、学生が就職活動で企業の「指定校制度」により、出身大学で、差別されることが1流企業の採用では多いのです。
このような応募に際して、均等な機会が与えられず、大学名などで、門前払いなどされるのは、均等な機会が与えられないものでありますし、1条の条文の趣旨に照らしても疑問があるところです。
労働紛争は就職活動だけではありませんが、どうもこの紛争解決手続きは、実効性の担保が無いに等しいのではないかとも思います。
やはり、「雇い入れ後」のトラブルを重視しているのでしょうか。
どうも見聞きするところでは、募集採用過程にこそ、大きな差別、問題があるのですが。確かに、民法では、いかな人物を採用するか否かは、採用側の裁量の範疇で自由であるとかいう条文もあるので、ここを個別労働紛争の解決法とは言っても、強行的には縛れないということでもあるのでしょうか。
どうもしっくりきません。
hauser様
ご質問ありがとうございます。
ご質問の、法1条と法2条以下の関係性は、旧質問広場でFAQです。下記を参考にしてみてください。
http://sr-jiten.net/bbs/bbs_each.php?rcdId=1511
つまり、労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争については、ご指摘の通り法5条(あっせん委任の規定)は適用されませんが、法3条(情報提供)及び法4条(当事者に対する助言・指導)の規定は適用されます。また、法2条(紛争の自主的解決)も、適用されます。このことから、目的条文にも加えているということになります。
ですので、あっせん規定のみ除外されているだけですから、1条に求職者と事業主との間の紛争も「個別労働関係紛争」という定義に加えないと、法律上矛盾が生じますので、加えたということになります。
あっせんというのは、労働審判や訴訟とは異なり、紛争当事者の間にあっせん委員が入り、双方が納得できる落としどころをみつけていくことにあります。
相談件数事例で圧倒的に多い、いじめならば、いじめをしている労働者の処遇や、会社の体制の整備、または謝罪等で決着が図られます。
次に多い解雇や雇止めならば、復職させたり、または解決金を払い金銭解決をする等です。
このように、着地点が1つではないので、まだ双方話し合う余地があります。
一方、募集・採用に関する紛争の代表例は、何かしらの理由の採用可否です。
となると、結論的には、採用するかしないかになっていまい、これは、もうあっせんの趣旨から外れます。
あっせんが両当事者の一方が、出席を拒否すれば打切りとなりますので、このパターンの紛争は規定を設けても成立しにくいという理由で除外したのではないでしょうか。
どっちかが100%負けるような紛争には、あっせんという制度はあまり向いていないのです。
これが、情報提供や助言・指導であるならば、まだ実効性(事業主側が聞いてくれる可能性)がありますよね。
例示して頂いた学歴の差別については、個人的なお考えはあると思いますが、現状では、実体法とその解釈でも、判例法理でも明確に認められた事例はありません。
この法律は、両当事者の権利を守るということを主眼には置いていません。
労働審判制度や民事訴訟という道がある中の、より円満な解決でかつ迅速簡便に解決できる手続法の1つと理解すべきだと思いますが、いかがでしょうか?
山川社労士予備校
三宅大樹
参考になった:22人
yamayobimiyake 2017-01-18 16:53:05
三宅先生
早速に詳細なご回答を賜りましてありがとうございました。
また、過去のFAQの検索を失念してしまい、誠にお手数をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。
過去FAQのほうも拝見し、ようやくポイント事項が良く理解できました。
この制度の趣旨、意味するところがはっきりしました。
ありがとうございました。
hauser 2017-01-18 20:17:39