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国民年金法/寡婦年金
hauser 2017-03-02 21:08:19
基本事項ですが、過去問で誤ってしまった問題があり、内容は理解(忘れていたのですが)し直したのですが、そもそもなぜそうなのか、根本的なことが知りたいと思い(背景の理解)、
質問させていただきます。
寡婦年金には、そもそも死亡した夫が付加保険料を払っていても、付加年金は加算されません。(←うっかり、間違ってしまいました。加算されて支給されるとしてしまいました)
ですが、そもそもなぜそうなるのでしょうか。
寡婦年金は、夫が国民年金1号被保険者として25年を満たしながら貰い損になったという掛け捨て防止に、代わりに妻に夫の分を還元してあげようという趣旨のはずなのですが、
付加年金は老齢基礎年金と一緒にくっつくような年金ですが、老齢基礎年金のもらい損であるならば、付加年金もそうではないのか、ならば夫の付加保険料を払った分の還元も、妻に支給すべきではないのかと思うのです。
加算されない理由は、付加年金は、付加保険料を払う、払わないは任意の年金なので、義務ではないので、被保険者の自由な意思による付加的なものまで支給することはない、などという国の姿勢なのでしょうか、老齢基礎年金とは意味合いが違うからということでしょうか。
ところが、死亡一時金には付加年金の分が上積みになるのです、それでも最高8,500円だけですが。そもそもこれもよくわからない。まあ8500円は安いから支給してもいいだろうという意味なら
いくら任意の年金でも、掛け捨て防止のために、妻に付加年金の還元支給があってもよいと思うのです。
社労士試験的には、加算されない、と覚えておけばいいことですが、どうもよく納得できないのです。
この理由、背景をご教示ください。よろしくお願いいたします。
正直言って、正確な理由は分からない部分ですね。
寡婦年金は、夫が長期間、現行制度でいう第1号被保険者なのだから、妻もその間第1号被保険者であろうというモデルの元に、妻が60歳から65歳の間に寡婦であるなら年金を給付しよう、と、する制度です。
その趣旨は、夫の長期間の保険料の掛け捨て防止と、老齢寡婦の保護です。
年金制度で夫婦を考える場合、夫の方が数歳年長というモデルで考えるので、夫が65歳で老齢基礎年金を受けるときは妻は60歳前後のはずで、夫が65歳前に死亡していたら60歳前後からの妻は保護する必要がある、と、いう考え方だと思います。
考えたらこのあたりも分からない部分で、夫が老齢基礎年金を受けてすぐに亡くなった場合は寡婦年金は出ないがそれでいいのか?とか、疑問があります。
そういったことも含めて、どのような考え方で現行制度に落ち着いたかのは、そういったことを書いた文献にあたったことがないので正確なことはわかりません。お役に立てずに申し訳ないです。
私見としては、一つには付加年金の場合、支払った保険料に対する年金の還元率が高いということは、寡婦年金において給付対象にしない理由として考えられます。
また、夫が障害基礎年金の受給権者であった場合や老齢基礎年金を受けたことがある場合の扱いを考えれば、寡婦年金にはそもそも掛けた保険料に正確に見合った給付をしよう、と、いう意識が乏しいように見えますから、そういった、制度に対する意識から、現状のようになっているのではないかと考えます。
今回、回答するに当たって、昭和34年の国民年金成立当時から昭和61年の新法改正まで、寡婦年金、死亡一時金、附加年金(旧法の用字)の変遷は官報を検索して調べました。合理性に欠ける規定は、法改正の副産物であることがあるからです。
昭和34年の国民年金成立当時の条文から順に調べてみると、寡婦年金の制度は当初からあったのですが、死亡一時金の制度ができたのは昭和36年で、附加年金の制度は、制度としては昭和34年からありましたが、条文上実施できるような書き方ではなく、昭和40年の官報資料版には「制度はあるが実施されていない」という情報がありました。
昭和49年の官報資料版には「附加保険料を納めましょう」という勧奨の文章がありますので、昭和40年代後半に、附加年金は実施可能な制度になったのではないかと思います。
ただ、実施に至った改正の経緯が分かりません。昭和34年の最初の国民年金法では、「被保険者は、別に法律の定めるところにより、この法律による保険料にあわせて、附加保険料を払い込むことができる」とあるので、国民年金法自身が改正されるか、他の法律がなければ附加保険料(旧法の用字)の徴収そのものができないはずなのですが、そういう改正や法律が見つけられませんでした。
と、いうわけで、法の改正の過程から何かを読み取ることもできませんでした。
参考になった:11人
poo_zzzzz 2017-03-03 16:50:42
poo_zzzzz様
早速に、いろいろと調べてくださり、ご教示ありがとうございます。
私も方々の参考書や副読本、条文など見ても理由がよくわからず、質問をしてしまいましたが、試験的には、「加算はしない」で済んでしまいますが、度忘れした場合の策として趣旨から思いだすような方法を持っておこうと思いました。
ですが、たしかに、付加年金は、2年目以降から元が取れますから、有期年金たる寡婦年金に、掛けた保険料に見合った救済は必要なしという印象でしょうか・・・、やはりそう思います。
これで絶対に忘れないほど頭に定着しました。
本当にありがとうございました。
hauser 2017-03-03 19:20:29
日本年金機構のホームページ内に、国民年金保険料の変遷のPDFファイルがあり、この中に付加保険料についても記述があります。
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo-hensen/20150331.files/0000026733IeEkr9UjKO.pdf
実際上は、昭和45年10月から実施されていたようですね。
国民年金保険料が1,000円に乗るか乗らないかという時代に400円(当初350円)を徴収していたわけですから、
現在に比べると、相対的にはそれなりのボリュームがある保険料負担でした。
旧法時代に、厚生年金保険の報酬比例部分のような上乗せ給付を、
国民年金被保険者にも選択肢として与える仕組みであることは想像に難くありません。
(国民年金基金制度は平成3年スタート)
利回りの良さも、高度経済成長(物価が概ね10年で倍になっていた時代)が背景にあった時期に
制定された仕組みが、当時に近い形で残っているとすれば頷ける話です。
さて、ご質問の点について。
poo_zzzzz様のおっしゃるように、明確な資料がない以上は想像でしか物を言えないのですが。
旧法時代は、寡婦年金の額は亡夫の老齢年金の額の2分の1(現在は4分の3)で、
その代わりに(?)、老齢年金との併給調整がありませんでした。
この点は、昭和60年改正法附則11条1項(旧法寡婦年金には新法20条の併給調整を適用しない)、
同31条(旧法寡婦年金の受給者が老齢基礎年金を繰上げ受給する場合に寡婦年金は消滅しない)
といった移行措置に、その名残が見て取れます。
これらを踏まえると、心許ない寡婦年金だけで所得保障をするというよりは、
繰上げ支給の老齢年金+寡婦年金で65歳までの生計を立ててもらう、という想定であったように思われます。
65歳からどうするんだ、っていう疑問が別に沸いてくるんですけど(^^;;
ただ、これは年金業務の端くれに携われる者の肌感覚であって統計的な数値は分からないのですが、
旧法時代は、国民年金の老齢年金の繰上げ受給者が、特に女性には多い印象を受けます。
その理由までは詳しく調べていないので分かりませんが、
もともと、「60歳で繰上げ請求をしてしまう」ことが織り込み済みで運用されていたのかな?と想像しています。
参考になった:10人
towalion 2017-03-03 19:42:46
なるほど、このPDFには気付いていませんでした。
しかし、この実施に当たっての法改正がどのようになっていたのかは気になります。昭和40年代前半の法改正には特に気を付けて調べたのですが見落としたのかな?
こうしてみると、制度を作った人間は、付加年金を老齢年金の一部として見ていなかったような気がしますね。
保険料が550円の時に付加保険料が350円ですから、これは、後に制度化される基金のような感覚であったのではないかと思います。
なんとなく、寡婦年金が付加年金を考えないのも、解るような気がしてきました。
ただ、後半の繰上支給との兼ね合いについては、結果として、そういう運用が一般的になった、ということであったような気がします。
確かに繰上げの規定ができたのは昭和36年で、保険料の拠出開始とほぼ同時ですから、相互の関係を意識しようと思えばできたはずですが、towalionさん御自身がおっしゃるように、65歳以降はどうするの?と、いう部分に疑問が残って、そういう運用を「あらかじめ」織り込んでいたようには思えないのです。
poo_zzzzz 2017-03-03 20:33:44
towalion様
早速に参照資料のご紹介とご意見を賜りましてありがとうございました。
試験勉強に際して、内容を度忘れした場合、やはり漫然と記憶に頼っていますと、どうしても思い出せずに勘に頼ってしまうことになるので、自分でも背景趣旨を極力理解しようと努めています。
ただ、中にはどうしてこうなったのか、よくわからない内容もあるようで。ですが、こうして資料を読んだりすることで記憶が定着したのは確かです。
このようなことをひとつひとつ積み上げて確かな知識を定着させていきたいと思います。
まだまだこれから学ぶべきことが多くありますが、焦っても仕方ないので、着実に階段を登っていこうと思います。
hauser 2017-03-04 13:23:51