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国民年金法/法定額等
hauser 2017-03-10 10:13:34
国民年金保険料の法定額と厚生年金保険料率について質問があるのですが、平成29年度で16900円×保険料改定率(0.976)となり、それ以降は収入の範囲内で給付とのバランスを取るということになっています。
さらに、厚生年金保険料率なども平成29年で18.3%で一定になるということです。
この国民年金保険料の法定額「16900円」や厚生年金保険料率の「18.3%」は今後はかわらないというような意味になっているのですが、ずっと変わらないということが本当にありえるのかなと思うのですが。
実際に、年金は将来、さらに抑制、支給開始引上げが行われると思われますし、収入の範囲内で給付のバランスを取るといっても、日本の経済情勢等の状況によっては、国年の法定額や厚年の一定になる保険料率を変えてくることは十分ありえるのではないでしょうか。いつまでこのままなのか不明ではありますが。
よろしくご教示のほどお願いいたします。
年金実務の端くれに携わる者としては思うところもあるテーマですが……。
社労士試験は現に施行されている法令に基づいて試験問題が作成され、その知識能力を試されるわけですから、試験対策上は、「その通り」であると理解すべきです。
(国民年金保険料は改定率によって変動することや、100円引き上げの件は、とりあえず脇に置いておきます)
>日本の経済情勢等の状況によっては、国年の法定額や厚年の一定になる保険料率を変えてくることは十分ありえるのではないでしょうか。
そもそも昭和36年(1963年)に国民年金が全面的にスタートして以降、年金制度は情勢に合わせて制度改正が繰り返されてきました。
高度経済成長のまっただ中、まだ農家が600万戸あった1950年代末をイメージして作られた国民皆年金は、乱暴に言ってしまえば、“既存の被用者年金制度に、新たに国民年金制度を付け足す”編成で始まりました。
その後、産業構造の高度化(第一次産業から第三次産業への流れ)によって、各年金制度を別々に運営していけば財政的に行き詰まりが見えてきたわけですね。
そういう理由で、加入期間に応じて支給される部分(≒定額部分)の給付財源を共同でまかなう体制を整備するイメージの基礎年金制度が導入されたのは、社労士受験生ならご存知の通りです。
基礎年金というアイディアによって、産業構造の変化に対してはかなり強固になったと思います。
昭和61年改正から30年経って国際化の流れにもそれなりに対応できていますし、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢引き上げ、国民年金基金・確定拠出年金・確定給付企業年金等の追加的な年金制度の整備、被用者年金一元化……といった、諸々の大がかりな改正を行った際にも、基本的な仕組みを動かさずに済んだわけですから。
ただ、昭和61年改正で産業構造の高度化には強固になった年金制度も、少子高齢化という別の問題には対応できないことが見込まれました。
そこで、昭和61年に『産業構造の高度化に対応するため』基礎年金を導入したのと同じように、今度は平成16年に『少子高齢化に対応するため』行った改正が「保険料について上限を設定し、その枠の中で給付を行う」という制度です。
それぞれが、昭和36年時点では想定されていなかった日本社会の変化を背景として、今後は多少の変化があっても一から制度を作り直すハメにならないように、ある程度の安定性を持たせる方策として考えられた結果の改正という点で共通しています。
そうすると、「保険料(率)の上限固定は、本当にこのまま続くのか」という問いは、「第1号~第3号被保険者の枠組みを軸とした基礎年金制度は、本当にこのまま続くのか」という問いを投げるのと同じようなものです。
そこを疑いながら、年金二法の学習をしますか?……ということです。
「変わるときは変わる。しかし、今のところそんな予定はない」というのが、少なくとも受験生が持つべきイメージとしては全てだと思います。
もちろん、これらは、公的な社会保障のあり方を考えるうえでは必要な問いでしょう。
実際に、社会保障審議会の年金数理部会では超楽観的なケースから超悲観的なケースまで幅広い想定で試算が行われ、常に制度的な安定性を含めて議論が行われています。
しかし、社労士試験対策としては、そこに深入りすることが有意であるとは思えません。
試験に出題されないし、少なくとも日常一般的な社労士の仕事としては、顧客にこれといった答えを提供できるものでもありません。
(厚生労働白書に一大トピックの扱いで載ったりしたら話は別ですが、そんなときは予備校各社の白書対策できちんと対応があるでしょう)
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towalion 2017-03-11 16:26:28
towalion様
ご教示ありがとございました。
試験には、内容のとおりに理解しておくということを踏まえて、敢えて質問をさせていただきました。
過去に平成6年、12年と定額が引き上げられ、次に報酬比例も引き上げられ、現行では平成37年3月までとなっていますが、その先は、65歳から70歳まで段階的にまた引上げが行われると、個人的には予想しています。そんな年金の将来像を思う時、上限額や保険料率が変わらないわけがないとも思います。
2年後の財政検証結果では、相当厳しい試算がなされるでしょう。もう楽観的な経済成長を見込むような前提はできないと思います。個人の確定拠出年金制度が全国民に拡大した点、雇用保険に高齢被保険者を設けた点などを踏まえても、これからは、生涯現役で働き、納税し、自分の年金は自分で運用して確保してくださいという政府のメッセージなのだと思います。そんな将来像を考えていきますと、当然に上限額や率も変わって当たり前と思ったほうがいいのではないかと思ったりもしました。厳しい社会保障の日本の現状ですが、だからこそ、社労士の活躍の場もあるということだと思っています。
hauser 2017-03-11 20:08:28
横からレスですが・・・
法には立法趣旨があり、法がある以上、その趣旨は法と共に遵守されなければなりません。
しかし、私たちは選挙を通じて私たちの意思を立法府に反映しており、その立法府が現行の法を改廃し、その結果、改廃された法の趣旨が生かされなくなったとしても、それが民主主義のルールですから致し方のないことです。
つまりこれは、本来は、そうなるか、ならないか、という客観的な問題ではないように思います。
理想論ですし、現実にどうにもならない事態はあるでしょうが、お尋ねの部分は、本来は、私たち有権者が何を選ぶか、という、私たちの選択の問題だと考えるべきだと思います。
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poo_zzzzz 2017-03-11 20:44:08
poo_zzzzz 様
貴重なご意見を承りました。
「有権者が何を選ぶか、という、私たちの選択の問題」、至言です。本当にその通りだと思います。
法というものが、国会で可決し成立し、あるいは議員立法で成立しても、それは民主的ルールに則って決まったことですから、遵法されねばなりません。
100%最適なものなど、ありえませんから。私たちがどう生きたいのか、どうすべきか、我々の選択にかかっていますね。
hauser 2017-03-11 21:07:09