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国民年金法/全額免除申請の事務手続に関する特例
watam 2017-02-09 21:26:34
第百九条の二 第九十条第一項の申請(以下この条において「全額免除申請」という。)に関する事務を適正かつ確実に実施することができると認められる者であつて、厚生労働大臣が当該者からの申請に基づき指定するもの(以下この条において「指定全額免除申請事務取扱者」という。)は、同項各号のいずれかに該当する被保険者又は被保険者であつた者(厚生労働省令で定める者に限る。以下この条において「全額免除要件該当被保険者等」という。)の委託を受けて、全額免除要件該当被保険者等に係る全額免除申請をすることができる。
第七十七条の二の二 法第百九条の二第一項 に規定する厚生労働省令で定める者は、法第九十条第一項第一号 、第三号又は第四号のいずれかに該当することを厚生労働大臣が確認した者(世帯主(当該者の属する世帯の世帯主をいい、当該者が世帯主である場合を除く。)又は配偶者があるときは、当該世帯主又は当該配偶者が同項第一号 、第三号又は第四号のいずれかに該当することを厚生労働大臣が確認した者に限る。)とする。
とありますが、
『なぜ「・・・《該当する》者に限る」ではなく「・・・該当することを厚生労働大臣が《確認した》者に限る。」となっているのだろうか』という疑問が生じました。
具体的には、上記の規定を解釈するにあたって、私は、「該当することを厚生労働大臣が《確認した》者に限って、委任できる」と解釈し、
「委任する前に、厚生労働大臣の確認が必要なの?」
「本人の了解なしに厚生労働大臣が勝手にその人の所得情報等を確認して全額申請免除の事由に該当していることを確認することができるの?」などの疑問が生じました。
その後、あれこれ考えて、申請却下という観点から考えてみたときに、なおかつ、却下という概念を踏まえて考えてみたときに、
委託⇒申請書提出⇒該当することを確認⇒第百九条の二に基づく委託にあたることを確認⇒第百九条の二に基づく委託ゆえに全額免除要件該当被保険者等に係る全額免除申請をすることができる。
⇒第百九条の二に基づく申請として受理・・・すなわち、申請書提出という行為は、第百九条の二に基づく委託を受けての申請であったという話。
委託⇒申請書提出⇒該当しないことを確認⇒第百九条の二に基づく委託にあたらないことを確認⇒それゆえ全額免除要件該当被保険者等に係る全額免除申請にあたらない。
⇒第百九条の二に基づく申請にあたらないとして申請却下・・・すなわち、申請書提出という行為は、第百九条の二に基づく委託を受けての申請ではなく、単なる提出であったという話。
という解釈が適切な解釈ではないだろうかと考えています。(このように解釈すると《確認した》者でつじつまがあうので)
ですが、それでもなお、わざわざ「・・・《確認した》者に限る。」としなくても(「・・・《該当する》者に限る」で)よかったのではないかという疑問は残ります。
ご回答よろしくお願いいたします。
結論を一言で言えば、「申請を受けてから確認するのではなく、確認した者に対して勧奨をしている」のです。
これで腑に落ちれば、以下は読まなくても大丈夫です(^^;;
指定全額免除申請事務取扱者は、国民年金保険料の免除手続きの煩雑ゆえに未納のまま放置する低所得者が多いことへの対策として、委託先の民間事業者を間に噛ませて申請者の負担を軽減することを目的として創設された制度です。
そのため、実務的な流れでは、日本年金機構(≒厚生労働大臣)が免除の要件を満たしながら滞納状態になっている者を把握し、勧奨を行って、指定全額免除申請事務取扱者に手続きを委託するよう誘導する設計になっています。
現在、日本年金機構では、機構が保有する年金記録の個人情報と、自治体や他省庁が保有する個人情報を紐付ける取り組みを進めています(将来的には、個人番号を中心とした情報提供ネットワークシステムのフル活用になることが予想されます)。
これによって、国民年金保険料の徴収業務に関して言えば、滞納者の中から低所得者を抽出して免除手続きの勧奨を行ったり、逆に、所得が充分にあって保険料の納付能力が高いと考えられる者を抽出して重点的に未納分の保険料取り立てを強化する等の取り組みが行われています。
そして実際上は、「厚生労働大臣(≒日本年金機構)が、こうした情報の紐付けで免除対象の所得水準であることを事前に確認した者」に対して、指定全額免除申請事務取扱者への誘導を企図した勧奨が届くようになっているのです。
具体的には、
(1)前年(一定の場合には前々年)の所得情報から、免除対象となることを確認できた滞納者に、固有番号付き(暗証番号みたいなもんです)の納付督励兼免除手続き勧奨を送る。
(2)指定全額免除申請事務取扱者に対して、固有番号を通知する。
(3)滞納者が指定全額免除申請事務取扱者に連絡して、固有番号を教えることで、代理で手続きを行うことを依頼する。
というプロセスになります。
つまり、申請者が自ら動いて市役所等で所得証明書を取ってくることは必ずしも想定されていませんし、そもそも、そんな人は指定全額免除申請事務取扱者を噛ませるまでもなく自分で年金事務所に免除申請手続きに行きますからね。
もっと言えば、そうでなければおかしな話になるとも言えます。
指定全額免除申請事務取扱者というのは、日本年金機構から国民年金保険料の徴収業務について委託を受けた民間事業者です。
民間事業者である指定全額免除申請事務取扱者が、申請者(委託した本人)ならまだしも、その世帯主や配偶者の所得証明書を取得するのは、いかに法律で定められた制度とはいえ問題があります。
必要な個人情報は厚生労働大臣(機構)が取得し、指定全額免除申請事務取扱者には手続きのための固有番号だけを伝えるという形を採っているのです。
「確認した者に限る」というのは、つまり、指定全額免除申請事務取扱者の制度そのものが、この勧奨プロセスのことを言っているからですね。
仮に、この方法で事前に「確認」できていない者が指定全額免除申請事務取扱者に代理での手続きを依頼したとしても、上記の理由により肝心要の所得情報を誰も把握していませんので、この制度の流れに乗せることはできないのです。
※訂正
当初の投稿文では、住基ネットとの紐付けである旨を記載していましたが、所得に関する情報は住基ネットには含まれていません。(住基ネットとの連携は、主に給付部門での生存確認に使われています)
この点、投稿後に訂正いたしました。
※補足
今回の質問とは関係ありませんが、給付部門では、こうした情報紐付けの取り組みの一例として次のような取扱いが行われています。近年、こうした実務的な切り口がポンと択一の肢になったりするので(正否を分ける肢にはなりにくいですが)、参考がてらに。
・前述の生存確認。(受給者の大半は、老齢基礎年金がある60代以上の方なので…)
・20歳前障害による障害基礎年金の支給停止の該当有無について、所得情報を確認する。
・雇用保険の給付との調整にあたって受給者の手続きを簡略化するため、老齢請求時に雇用保険被保険者番号の提出を求める。(ハローワークから基本手当や高年齢雇用継続給付の情報提供を受けて、併給調整を自動化)
・共済組合を実施機関とする厚生年金保険(旧共済年金制度)の資格・受給状況の把握。
・住基ネットと連動させることで、被保険者や受給権者が住民票上の住所を移した場合に、基礎年金番号情報や原簿(国年法14条、厚年法28条)の住所情報を追跡。(紐付けが完了している者は、住所変更届の提出が不要になる。住民票と実際の居所が異なる等の場合には、連動させないこともできます)
参考になった:26人
towalion 2017-02-09 22:34:07
towalion様
ご丁寧なご回答ありがとうございました。
厚生労働大臣が未納者等の所得情報について確認したうえで当該未納者にアプローチすることがあるんですね。
それでは失礼いたします。
watam 2017-02-10 09:05:04