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民法/不動産質収益と留置権果実収取
onikuneko 2017-06-30 13:46:30
不動産質でできる収益と留置権における果実の収取との違いがよくわかりません。約定と法定の違いや債権の利息請求の可否だけでしょうか。ご教示いただければ幸いです。
こんにちは〜、smileと申します。
1「果実収取権」は、果実を収取(収め取るということ)する権利に過ぎません。
例えば、留置権や不動産質権に基づいてリンゴ畑を占有していたところ、リンゴの実ができました。
↓
この場合、リンゴの実を収穫もせずに腐らせてしまうことは勿体ないですよね。
↓でも
債務者は占有がないので収穫できない。
↓そこで
留置権者や不動産質権者にリンゴの実を収穫する権利を認めたのです。
↓ただ
債務者からすれば、おいおいそのリンゴの実は自分が育ててきたものだと言いたいですよね。
↓そこで
収穫した果実は、利息→元本の順に債権(債務者側からすれば債務)の弁済に充当しなければならない
と規定したわけです。
↓そして
この果実収取権は留置権・不動産質権ともに認められます(297条、350条)
2「使用・収益権」は、使用して、利益を収めることができる権利です。
例えば、リンゴ畑を他の農家の方に賃貸して、その賃料を得たりする権利です。
↓
この使用・収益権は債務者の承諾がない限り、原則として認められません(298条2項、350条)。
債務者からすれば、自分の土地を他人が勝手に使うのは嫌ですよね。
↓しかし
不動産というとても価値の高いものが誰にも利用されないというのは社会経済上の損失ですよね。
↓そこで
不動産質権に限って特別に、債務者の承諾なく、不動産の使用・収益権を認めたのです(356条)。
↓従って
この使用・収益権は、不動産質権に限って認められるのであって、留置権には認められません。
↓また
使用収益の結果得た利益は、債権の弁済に充当する必要はありません。いわば不動産質権者の
ポケットマネーにすることができるということです。
↓その代わり
不動産質権者は、①不動産の管理費用を負担しなければなりませんし(357条)、
②債権の利息も請求できないことになります(358条)。
3このようにして、法は《債務者の利益》《債権者の利益》《社会経済上の利益》のバランスを考えて、
各種規定を設けているということです。
長々と書いてしまいましたが、的外れの回答でしたらまた質問してください。
参考になった:77人
smile0821 2017-07-11 13:47:31
ありがとうございました!人気講師のような詳細で理路整然とした説明、わかりやすかったです。思った以上にいろんな取り決めがあるのだなぁと驚きました。奥が深いですね。質権者は一定の身分が保証されているということでしょうか…。ほかのことでわからないことがあったときはまた質問させてください。よろしくお願いいたします!
onikuneko 2017-07-12 08:21:24